Báo tiếng Nhật: 速報中首相旧優生保護法めぐり謝罪“除斥期間の主張撤回”

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうをめぐる裁判さいばんの原告げんこくらと面会めんかいしました。

どんなやりとりがあったのでしょうか。それぞれの発言はつげんを速報そくほうでお伝おつたえします。

岸田きしだ首相しゅしょう「反省はんせいとおわび直接ちょくせつお伝おつたえしたい」

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうをめぐる裁判さいばんの原告げんこくらとの面会めんかいで、先さきの最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつについて「大変たいへん重おもく受け止うけとめている。旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうに基もとづく、あるいは、旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうの存在そんざいを背景はいけいとして多おおくの方々かたがたが心身しんしんに多大ただいな苦痛くつうを受うけてこられたことに対にたいし、私わたしみずからお目おめにかかり、反省はんせいとおわびのことばを直接ちょくせつお伝おつたえしたいとの思おもいから本日ほんじつ、面会めんかいさせていただくこととした」と述のべました。

また「昭和しょうわ23年ねんから平成へいせい8年ねんまでのおよそ48年間ねんかんに少すくなくとも2万まん5000人にんもの方々かたがたが特定とくていの疾病しっぺいや障害しょうがいを有ゆうすることを理由りゆうに不妊ふにん手術しゅじゅつという重大じゅうだいな被害ひがいを受うけるに至いたったことは痛恨つうこんの極きわみだ」と述のべました。

そのうえで「旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうは、憲法けんぽう違反いはんで、同どう法ほうを執行しっこうしてきた立場たちばとしてその執行しっこうのあり方ありかたも含ふくめ、政府せいふの責任せきにんは極きわめて重大じゅうだいだ。心こころから申し訳もうしわけなく思おもっており、政府せいふを代表だいひょうして謝罪しゃざいを申し上もうしあげる」と述のべました。

そして「優生ゆうせい手術しゅじゅつなどは個人こじんの尊厳そんげんをじゅうりんする、あってはならない人権じんけんの侵害しんがいで、皆みなさま方かたが心身しんしんに受うけられた多大ただいな苦痛くつうと長ながい間まのご苦労ごくろうに思おもいを致いたすと、その解決かいけつは先送さきおくりできない課題かだいだ。国会こっかいとも相談そうだんしながら新あらたな補償ほしょうのあり方ありかたについて可能かのうな限かぎり早急そうきゅうに結論けつろんを得えられるよう指示しじした」と述のべました。

また「問題もんだいの速すみやかな解決かいけつに向むけて全力ぜんりょくを尽つくす。本日ほんじつはまず、みなさまのつらい経験けいけんと思おもいを真摯しんしにうかがい、その上うえで、政府せいふとしての方向ほうこう性せいを示しめしたい」と述のべました。

冒頭ぼうとうのあいさつの最後さいごに「改あらためて皆みなさま方かたお一いち人にんお一いち人にんに、深ふかく、深ふかく謝罪しゃざい申し上もうしあげる」と述のべました。

全面ぜんめん解決かいけつを求もとめる要望ようぼう書しょを提出ていしゅつ

総理そうり大臣だいじん官邸かんていを訪おとずれた原告げんこくの北きた三郎さぶろうさん（仮名かめい）と弁護べんご団だんの新里にいさと宏ひろし二に弁護士べんごしなどは岸田きしだ総理そうり大臣だいじんに対にたいして旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうをめぐる問題もんだいの全面ぜんめん解決かいけつを求もとめる要求ようきゅう書しょを提出ていしゅつしました。

要求ようきゅう書しょでは、▼政府せいふと国会こっかいの謝罪しゃざいのほか、▼今いまも全国ぜんこくで続つづいている裁判さいばんの早期そうき解決かいけつ、▼裁判さいばんを起おこしていない人ひとも含ふくめたすべての被害ひがい者しゃに対にたいする補償ほしょう法ほうの制定せいていなどを求もとめています。

また同おなじ過あやまちを二度にどと繰り返くりかえさないため、▼当事者とうじしゃや弁護べんご団だん、第だい三さん者しゃでつくる機関きかんで検証けんしょうすることや、▼障害しょうがい者しゃに対にたいする偏見へんけんや差別さべつの根絶こんぜつに向むけた教育きょういくを推進すいしんすることなども求もとめています。

