物流ぶつりゅう「2024年ねん問題もんだい」対応たいおう 広ひろがるライバル会社かいしゃとの共同きょうどう配送はいそう

トラックドライバーの時間じかん外がい労働ろうどうは年間ねんかん960時間じかんが上限じょうげんとなり、長時間ちょうじかん労働ろうどうの抑制よくせいや労働ろうどう環境かんきょうの改善かいぜんが期待きたいされています。その一方いっぽうで、ドライバーの労働ろうどう時間じかんの短縮たんしゅくや人手ひとで不足ふそくの深刻しんこく化かで輸送ゆそう量りょうの減少げんしょうが懸念けねんされる「2024年ねん問題もんだい」への対応たいおうが課題かだいとなっています。

民間みんかんのシンクタンクでは、何なにも対策たいさくをとらなければ2030年ねんには全国ぜんこくのおよそ35％の荷物にもつが運はこべなくなるという試算しさんもあり、企業きぎょうなどの間まで配送はいそう効率こうりつを高たかめる取り組とりくみをどこまで広ひろげることができるのかが課題かだいとなります。

ライバル会社かいしゃと共同きょうどう配送はいそうする取り組とりくみ 広島ひろしまのスーパー

「物流ぶつりゅうの2024年ねん問題もんだい」に対応たいおうするため、広島ひろしま市しに本社ほんしゃがあるスーパーは、ライバル会社かいしゃと共同きょうどう配送はいそうする取り組とりくみをさらに広ひろげようとしています。

人口じんこうおよそ6800人にんの広島ひろしま県けん大崎おおさき上島うえじま町まちは本州ほんしゅうから船ふねで30分ふんほどの場所ばしょにあり、島しまには複数ふくすうの生鮮せいせん食品しょくひんを扱あつかう店舗てんぽがありますが、各社かくしゃともに自社じしゃの商品しょうひんだけではトラックの荷台にだいを満杯まんぱいにできないのが共通きょうつうの課題かだいでした。

このため、広島ひろしま県内けんないを中心ちゅうしんに64店舗てんぽを展開てんかいするスーパーが中心ちゅうしんとなって、同業どうぎょう他社たしゃが異例いれいのタッグを組くみ、この島しまに向むかう荷物にもつを1台だいのトラックにまとめて共同きょうどう配送はいそうする取り組とりくみを行おこなってきました。

これによって、各社かくしゃのトラックの数かずを減へらせることに加くわえて島しまを往復おうふくするのにトラック1台だいあたり1万まん円えん以上いじょうかかるフェリー代だいの削減さくげんにもつながっています。

共同きょうどう配送はいそうでは、運はこんでいる商品しょうひんや量りょうを他社たしゃに知しられることになります。ただ、ドライバーの労働ろうどう時間じかん削減さくげんは各社かくしゃ共通きょうつうの待まったなしの課題かだいとなっていて、この会社かいしゃでは共同きょうどう配送はいそうの取り組とりくみを輸送ゆそう距離きょりが長ながい山間さんかん部ぶにも広ひろげようと他社たしゃとの交渉こうしょうを進すすめています。

「フレスタホールディングス」サプライチェーン部ぶの藤原ふじわら一美かずみさんは「共同きょうどう配送はいそうでドライバーの労働ろうどう時間じかんを短縮たんしゅくでき、コストも下さげられることから大おおきなメリットになっている。ほかの企業きぎょうと話し合はなしあってこの取り組とりくみをさらに広ひろげていきたい」と話はなしています。

福岡ふくおかでは共同きょうどう配送はいそう 取り組とりくみ加速かそく

物流ぶつりゅう業界ぎょうかいの2024年ねん問題もんだいの克服こくふくに向むけて、取り組とりくみを加速かそくさせようとしているのが福岡ふくおか県内けんないの大手おおてスーパーなどです。

おととし8月つき、ライバルの小売こうり企業きぎょうどうしが連携れんけいするために「九州きゅうしゅう物流ぶつりゅう研究けんきゅう会かい」を設立せつりつ。運送うんそう会社かいしゃを含ふくめ、合あわせて15社しゃが参加さんかしています。

