3年前、体調不良をおして仕事に向かい、急性肺炎による急性心不全になったことがあり、感染には人一倍、気を遣っていたといいます。
ハチミツ二郎さん
「倒れてからは2か月に1回定期検診を受けているのですが、血糖値も高いので、主治医には『二郎さん、コロナにかかったら必ず重症化するよ』と言われていました。うがい、手洗い、マスクの着用を徹底して、外出もほとんどしなかった。今思えば、目や鼻に手を持っていく癖があるので、原因といえばそれくらいかなと思います」
感染発覚後に保健所に予測してもらった感染日と前後の3日間は、家から一歩も出ていなかったそうです。
症状が軽かったので普段通り過ごしていると、翌日の昼頃、40度近くまで急激に熱があがりました。 しかし、市販の解熱剤で熱は下がり、症状もほとんどなかったといいます。 このとき、二郎さんは血液中の酸素の値を見る「パルスオキシメーター」で、酸素をどの程度取り込めているかを示す『酸素飽和度』を計り、主治医に相談していました。 3年前の入院の際に毎日検査していたことから、念のため購入していました。 酸素飽和度の正常値は96%以上とされ、厚生労働省の「診療の手引き」では、93%以下では酸素吸入が必要としています。 この日の夜の二郎さんの値は、88%まで下がっていました。 主治医に伝えると、「コロナと関係なくても、救急車で運ばれるレベルだ」と言われ、急いで救急隊を呼んだといいます。 ハチミツ二郎さん 「体調はそこまで悪くなかったので、もし酸素飽和度を計っていなかったら、そのまま寝ていたかもしれません。よく『前日まで保健所とやり取りしていたけど、翌日連絡がなくなる』というケースを聞くじゃないですか。自分も、坂道を下るように体調が急変していたかもしれない。パルスオキシメーターが、運命を左右しました」
次に目が覚めたのは8日後。 年の瀬も迫る、12月22日でした。
リハビリを続けながら回復するのを待ちましたが、体内のウイルスの量がなかなか退院基準まで減少せず、長い入院生活を余儀なくされました。
ハチミツ二郎さんは退院から5か月ほどたった今も、手のしびれや倦怠感といった症状に悩まされています。 しかも、退院直後よりもひどくなっているといいます。 ハチミツ二郎さん 「200メートルも歩いたら息が切れます。歩いただけなのに、なぜか腕がすごい筋肉痛になるんです。どうきと息切れの原因は心臓かと思って診てもらったのですが、問題が無かった。だから、コロナの後遺症なんだろうなと思います。IT系の会社での仕事もしているんですけど、もし通勤しなければならないと言われたら、しんどかったと思います」
しかし、看護師やリハビリを担当した先生から「芸人さんなので、ぜひ若い人に向けてメッセージを送ってほしい」と託され、みずからの体験を詳細にブログにつづりました。 今は、SNSで直接やりとりする「ダイレクトメッセージ」を通じて、コロナ患者やその親族からの相談に乗っているといいます。 ハチミツ二郎さん 「若い人が感染しても、おそらく平気なんです。ひとり暮らしで自粛生活が長引くと、彼女に会いにいくかもしれない、友達どうしで集まるかもしれない。でもその先で広がるかもしれないのがコロナウイルス。『あなたは大丈夫ですけど、あなたとすれ違った人が死ぬかもしれない』ということを伝えたいです。相談を受けていて思うのは、連絡を取れるようにしておいたほうがいいということ。もしおじいちゃんがひとり暮らしなら、全然元気でも毎日電話する。1人で暮らしている人がいれば、LINEでもいいから“大丈夫か”とか、“何かあったら言え”とか、こまめに連絡した方がいいと思います」 (取材:科学文化部 記者 加川直央)
念のため購入していた「パルスオキシメーター」で
次に目が覚めたのは8日後
手のしびれや倦怠感…「今のほうがひどい」
芸人として若者に伝えたい