新里にいさと弁護士べんごしは「総理そうりから直接ちょくせつ、被害ひがい者しゃに対にたいして謝罪しゃざいの言葉ことばを聞きいたが、もっと早はやく聞きけたのではないか。きょうは被害ひがい者しゃの実態じったいや生なまの声こえを聞きいていただき、被害ひがい者しゃの全面ぜんめん解決かいけつのために全力ぜんりょくを傾かたむけていただきたい」と話はなしていました。

面会めんかいした原告げんこくは

原告げんこくの1人にんで東京とうきょうに住すむ北きた三郎さぶろうさん（仮名かめい）は「長ながい間ま、本当ほんとうにつらく、判決はんけつを聞きいたあとも心こころが晴はれません。国くにとして責任せきにんを取とってほしいし国くにとして真剣しんけんにこの問題もんだいに向き合むきあい考かんがえてもらいたい。また、声こえを上あげられていない人ひとも多おおいと思おもうので、その人ひとたちに謝あやまってほしい。2度どと私わたしたちと同おなじようなつらい思おもいをする人ひとがなくなるよう、法律ほうりつをつくってもらいたい」と話はなしていました。

また原告げんこくの1人にんで札幌さっぽろ市しに住すむ小島こじま喜久夫きくおさんは「私わたしは19歳さいの時ときに病院びょういんに入いれられて、『精神せいしん分裂ぶんれつ症しょう』というあだ名あだなをつけられて優生ゆうせい手術しゅじゅつをされました。そのことは一生いっしょう忘わすれません。まだみなさんの訴うったえが続つづいていますが、国くにはきちんと認みとめてほしいと思おもいます。よろしく頼たのみます」と話はなしていました。

原告げんこくの1人にんで神戸こうべ市しに住すむ鈴木すずき由美ゆみさんは「私わたしの知しらない間まに親おやが勝手かってに不妊ふにん手術しゅじゅつをして、そのあと手術しゅじゅつの後遺症こういしょうで20年間ねんかん寝ねたきりになりました。国くにが変へんな法律ほうりつを作つくるから私わたしはいまも差別さべつを受うけています。もっと苦くるしい人ひともいっぱいいます。国くにが社会しゃかいを変かえてほしい」と話はなしていました。

また原告げんこくの1人にんで浜松はままつ市しに住すむ武藤むとう千重子ちえこさんは「2万まん5000人にんもの被害ひがい者しゃがいること、それに関かかわった多おおくの医師いしや看護かんご師しが何なにの責任せきにんもとらないことに私わたしは憤いきどおりを覚おぼえています。その人ひとたちに、そのときどんな思おもいで手術しゅじゅつをしたのか、本当ほんとうに聞きいてみたいです。心こころの底そこから悔くやしく思おもいます」と話はなしていました。

原告げんこくの1人にんで宮城みやぎ県けんに住すむ飯塚いいづか淳子じゅんこさん（仮名かめい）は「不妊ふにん手術しゅじゅつによって健康けんこうな体からだが傷きずつけられ、痛いたみに悩なやまされ、精神せいしん的てきストレスが積み重つみかさなり働はたらけなくなりました。私わたしはこの被害ひがいが闇やみに葬ほうむられてはならないと思おもいたった1人にんで歯はを食くいしばって被害ひがいを訴うったえ続つづけてきました。国くにが非ひを認みとめないことで苦くるしめ続つづけられました。最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつでやっと希望きぼうの光ひかりが見みえてきましたが私わたしの人生じんせいは返かえってきません。本当ほんとうは私わたしの体からだを元もとに戻もどしてほしいと思おもっていました。せめて国くにに心こころの底そこから謝罪しゃざいし被害ひがい者しゃに寄り添よりそい心こころのある解決かいけつをしてほしい」と話はなしていました。

岸田きしだ首相しゅしょう「除じょ斥期間きかんの主張しゅちょう撤回てっかいし和解わかい目指めざす」

このあと岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは「筆舌ひつぜつに尽つくしがたいご経験けいけんを直接ちょくせつお伺うかがいし、改あらためて痛切つうせつな気持きもちを抱いだき、心こころより深ふかく謝罪しゃざいを申し上もうしあげる。この問題もんだいが先送さきおくりできない課題かだいで、可能かのうな限かぎり早はやく解決かいけつしなければならないとの思おもいを強つよくしている」と述のべました。

