日本新闻: 摂食障害コロナ禍で症状悪化の報告

摂と食しょく障害しょうがいコロナ禍かで症状しょうじょう悪化あっかの報告ほうこく

Jun 27, 2021 06:06 0

Furigana

全国ぜんこくで数すう十じゅう万まん人にんの患者かんじゃがいるとされている摂と食しょく障害しょうがい、コロナ禍かでの影響えいきょうを医療いりょう機関きかんなどが調しらべたところ、子こどもの受診じゅしんが増ふえたり、症状しょうじょうが悪化あっかする人ひとが増ふえたりしていることがわかりました。

コロナ禍かの摂と食しょく障害しょうがいについては、さまざまな機関きかんが調査ちょうさを結果けっかをまとめていて、このうち獨協医科大学どっきょういかだいがく埼玉さいたま医療いりょうセンター子こどものこころ診療しんりょうセンターが、患者かんじゃ数すうの動向どうこうを調しらべました。

それによると去年きょねん、摂と食しょく障害しょうがいの疑うたがいで初はじめてセンターを受診じゅしんした小中こなか学生がくせいは70人にんで、前まえの年とし1.6倍ばいになっていました。

センターの作田さくた亮一りょういち教授きょうじゅは「去年きょねんのコロナによる休校きゅうこう明あけから、明あきらかに初診しょしんが増ふえた」と話はなし、ほとんどが、休校きゅうこう中ちゅうに食事しょくじの量りょうを極端きょくたんに減へらす「ダイエット」を始はじめていたということです。

環境かんきょう変化へんかのストレスや、“コロナ太ふとり”を強調きょうちょうする大人おとな向むけのダイエット情報じょうほうを目めにする機会きかいが増ふえたことなどが拒食しょくの引き金ひきがねになったとみていて、「子こどもたちは、繊細せんさいで素直すなおで影響えいきょうされやすい。どんな状況じょうきょうでも、適切てきせつな食事しょくじと睡眠すいみん、適度てきどな運動うんどうが大切たいせつだと伝つたえ続つづけてほしい」と話はなしています。

また「日本にっぽん摂と食しょく障害しょうがい協会きょうかい」は今月こんげつ、オンラインイベントを開ひらき、協会きょうかいの理事りじで明治めいじ学院がくいん大学だいがく心しん理学部りがくぶの西園にしぞのマーハ文ぶん教授きょうじゅが、新型しんがたコロナが摂と食しょく障害しょうがいに及およぼす影響えいきょうについて去年きょねん、インターネットで行おこなった当事者とうじしゃへのアンケートの結果けっかを報告ほうこくしました。

去年きょねん4月つきから5月つきにかけて行おこなわれた1回かい目めのアンケートには278人にんが回答かいとうし、仕事しごとが減へって経済けいざい的てきな困難こんなんを抱かかえたり、家族かぞくとの関係かんけいに問題もんだいが起おきたりするなど、何なにかしらの「影響えいきょうを受うけている」と答こたえた人ひとは9割わりに上のぼりました。

環境かんきょう変化へんかにともない、過食かしょくの症状しょうじょうがある人ひとのうち7割わり以上いじょうが「過食かしょくが増ふえた」と答こたえていて、症状しょうじょうの悪化あっかが伺うかがえました。

また、2回かい目めの調査ちょうさは、去年きょねん8月つきから9月つきにかけて行おこなわれ、192人にんが回答かいとうしました。

この中なかで、摂と食しょく障害しょうがいの症状しょうじょうの背景はいけいにある精神せいしん的てきな状況じょうきょうについてたずねていて、不安ふあんや憂ゆううつな気持きもちを感かんじたり、不眠ふみんを訴うったえたりしている人ひとが半数はんすうを占しめていました。

西園にしぞのマーハ文ぶん教授きょうじゅは「感染かんせんそのものへの不安ふあんよりも、外出がいしゅつ自粛じしゅくなどの生活せいかつ環境かんきょうの変化へんかが、症状しょうじょうの悪化あっかに影響えいきょうしているとみられる」と分析ぶんせきしています。

イベントでは、大学生だいがくせいの時ときに「過食かしょくおう吐おうと」の症状しょうじょうを発症はっしょうした女性じょせいが意見いけんを発表はっぴょうし、友人ゆうじんから「最近さいきん食たべ過すぎで過食かしょく症しょうかも」と言いわれ、傷きずついたと訴うったえました。

摂と食しょく障害しょうがいの症状しょうじょうは、自分じぶんの意思いしでコントロールするのが難むずかしいのが特徴とくちょうで、食たべ過すぎとは異ことなることから、病気びょうきへの正ただしい知識ちしきを広ひろめてほしいと伝つたえました。

また、高校生こうこうせいの時ときに摂と食しょく障害しょうがいを発症はっしょうした女性じょせいは、母親ははおやが症状しょうじょうを止とめようと、生活せいかつや治療ちりょうを懸命けんめいにサポートしてくれたが、症状しょうじょうの回復かいふくよりもまず、つらい気持きもちに寄り添よりそってほしかった話はなしました。

女性じょせいは「まず、つらかったねなどと、今いまの状態じょうたいを肯定こうていすることばをかけてほしかった」と話はなしていました。

福岡ふくおか県けん摂と食しょく障害しょうがい拠点きょてん病院びょういんの高倉たかくら修おさむ医師いしは「摂と食しょく障害しょうがいの症状しょうじょうの背景はいけいには、寂さびしさや切せつなさ、不安ふあんな気持きもちがある。家族かぞくや支援しえん者しゃなど身近みぢかな人ひとたちは、まずは、その気持きもちに耳みみを傾かたむけてほしい」と話はなしていました。