トルコ・シリア大だい地震じしん1年ねん 多おおくの人ひとたちがコンテナ仮設かせつで生活せいかつ

去年きょねん2月つき6日にちにトルコ南部なんぶで発生はっせいした大だい地震じしんではトルコで5万まん3537人にん、隣国りんごくシリアでおよそ6000人にんのあわせて5万まん9000人にん以上いじょうが死亡しぼうしました。

トルコの被災ひさい地ちでは今いまも70万まん人にん近ちかい人ひとたちがコンテナの仮設かせつ住宅じゅうたくでの生活せいかつを余儀よぎなくされていて、地震じしんから1年ねんとなるなかようやく一部いちぶの公営こうえい住宅じゅうたくが完成かんせいし、およそ5万まん世帯せたいが近ちかく入居にゅうきょする予定よていです。

ただ、被災ひさい地ちが広範囲こうはんいに及および、いまも壊こわれた建物たてものの解体かいたいなどが進すすむ中なか、公営こうえい住宅じゅうたくの完成かんせいは、計画けいかくの6分ぶんの1程度ていどにとどまっていて、人口じんこうの流出りゅうしゅつや産業さんぎょうの空洞くうどう化かも大おおきな課題かだいとなっています。

一方いっぽう、内戦ないせんが続つづくシリアでは、大おおきな被害ひがいが出でた北西ほくせい部ぶの反はん政府せいふ勢力せいりょくの支配しはい地域ちいきへの支援しえんが限かぎられる中なか、今いまも多おおくの人ひとがテントでの暮くらしを強しいられています。

厳きびしい経済けいざい状況じょうきょうのなか、雇用こようの確保かくほや子こどもの教育きょういく、それに支援しえん物資ぶっしの横流よこながしなども問題もんだいとなっていて、課題かだいが山積さんせきする中なか、復興ふっこうの道みちのりは険けわしいものとなっています。

トルコ 公営こうえい住宅じゅうたくの入居にゅうきょ者しゃや被災ひさい者しゃの声こえ

トルコの被災ひさい地ちでは公営こうえい住宅じゅうたくの入居にゅうきょ者しゃを決きめる抽ちゅうせんが行おこなわれ、近ちかく、およそ5万まん世帯せたいに部屋へやが引き渡ひきわたされる見通みとおしです。

南部なんぶハタイ県けんのイスケンデルンの公営こうえい住宅じゅうたくでは4日にち、新あらたな住すまいを一目いちもくみようと、当選とうせんした人ひとたちが完成かんせいした建物たてものに設もうけられたモデルルームの見学けんがくに訪おとずれていました。

このうち、手狭てぜまなテントでの避難ひなん生活せいかつやコンテナの仮設かせつ住宅じゅうたくで子こどもたちと離れ離はなればなれで暮くらさざるをえなかったという45歳さいの男性だんせいは「テントやコンテナでは夏なつは暑あつく、冬ふゆは寒さむくて暮くらせたものではなかったので当選とうせんを知しったときは叫さけんで喜よろこびました」と再さい出発しゅっぱつへの期待きたいを語かたっていました。

一方いっぽう、地震じしんの際さいに左ひだりひざに大だいけがを負おったという67歳さいの男性だんせいは「これまで親戚しんせきの家いえを転々てんてんとして惨みじめな思おもいをした。当選とうせんはしたが、年金ねんきん生活せいかつで住宅じゅうたくの購入こうにゅう費用ひようを支払しはらえるか分わからず、複雑ふくざつな気分きぶんだ」と経済けいざい的てきな不安ふあんを語かたっていました。

一方いっぽう、ガジアンテプ県けんヌルダーにあるコンテナの仮設かせつ住宅じゅうたくで暮くらす20歳さいの女性じょせいは「この1年間ねんかん、地震じしんの記憶きおくを忘わすれたくても忘わすれられなかった。もしもの時ときのことを考かんがえてしまい、片へんときも家族かぞくの元もとを離はなれられなくなった」と話はなしていました。

また、自宅じたくは被害ひがいを免まぬかれたものの精神せいしん的てきな不調ふちょうに苦くるしめられたという35歳さいの女性じょせいは「寒さむさは大だい地震じしんの日ひを思い出おもいださせる。子こどもも大人おとなもあの日ひの記憶きおくを乗り越のりこえて暮くらそうとしている」と話はなしていました。

シリア テントで生活せいかつ 学業がくぎょう諦あきらめる子こどもも

大だい地震じしんでおよそ6000人にんが死亡しぼうした内戦ないせん下かのシリアでは、1年ねんたったいまも多おおくの人ひとがテントでの生活せいかつを余儀よぎなくされています。