その上うえで「最高裁さいこうさい判決はんけつでは、除じょ斥期間きかんを主張しゅちょうすることは信義しんぎ則そくに反はんし、権利けんりの乱用らんようとして許ゆるされないとされている。これまでの判例はんれいを踏ふまえた主張しゅちょうであったとしても、政府せいふのさまざまな主張しゅちょう自体じたいが気持きもちを傷きずつけるものであったことについて、皆みなさま方かたが感かんじられた思おもいを重おもく受け止うけとめたい」と述のべました。

そして「政府せいふの姿勢しせいが問題もんだいの解決かいけつを遅おくらせたとの指摘してきも真摯しんしに受け止うけとめ、それであればこそ早急そうきゅうな訴訟そしょうの解決かいけつが政府せいふの責務せきむと考かんがえ、みなさま方かたとただちに協議きょうぎを進すすめていく」と述のべました。

その上うえで「最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつ以外いがいの現在げんざい継続けいぞくしている訴訟そしょうについては『除じょ斥期間きかん』による権利けんり消滅しょうめつの主張しゅちょうは撤回てっかいをし、和解わかいによる解決かいけつを速すみやかに目指めざしていく」と述のべました。

また岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは「現在げんざい、訴訟そしょうを起おこされていない方々かたがたも含ふくめ、幅広はばひろい方々かたがたを対象たいしょうとした補償ほしょうとすること、本人ほんにんのみならず配偶はいぐう者しゃの方々かたがたが受うけた苦痛くつうも視野しやに入いれて補償ほしょうを検討けんとうする」と述のべました。

その上うえで「確定かくていした判決はんけつに示しめされた金額きんがくも踏ふまえ、十分じゅうぶんかつ適正てきせいな賠償ばいしょうの額がくとすることを基本きほん方針ほうしんとして、新あらたな補償ほしょうの仕組しくみを創設そうせつすることとし、超党派ちょうとうは議員ぎいん連盟れんめいと調整ちょうせいしながら議員ぎいん立法りっぽうの検討けんとうを進すすめていく」と述のべました。

また「違憲いけんとされる国家こっかの行為こういがおよそ半はん世紀せいきもの長ながきにわたって合憲ごうけんとされてきたという重おもい事実じじつを踏ふまえれば、二度にどと同おなじ過あやまちを繰り返くりかえさないための検証けんしょうに加くわえ、優生ゆうせい思想しそうや障害しょうがい者しゃに対にたいする偏見へんけん・差別さべつの根絶こんぜつに向むけた恒久こうきゅう的てきな対策たいさくが不可欠ふかけつだ。政府せいふとして国会こっかいとも相談そうだんしながら、要求ようきゅうを踏ふまえた、より客観きゃっかん的てきな検証けんしょうを実施じっしすべく、そのあり方ありかたを検討けんとうしていく」と述のべました。

そして「偏見へんけん・差別さべつの根絶こんぜつに向むけてこれまでの取り組とりくみを点検てんけんし、教育きょういく・啓発けいはつなどを含ふくめて強化きょうかするため、全ぜん府ふ省庁しょうちょうによる新あらたな体制たいせいを構築こうちくしたい」と述のべました。

その上うえで「被害ひがいの回復かいふくを含ふくめ、さまざまな課題かだいに関にかんし協議きょうぎさせていただきたい。関係かんけい府ふ省しょうと皆みなさま方かたとの継続けいぞく的てきな協議きょうぎの場ばも設もうけたい」と述のべました。

そして最後さいごに「改あらためて皆みなさま方かたの苦難くなんと苦痛くつうに対にたいして、お1人にんお1人にんに深ふかく深ふかく謝罪しゃざいを申し上もうしあげる」と述のべ改あらためて陳謝ちんしゃしました。

異例いれいの規模きぼの面会めんかい時間じかんの制限せいげん設もうけず

総理そうり大臣だいじん官邸かんていで行おこなわれた17日にちの面会めんかいには、裁判さいばんの原告げんこくや関係かんけい者しゃおよそ130人にんが出席しゅっせきしたのに加くわえ、オンラインでも多おおくの人ひとが様子ようすを見守みまもりました。

