ゼレンスキー大統領だいとうりょう 軍ぐん総そう司令しれい官かんの解任かいにん検討けんとうを認みとめる

ゼレンスキー大統領だいとうりょうは4日にち公開こうかいされたイタリアの公共こうきょう放送ほうそう「RAI」とのインタビューで、軍ぐんのザルジニー総そう司令しれい官かんが解任かいにんされる可能かのう性せいがあると複数ふくすうのメディアが報ほうじていることを尋たずねられ「リセットと、新あらたな出発しゅっぱつが必要ひつようだ」と述のべ、解任かいにんを検討けんとうしていることを認みとめました。

そのうえで「軍ぐんだけでなく国くにのリーダーたちの交代こうたいについて考かんがえている」と述のべ、ザルジニー総そう司令しれい官かんにとどまらず、複数ふくすうの政府せいふ高官こうかんを交代こうたいさせる可能かのう性せいを示唆しさしました。

そして「戦況せんきょうはこう着こうちゃくしている。これは事実じじつだ」と指摘してきし「勝利しょうりを目指めざすのであれば、全員ぜんいんが同おなじ方向ほうこうを向むいて進すすまなければならない。だからこそ、再さい出発しゅっぱつが必要ひつようだ」と訴うったえ、解任かいにんの具体ぐたい的てきな理由りゆうについては明言めいげんを避さけながら、ロシアに対にたいする反転はんてん攻勢こうせいを成功せいこうさせるために必要ひつようだという考かんがえを示しめしました。

ザルジニー氏しは、戦闘せんとうの進め方すすめかたなどを巡めぐってゼレンスキー大統領だいとうりょうとたびたび意見いけんが対立たいりつしてきたと伝つたえられ、先月せんげつ下旬げじゅんから欧米おうべいなどのメディアが、ザルジニー氏しが解任かいにんされるという見方みかたを相次あいついで報ほうじていました。

外交がいこう筋すじによりますと、G7＝主要しゅよう7か国かこくの各国かっこくも先月せんげつ下旬げじゅんからザルジニー氏しの解任かいにんの可能かのう性せいについて意見いけんを交かわし「大統領だいとうりょうと軍ぐんのトップが対立たいりつしていてはロシアを利りするだけなので、結束けっそくすべきだとウクライナ側がわに伝つたえた」という話はなしも出だされたということです。

ゼレンスキー大統領だいとうりょうは、ザルジニー氏しを解任かいにんした場合ばあいの戦況せんきょうへの影響えいきょうや国民こくみんの反応はんのうなどを慎重しんちょうに見極みきわめ、最終さいしゅう的てきに判断はんだんするとみられます。

ザルジニー総そう司令しれい官かんとは

ザルジニー総そう司令しれい官かんは1973年ねん生うまれの50歳さい。

1997年ねんに軍人ぐんじんとしてのキャリアをスタートさせたザルジニー氏しは、陸軍りくぐんで要職ようしょくを歴任れきにんしたあと、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが始はじまる前まえの2021年ねん7月つきにウクライナ軍ぐんのトップ、総そう司令しれい官かんに就任しゅうにんしました。

ロシアによる侵攻しんこう開始かいし後ごはたびたび最さい前線ぜんせんにも赴おもむくなどして軍事ぐんじ作戦さくせんの指揮しきをとり続つづけてきました。

去年きょねん12月つきにキーウ国際こくさい社会しゃかい学がく研究所けんきゅうじょが発表はっぴょうした世論せろん調査ちょうさでは、ザルジニー総そう司令しれい官かんを「信頼しんらいしている」と回答かいとうした人ひとが88％にのぼり、ゼレンスキー大統領だいとうりょうを「信頼しんらいしている」と答こたえた62％を上回うわまわりました。

ザルジニー総そう司令しれい官かんは、去年きょねん11月つきにはイギリスの経済けいざい誌し「エコノミスト」に「現代げんだいの陣地じんち戦せんとその勝かち方かた」と題だいする論考ろんこうを寄稿きこうしました。

また、今月こんげつにはアメリカのCNNテレビに寄稿きこうし、欧米おうべいからの軍事ぐんじ支援しえんについて各国かっこくの不安定ふあんていな政治せいじ情勢じょうせいが支援しえんの縮小しゅくしょうにつながっているとしたうえで、今後こんごは無人むじん機きなど安やすくて効果こうか的てきな技術ぎじゅつをさらに活用かつようする必要ひつよう性せいがあると強調きょうちょうするなど、独自どくじの分析ぶんせきを発信はっしんしていました。

一方いっぽうで去年きょねん6月つきに始はじまった反転はんてん攻勢こうせいが当初とうしょの想定そうていより進すすんでいないと伝つたえられる中なか、戦況せんきょうの認識にんしきなどを巡めぐってザルジニー氏しとゼレンスキー大統領だいとうりょうとの間まで意見いけんが対立たいりつするなど、あつれきも生しょうじていると指摘してきされていました。

去年きょねん12月つき、ウクライナのメディア「ウクラインスカ・プラウダ」は、大統領だいとうりょうの側近そっきんの話はなしとして、ゼレンスキー大統領だいとうりょうが直接ちょくせつ、一部いちぶの司令しれい官かんとやりとりしているため軍ぐんの指揮しき系統けいとうが乱みだれ、ザルジニー氏しが軍ぐん全体ぜんたいを統率とうそつできなくなっているとの見方みかたを伝つたえていました。

そして先月せんげつ下旬げじゅんからウクライナや欧米おうべいのメディアが、ザルジニー氏しが解任かいにんされるのではないかという見方みかたを相次あいついで伝つたえ、このうちアメリカの有力ゆうりょく紙し、ワシントン・ポストは今月こんげつ2日にち、ゼレンスキー大統領だいとうりょうが解任かいにんを決きめたとウクライナ政府せいふが最大さいだいの支援しえん国こくであるアメリカのホワイトハウスに伝つたえたと報ほうじていました。

