Japanese News: 停電しランタンで…それでも休まないスーパー【被災地の声】

元日がんじつの地震じしんから1か月かげつがすぎ、2月つきに入はいりました。

大おおきな被害ひがいが出でた輪島わじま市し町野まちの町まちの粟あわ蔵ぞう地区ちくで唯一ゆいいつのスーパーは、地震じしん直後ちょくごから休やすまず営業えいぎょうを続つづけています。

店主てんしゅの自宅じたくは全壊ぜんかい、避難ひなん生活せいかつが続つづきます。電気でんきが復旧ふっきゅうせずに店みせは薄暗うすぐらく、客きゃくにはランタンを持もって入はいってもらいます。

それでもなぜお店みせを開あけるんですか、とたずねると…

輪島わじま市し町野まちの町まちのスーパーで

店主てんしゅ「これ、ビニールかなんかに入いれる？」

客きゃく「このままでいいわ。手てで持もってくよ、ありがとう」

店主てんしゅ「ありがとうね」

地震じしんから1か月かげつが過すぎた2月つき2日にち。

輪島わじま市し町野まちの町まちの粟あわ蔵ぞう地区ちくにある「スーパーもとや」からは、そんな声こえが聞きこえていました。

（電源でんげんコードを買かいに来きた男性だんせい）

「電気でんきが来きたんですけど、電気でんきを取とれる場所ばしょが少すくないので、分岐ぶんきを作つくろうかと思おもって部品ぶひんを買かったんです。この店みせが無なければ遠とおいところまで1時間じかん以上いじょうかけて買かいに行いかなくてはならないので、本当ほんとうに助たすかっています」

「だから私わたしが頑張がんばらなきゃ」

店みせの創業そうぎょうは61年ねん前まえです。

2代目だいめ店主てんしゅの本谷ほんや一郎いちろうさん（75）は自宅じたくが全壊ぜんかいし、車くるまなどで避難ひなん生活せいかつを送おくりながらも、元日がんじつから営業えいぎょうを続つづけています。

本谷ほんやさん

「地震じしん後ごすぐに地区ちくのみんながお店みせに集あつまってきて、『もとやさん、これ欲ほしいわ』って。この店みせがないと地域ちいきのお年寄としよりは困こまりますから。だから私わたしが頑張がんばらなきゃいけないんだなと思おもいました」

地震じしんから1か月かげつがたちましたが電気でんきは復旧ふっきゅうせず、店みせは薄暗うすぐらいままです。

買い物かいもの客きゃくにはランタンを持もって入はいってもらいます。

冷蔵庫れいぞうこなどが使つかえないため生鮮せいせん食品しょくひんなどの新あらたな仕入しいれは止とまったままです。

それでも、地震じしんの前まえから在庫ざいこのあった食料しょくりょう品ひんや電池でんちなどの生活せいかつ用品ようひんを販売はんばいしています。

「お客おきゃくさんはどこも買かいに行いくとこがないですから。少すこしでも役やくに立たてればと、一生いっしょう懸命けんめいやっています」

取材しゅざい中ちゅうにも、客きゃくが訪おとずれていました。

「タバコも、もうこんだけしかないやわ。ここにあるだけ」

客きゃく「じゃあこれにします」

電気でんきが使つかえないため、レジは使つかえません。

「これいくらやったか？580円えんか。580円えん。はい、ちょうどね、ありがとう。“ゆっくりしていって”」

ストーブ前まえのベンチが憩いこいの場ばに

“ゆっくりしていって”

その言葉ことばの通とおり、本谷ほんやさんの店みせを出でてすぐのスペースには小屋こやがあり、ベンチと2台だいの石油せきゆストーブが備そなえられ、被災ひさいした地区ちくに残のこる人ひとたちの憩いこいの場ばにもなっています。

この日ひは、さきほどたばこを買かった男性だんせいも含ふくめ、3人にんが談笑だんしょうしていました。

ストーブの上うえでは缶かんコーヒーが温あたたまっています。

男性だんせいたちはコーヒーを飲のみながら、この場所ばしょの大切たいせつさを教おしえてくれました。

「ここでみんなで情報じょうほう交換こうかんするんです。『これから生活せいかつどうする？』とか、『水みず、いつまでこんやろ？』みたいなリアルの話はなしもここでするんです。相手あいてが知しらない情報じょうほうを教おしえて、教おしえてもらって。お互おたがいさまです」

本谷ほんやさん

「今いま、お店みせが成り立なりたっているのは、粟あわ蔵くらのみんなのおかげですから。親父おやじの代だいからずっと見みてますけれども、お客おきゃくさんたちもひいきにして、店みせを育そだててくれたもんですから、お客おきゃくさんへの感謝かんしゃの気持きもちは代かえがたいですね。お客おきゃくさんと言いいながら、家族かぞくみたいなもんですから、なんとか頑張がんばっていきたいです」