政府せいふ関係かんけい者しゃは「総理そうり大臣だいじんが1度どにこれだけ多おおくの人ひとと面会めんかいするのは異例いれいのことだ」と話はなしています。

面会めんかいは時間じかんの制限せいげんを設もうけない形かたちで行おこなわれ、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは1時間じかん余あまりにわたって原告げんこくや弁護士べんごしらの意見いけんや要望ようぼうに耳みみを傾かたむけました。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは周囲しゅういに「時間じかんにしばられず、できるだけ当事者とうじしゃの話はなしを聴ききたい」と話はなしていたということで、政府せいふとして真摯しんしな反省はんせいとおわびの気持きもちを示しめす観点かんてんからも、面会めんかい時間じかんを最大限さいだいげん確保かくほするため、17日にち夕方ゆうがたにかけてはほかの公務こうむを入いれなかったということです。

政府せいふは出だされた意見いけんや要望ようぼうを受うけた対応たいおうについては、超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいとも相談そうだんしながら検討けんとうしていく考かんがえです。

面会めんかい後ご原告げんこくが語かたったことは

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとの面会めんかいの後のち、原告げんこくの1人にんの北きた三郎さぶろうさん（仮名かめい）は「深ふかく深ふかくお詫おわびを申し上もうしあげると言いってくれました。67年間ねんかんの思おもいが安やすらぎました」と話はなしていました。

また小島こじま喜久夫きくおさんは「総理そうりには不幸ふこうか幸しあわせかは自分じぶんで決きめることだと伝つたえました。総理そうりは『これまで苦労くろうしましたね』と手てを握にぎってくれましたが、自分じぶんにされたことは絶対ぜったいに許ゆるしません」と話はなしていました。

鈴木すずき由美ゆみさんは「障害しょうがい者しゃへの差別さべつがなくなる第だい一いち歩ほかなと思おもいます。まだまだ差別さべつが多おおいので、総理そうりにはそうした世界せかいを変かえてほしいとお願おねがいしました」と話はなしていました。

被害ひがい者しゃへの新あらたな補償ほしょう超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいで検討けんとうへ

旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうによる被害ひがい者しゃへの新あらたな補償ほしょうは、先さきの最高さいこう裁判所さいばんしょの判決はんけつを踏ふまえ、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが検討けんとうしていくことを表明ひょうめいしました。

具体ぐたい的てきな検討けんとうは、旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうが1948年ねんに議員ぎいん立法りっぽうで制定せいていされた経緯けいいなども背景はいけいに、超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいで進すすめられることになり、今月こんげつ作業さぎょうチームが設置せっちされました。

議員ぎいん連盟れんめいでは、できるだけ早はやく新あらたな補償ほしょうのしくみの内容ないようを固かため、必要ひつような法案ほうあんを議員ぎいん立法りっぽうで国会こっかいに提出ていしゅつしたいとしています。

政府せいふは立法りっぽう作業さぎょうに連携れんけいして対応たいおうしていくとともに、法案ほうあんが成立せいりつすれば、それに基もとづいて必要ひつような措置そちを講こうじていく方針ほうしんです。

旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうをめぐっては、被害ひがい者しゃから訴うったえが相次あいついだ中なか、2019年ねんに議員ぎいん立法りっぽうで成立せいりつした被害ひがい者しゃの救済きゅうさいのための法律ほうりつに基もとづき、これまで一律いちりつで320万まん円えんの一いち時じ金きんが支給しきゅうされてきていますが、新あらたな補償ほしょうはこれとは別べつに行おこなうことが想定そうていされています。

補償ほしょうに関にかんし原告げんこくや関係かんけい者しゃからは「従来じゅうらいの一いち時じ金きんでは到底とうてい不十分ふじゅうぶんで、被害ひがい者しゃの実情じつじょうを踏ふまえた水準すいじゅんを確保かくほすべきだ」という意見いけんや「裁判さいばんの原告げんこくだけでなくすべての被害ひがい者しゃを対象たいしょうにする必要ひつようがある」との要望ようぼうが出でています。

政府せいふ内ないにも「被害ひがい者しゃの意向いこうを最大限さいだいげん踏ふまえたしくみにすべきだ」との声こえもあって、具体ぐたい的てきな制度せいど設計せっけいでは金額きんがくや対象たいしょう範囲はんいが大おおきな焦点しょうてんとなります。