ザルジニー総そう司令しれい官かんを交代こうたいさせることになれば、国民こくみんから反発はんぱつが出でるほか、軍ぐんの統率とうそつが一時いちじ的てきに乱みだれるなど戦況せんきょうに影響えいきょうが及およぶ可能かのう性せいがあるという指摘してきも出でています。

首都しゅとキーウではザルジニー氏し解任かいにん影響えいきょうを懸念けねんする声こえ

ウクライナ軍ぐんのザルジニー総そう司令しれい官かんの解任かいにんの可能かのう性せいが伝つたえられていることについて、首都しゅとキーウでは、国民こくみんからの人気にんきが高たかいザルジニー氏しが解任かいにんされた場合ばあいの影響えいきょうを懸念けねんする声こえが相次あいつぎました。

このうち50歳さいの男性だんせいは「私わたしは軍事ぐんじの専門せんもん家かではないが、ザルジニー氏しは象徴しょうちょう的てきな存在そんざいになっている。もし解任かいにんされれば国際こくさい的てきによくない印象いんしょうを与あたえることは明あきらかだ」と話はなしていました。

63歳さいの男性だんせいは「ザルジニー氏しの人気にんきはゼレンスキー大統領だいとうりょうと同おなじくらい高たかい。私わたしはザルジニー氏しの解任かいにんを望のぞみません」と話はなしていました。

18歳さいの女性じょせいは「幼おさない子こどもでさえ、ザルジニー氏しを知しっていて人々ひとびとに希望きぼうを与あたえ、心こころを動うごかすといった点てんで非常ひじょうに大おおきな役割やくわりを果はたしています。もし解任かいにんされれば強つよい反発はんぱつが起おきると思おもいます」と話はなしていました。

ゼレンスキー大統領だいとうりょう ザポリージャ州しゅうなど訪問ほうもん

ウクライナ軍ぐんのザルジニー総そう司令しれい官かんの解任かいにんの可能かのう性せいが報ほうじられる中なか、ゼレンスキー大統領だいとうりょうは4日にち、前線ぜんせんに近ちかい南部なんぶザポリージャ州しゅうや東部とうぶドニプロペトロウシク州しゅうを相次あいついで訪問ほうもんしました。

このうちザポリージャ州しゅうでは激はげしい戦闘せんとうが続つづいているロボティネ近ちかくの陣地じんちを訪おとずれたとする映像えいぞうをウクライナ大統領だいとうりょう府ふが公開こうかいしました。

この中なかでゼレンスキー大統領だいとうりょうは兵士へいしを表彰ひょうしょうしたうえで「皆みなさんは敵てきを撃退げきたいしこの戦争せんそうに勝かつという困難こんなんで重要じゅうような任務にんむにあたっている。迅速じんそくに勝利しょうりするためあらゆることをしてほしい」と呼よびかけました。

ロボティネは去年きょねん8月つきにウクライナ軍ぐんが奪還だっかんした集落しゅうらくですが、反転はんてん攻勢こうせいは、その後そのご、こう着こうちゃくした状態じょうたいが続つづいていて、ゼレンスキー大統領だいとうりょうとしては訪問ほうもんを通をつうじて前線ぜんせんの兵士へいしの士気しきを高たかめたいねらいもあるとみられます。

戒厳かいげん令れい 90日にち延長えんちょう 選挙せんきょ行おこなわれない見通みとおし

ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうは5日にち、戒厳かいげん令れいと総動員そうどういん令れいをことし5月つきまで90日間にちかん、延長えんちょうする法案ほうあんを議会ぎかいにあたる最高さいこう会議かいぎに提出ていしゅつしました。

ウクライナでは、当初とうしょの予定よていではことしの春はるが大統領だいとうりょう選挙せんきょの実施じっし時期じきですが、戒厳かいげん令れいが撤回てっかいされるなど状況じょうきょうが変かわらないかぎり選挙せんきょは行おこなわれない見通みとおしです。

一部いちぶの国くにからは懸念けねんの声こえも

外交がいこう筋すじによりますと「ザルジニー総そう司令しれい官かんが解任かいにんされる可能かのう性せいがある」という情報じょうほうは、先月せんげつ中旬ちゅうじゅんごろからキーウに駐在ちゅうざいしている各国かっこく外交がいこう官かんたちの間までも話題わだいになったということです。

当初とうしょ、外交がいこう官かんたちは、ザルジニー氏しは、ゼレンスキー大統領だいとうりょうとの関係かんけいが悪化あっかしているとしても直ただちに解任かいにんされる状況じょうきょうではないと判断はんだんし、事態じたいを注視ちゅうしすることで一致いっちしていたということです。

外交がいこう筋すじは、NHKに対にたいして「ゼレンスキー大統領だいとうりょうはしゅん巡しゅんじゅんしている」と述のべ、国民こくみんにも人気にんきのあるザルジニー氏しを解任かいにんするかどうか慎重しんちょうに検討けんとうを進すすめている可能かのう性せいがあると明あきらかにしました。

また、G7各国かっこくは先月せんげつ下旬げじゅん、ザルジニー氏しの解任かいにんの可能かのう性せいに関にかんする情報じょうほうを巡めぐり意見いけんを交かわしたということで一部いちぶの国くにからは懸念けねんする声こえも聞きかれ「大統領だいとうりょうと軍ぐんのトップが対立たいりつしていてはロシアを利りするだけなので、結束けっそくすべきだとウクライナ側がわに伝つたえた」という話はなしも出だされたということです。