このうちトルコとの国境こっきょうに近ちかい北西ほくせい部ぶジャンデレスは、反はん政府せいふ勢力せいりょくの支配しはい地域ちいきで、国際こくさい的てきな支援しえんが限かぎられる中なか、地区ちくで唯一ゆいいつの学校がっこうが被災ひさいし、子こどもたちは、テントなどで授業じゅぎょうを受うけてきました。

こうした中なか、けが人けがにんの救助きゅうじょ活動かつどうを続つづけるボランティアの団体だんたい「ホワイト・ヘルメット」が子こどもたち4000人にんを収容しゅうようできる大だい規模きぼな学校がっこうの再建さいけんを始はじめ、ことし9月つきの開校かいこうを目指めざしています。

ただ、シリアでは内戦ないせん下かの厳きびしい経済けいざい状況じょうきょうで子こどもたちが学業がくぎょうを諦あきらめざるをえないケースが相次あいついでいます。

地震じしんで家いえを失うしない、テントで母ははと幼おさないきょうだいの4人にんで暮くらすムラド・ハッサンさん（14）は学校がっこうに通かようのを断念だんねんし、家族かぞくを支ささえるためまきを集あつめて配達はいたつする仕事しごとをしています。

5年ねん前まえに父親ちちおやを病気びょうきで失うしない、母親ははおやも地震じしんで勤め先つとめさきの工場こうじょうが倒壊とうかいして失業しつぎょうし、ムラドさんの収入しゅうにゅうが頼たよりですが、1日にちの稼かせぎは日本にっぽん円えんにして100円えんに満みたない日ひもあり、厳きびしい生活せいかつが続つづいています。

現地げんちのジャーナリストによりますと、被災ひさい地ちにはWFP＝世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくの支援しえんが入はいる一方いっぽう、地元じもとの団体だんたいによる支援しえん物資ぶっしの横流よこながしなどが横行おうこうしていて、食料しょくりょうが行き届いきとどいていないということで、ムラドさんの一家いっかも3か月かげつにわたって支援しえん物資ぶっしを受け取うけとれていないということです。

ムラドさんは「雨あめの日ひはテントが流ながされないよう、眠ねむらずに用心ようじんしないといけない。友達ともだちと遊あそんだり、学校がっこうに行いったりする日ひがまた来くることを願ねがっている」と話はなしていました。

ユニセフ「シリアの子こどもたち忘わすれないで」

トルコ・シリア大だい地震じしんから1年ねんとなるなか、シリアの被災ひさい地ちで活動かつどうを続つづけるユニセフ＝国連こくれん児童じどう基金ききんのシリア事務所じむしょの副ふく代表だいひょうが報告ほうこく会かいを行おこない「まだ復興ふっこうの途上とじょうにあり、シリアの子こどもたちのことを忘わすれないでほしい」と訴うったえました。

シリアの首都しゅとダマスカスにあるユニセフ・シリア事務所じむしょの根本こんぽん巳み欧おう 副ふく代表だいひょうは、地震じしんから1年ねんとなるのを前まえに2月つき2日にち、オンラインで報告ほうこく会かいを行おこないました。

根本ねもとさんは被害ひがいを受うけたシリア北部ほくぶの地域ちいきを8回かい訪おとずれていて、このうちアレッポでは、まもなく水道すいどうの復旧ふっきゅう工事こうじが終おわる現場げんばもあり、復興ふっこうの歩あゆみが見みられるということです。

また、被災ひさい地ちでは学校がっこうが避難ひなん所しょとして使つかわれ、授業じゅぎょうができない状態じょうたいとなっていましたが、多おおくの学校がっこうで授業じゅぎょうが再開さいかいされたということです。

ただ、10年ねん以上いじょう続つづく内戦ないせんでもともと学校がっこうに通かよえていなかった子こどもも多おおく、シリア全土ぜんどでは250万まん人にん以上いじょうの学齢がくれい期きの子こどもが学校がっこうに通かよえない状況じょうきょうが続つづいているということです。

根本ねもとさんは、被災ひさい地ちでは地震じしんをきっかけに支援しえんが届とどき、数すう年ねんぶりに学校がっこうに戻もどることができた子こどもたちもいるとしたうえで、心こころのケアや経済けいざい状況じょうきょうの改善かいぜんといった中ちゅう長期ちょうき的てきな支援しえんが求もとめられていると訴うったえました。

根本ねもとさんは「シリアへの関心かんしんがどんどん薄うすれていると危惧きぐする声こえが上あがっています。シリアもまだまだ復興ふっこうの途上とじょうにあり、子こどもたちのことを忘わすれないでいただけたらと思おもいます」と話はなしていました。