おわびや反省はんせい示しめす国会こっかい決議けつぎも調整ちょうせいへ

旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうをめぐっては超党派ちょうとうはの議員ぎいん連盟れんめいの会合かいごうで会長かいちょうを務つとめる自民党じみんとうの田村たむら・元もと厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんが「反省はんせいにのっとった国会こっかい決議けつぎも考かんがえなければならない」と述のべるなど、与野党よやとうの間まからおわびや反省はんせいを示しめすため、国会こっかい決議けつぎを行おこなうべきだという意見いけんが出でています。

このため国会こっかいでは今後こんご、被害ひがい者しゃへの新あらたな補償ほしょうのための法ほう整備せいびの議論ぎろんに加くわえ、国会こっかい決議けつぎに向むけた調整ちょうせいが行おこなわれる見通みとおしです。

6年ねん前まえから各地かくちで裁判さいばん最高裁さいこうさいが今月こんげつ“憲法けんぽう違反いはん”判断はんだん

旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうのもとで不妊ふにん手術しゅじゅつを強制きょうせいされた人ひとたちが国くにに賠償ばいしょうを求もとめる裁判さいばんは、6年ねん前まえに知的ちてき障害しょうがいがある宮城みやぎ県けんの女性じょせいが仙台せんだい地方ちほう裁判所さいばんしょに初はじめて起おこし、その後そのご、全国ぜんこくに広ひろがりました。

弁護べんご団だんによりますと、これまでに39人にんが12の地方ちほう裁判所さいばんしょや支部しぶに訴うったえを起おこし、これまでの判決はんけつでは不法ふほう行為こういを受うけて20年ねんが過すぎると賠償ばいしょうを求もとめる権利けんりがなくなるという「除じょ斥期間きかん」について判断はんだんが分わかれていました。

原告げんこくは高齢こうれいで、弁護べんご団だんによりますとこれまでに原告げんこく39人にんのうち6人にんが死亡しぼうしました。

こうしたなか最高さいこう裁判所さいばんしょ大だい法廷ほうていは、今月こんげつ3日にち「旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうは憲法けんぽうに違反いはんしていた」としたうえで「除じょ斥期間きかん」の適用てきようについては「この裁判さいばんで、請求せいきゅう権けんが消滅しょうめつしたとして国くにが賠償ばいしょう責任せきにんを免まぬかれることは、著いちじるしく正義まさよし・公平こうへいの理念りねんに反はんし容認ようにんできない」として認みとめず、国くにに賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしました。

判決はんけつは裁判官さいばんかん15人にん全員ぜんいん一致いっちの結論けつろんで、法律ほうりつの規定きていを最高裁さいこうさいが憲法けんぽう違反いはんと判断はんだんしたのは戦後せんご13例れい目めでした。

「旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほう」とは

「旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほう」は戦後せんごの出産しゅっさんブームによる急激きゅうげきな人口じんこう増加ぞうかなどを背景はいけいに1948年ねんに施行しこうされた法律ほうりつです。

法律ほうりつでは精神せいしん障害しょうがいや知的ちてき障害しょうがいなどを理由りゆうに本人ほんにんの同意どういがなくても強制きょうせい的てきに不妊ふにん手術しゅじゅつを行おこなうことを認みとめていました。

当時とうじは親おやの障害しょうがいや疾患しっかんがそのまま子こどもに遺伝いでんすると考かんがえられていたこともあり、条文じょうぶんには「不良ふりょうな子孫しそんの出生しゅっしょうを防止ぼうしする」と明記めいきされていました。

旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうは1996年ねんに母体ぼたい保護ほご法ほうに改正かいせいされるまで48年ねんにわたって存続そんぞくし、この間このかん、強制きょうせい的てきに不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけさせられた人ひとはおよそ1万まん6500人にん、本人ほんにんが同意どういしたとされるケースを含ふくめるとおよそ2万まん5000人にんにのぼるとされています。

国くには「当時とうじは合法ごうほうだった」として謝罪しゃざいや補償ほしょうを行おこなってきませんでしたが、不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけさせられた女性じょせいが国くにに損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる裁判さいばんを起おこしたことなどを受うけて、2019年ねん旧きゅう優生ゆうせい保護ほご法ほうのもとで不妊ふにん手術しゅじゅつを受うけた人ひとたちに一時いちじ金きんを支給しきゅうする法律ほうりつが議員ぎいん立法りっぽうで成立せいりつ、施行しこうされました。