大学生などを扶養する世帯の所得税を軽減する「特定扶養控除」の年収要件の引き上げ幅などについて意見を交わしたものとみられます。
来年度の税制改正に向けて、自民党の宮沢税制調査会長、公明党の赤羽税制調査会長、国民民主党の古川税制調査会長らは11日午前、4回目となる税制協議を行いました。
この中では、「103万円の壁」の見直しに関連し、先週、大学生などを扶養する世帯の所得税を軽減する「特定扶養控除」の年収要件の引き上げで合意したことを踏まえ、具体的な引き上げ幅を協議したものとみられます。
3党は、「103万円の壁」自体の見直しの協議も続けていますが、所得税の基礎控除などを引き上げる目的や財源確保のあり方で、意見に隔たりがあり、折り合えるかが焦点です。
国民民主党は、与党との税制協議が進まなければ、衆議院で審議が行われている今年度の補正予算案に賛成しないこともありうるという姿勢を示していて、予算案の採決をにらんだ動きが活発になっています。
国民 「103万円の壁」見直し ガソリン減税など要望
政府が編成作業を進める来年度予算案をめぐり、自民党の小野寺政務調査会長、公明党の岡本政務調査会長、国民民主党の浜口政務調査会長が会談しました。
この中で、国民民主党は、先の衆議院選挙の党の公約をもとに、11の分野について要望事項を示しました。
手取りを増やす経済対策では、「年収103万円の壁」を見直し、所得税の基礎控除などを178万円に引き上げることや、ガソリン税の暫定税率の廃止によるガソリン減税を求めています。
また、教育支援では5兆円分の「教育国債」を発行し、高校卒業までの授業料や給食費などの無償化を実施することや、エネルギー対策で、原発の早期再稼働などを要望しています。
その上で、浜口氏は「年収103万円の壁」の見直しをめぐる3党の税制協議の結果、対応が不十分だった場合も想定し追加の支援策を予算を通じて行うよう口頭で伝えました。
これに対し、自民・公明両党は持ち帰って検討する考えを伝え、来週改めて協議することになりました。
自民 小野寺政調会長「国民民主の考え 来年度予算案にも反映」
自民党の小野寺政務調査会長は記者団に対し「今年度の補正予算案と来年度の本予算案は、一体のものだと受け止めており、国民民主党の考えを来年度予算案にも反映させるべく意見交換をした。来年度予算案についてもしっかり意見をすり合わせていきたい」と述べました。
国民 浜口政調会長「来年度予算案も3党で協議を」
国民民主党の浜口政務調査会長は記者団に対し「『年収103万円の壁』の見直しは、税でカバーできない状況も想定しながら、予算も含めて対応することを要望として盛り込んだ。経済を力強く回していくためには、プライマリーバランスの黒字化にこだわることなく対応すべきだ。経済あっての財政という考え方を基本に来年度予算案も3党で協議していきたい」と述べました。
一方、補正予算案の採決での対応を記者団に問われ「まだ決めていない。今後、党内で意見を聞きながら、最終的な賛否を判断していきたい」と述べました。