警察は、この法律に関する市民の通報を受け付ける専用の窓口を運用していて、去年11月に開設されてからの半年間で10万件を超える通報が寄せられたということです。
民主派は「密告を奨励し、市民の間の信頼関係を壊すものだ」と厳しく非難しています。
選挙に立候補する人は、審査で政府に忠誠を尽くしていないと判断されると立候補できなくなったほか、区議会議員にも中国や香港の政府に忠誠を誓わせることになりました。 この結果、7月には区議会議員に対して宣誓が求められる見通しで、全体の8割を占めていた民主派の議員のうち100人以上が宣誓に反したと見なされて議員資格を剥奪される可能性が高まっています。 香港の自由の象徴とも言える、毎年行われてきた大規模な抗議活動が新型コロナウイルスの感染防止を理由に禁止されるなど、市民の抗議は厳しく抑え込まれています。 こうした状況を嫌い、香港を離れる人も増えています。 海外に移住する際などに必要となることが多い無犯罪証明書を取り寄せた人は、この1年間でおよそ3万4000人に上ります。 この1年、政治活動や言論への締めつけは強まる一方で、国際都市、香港の特長と言われてきた自由で寛容な社会は大きく変わりました。
そのうえで「香港の一国二制度はなくなったと考えたほうがいい」と指摘しました。 中国政府に批判的な論調で知られた新聞「リンゴ日報」が発行停止に追い込まれたことについて「7月1日の香港返還記念日の前に停刊に追い詰めたことは中国にとってみれば成功なのだろう。香港にはほかにもいくつか調査報道に強いネットメディアがあり、今後はそういったところもターゲットになるかもしれない」という見方を示しました。 また、香港政府ナンバー2の政務官に警察出身者が任命されたことについて「警察国家として香港が存在するということを公に示しているようなものだ。警察関係者が重要なポストを占めていくと、場合によっては香港政府トップの行政長官にも警察出身者が選ばれるようになるかもしれない」という見方を示しました。 そして「香港では言論空間もますます閉鎖的になって息苦しい空気が漂っている。こんなところで子どもに教育を受けさせたくないとして移住を考える家庭が増えている」と述べ、香港国家安全維持法の施行からまもなく1年となる中、社会から自由と活気が失われていると指摘しました。
自由で寛容な香港 大きく変化
「香港の一国二制度はなくなった」専門家