まず、力ちからを入いれたのが「共同きょうどう配送はいそう」でした。

いずれも福岡ふくおか市しに本社ほんしゃを置おく大手おおてスーパーの「イオン九州きゅうしゅう」と「トライアルホールディングス」は、研究けんきゅう会かい設立せつりつの2か月かげつ後ごに共同きょうどう配送はいそうを始はじめました。

このうち、トライアルのトラックは、福岡ふくおか県内けんないにある物流ぶつりゅう拠点きょてんから、まず那珂川なかがわ市しのトライアルの店舗てんぽに商品しょうひんを配送はいそう。その後そのご、イオンの物流ぶつりゅう拠点きょてんを回まわって、直方のうがた市しのイオンの店舗てんぽに食品しょくひんなどを届とどけます。

取材しゅざいした28日にちも午前ごぜん1時じすぎにトライアルのトラックがイオン直方ちょくほう店てんに到着とうちゃくし、商品しょうひんを届とどけたあと、再ふたたび自社じしゃの物流ぶつりゅう拠点きょてんに戻もどっていきました。

この共同きょうどう配送はいそうによって、1日にちあたりでトラック1台だいの走行そうこう距離きょりはおよそ30キロ減へり、ドライバーの勤務きんむ時間じかんも1時間じかんほど短縮たんしゅくできたということです。

研究けんきゅう会かいでは、走行そうこう距離きょりの削減さくげんは年間ねんかんにすると単純たんじゅん計算けいさんで1万まんキロ余あまりに上のぼるとしています。

研究けんきゅう会かいの発起ほっき人じんで、イオン九州きゅうしゅうの柴田しばた祐司ゆうじ社長しゃちょうは「まだ2店舗てんぽだけだが、これを進すすめていくだけで日本にっぽんからアメリカに行いく分ぶんの走行そうこう距離きょりを減へらせることになる。コストも当然とうぜん、減へっていく」と話はなしていました。

“進化しんか”のカギは「マテハン」=「マテリアルハンドリング」

マテハンとはモノを運はこぶ作業さぎょうを意味いみするマテリアルハンドリングの略称りゃくしょう。

このマテハンのうち、かご付つきの台車だいしゃやこん包こんぽう容器ようきなどは各社かくしゃによって形かたちも大おおきさもバラバラなのが現状げんじょうで、機械きかいでのまとまった運搬うんぱんを難むずかしくしている要因よういんとされます。

この規格きかくを統一とういつすれば、つまり「海上かいじょうコンテナ」のようにそろえられれば、研究けんきゅう会かいでは運搬うんぱん作業さぎょうを大幅おおはばに効率こうりつ化かできると見みています。

この日ひ研究けんきゅう会かいの会合かいごうでは、メンバーがマテハンの規格きかくの統一とういつ化かに向むけて議論ぎろんしました。メンバーからは「皆みなさんのベクトルは一緒いっしょなので、協力きょうりょくしながら1つのモデルができるとよい」といった意見いけんが出だされました。

ただ、統一とういつ化かの方向ほうこう性せいには「賛成さんせい」であっても、具体ぐたい的てきにどんな規格きかくにするのか、各社かくしゃの利害りがいもからむだけにすぐには答こたえが出でません。メンバーの1人にんは会合かいごうで「興味きょうみはあるが、容器ようきをどこに合あわせるのかで思考しこうが止とまってしまうところがある」と率直そっちょくに打ち明うちあけていました。

研究けんきゅう会かいでは、小売こうり企業きぎょうだけでなく、メーカー側がわにも働はたらきかけながら、マテハンの規格きかくの統一とういつ化かを目指めざして協議きょうぎを続つづける方針ほうしんです。

そして共同きょうどう配送はいそうの拡大かくだいとあわせて、トラックの走行そうこう距離きょりを将来しょうらい的てきに50％削減さくげんすることを目標もくひょうに掲かかげています。

柴田しばた社長しゃちょうは「お客様おきゃくさまのもとへ商品しょうひんが届とどかない事態じたいが起おきるかもしれないと危惧きぐしている。一番いちばんはドライバーの方々かたがたの働はたらく時間じかんを少すくなくすること、効率こうりつ的てきにモノを運はこぶことなので、九州きゅうしゅうからどう変かえていくかというのはやりたいと思おもっている」と話はなしていました。