Báo tiếng Nhật: SNS不適切投稿で仙台高裁判事を罷免裁判官の表現行為めぐり初

殺人さつじん事件じけんなどをめぐってSNSに不適切ふてきせつな投稿とうこうを繰り返くりかえしたとして訴追そついされた仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょの岡口おかぐち基もと一いち裁判官さいばんかんに対にたいし、国会こっかいの弾劾だんがい裁判所さいばんしょは裁判官さいばんかんを辞やめさせる罷免ひめんの判決はんけつを言い渡いいわたしました。裁判官さいばんかんが罷免ひめんされたのは8人にん目めで、表現ひょうげん行為こういを理由りゆうとした判断はんだんは初はじめてです。

仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょの岡口おかぐち基もと一いち裁判官さいばんかん（58）は、女子じょし高校生こうこうせいが殺害さつがいされた事件じけんの遺族いぞくなどについて、SNSで不適切ふてきせつな投稿とうこうを繰り返くりかえしたとして国会こっかいの弾劾だんがい裁判所さいばんしょに訴追そついされ、罷免ひめんとすべきかどうか、衆しゅう・参さん両院りょういんの議員ぎいんから選えらばれた裁判さいばん員いんによる審理しんりが15回かいにわたって行おこなわれました。

これまでの裁判さいばんで、検察官けんさつかん役やくの訴追そつい委員いいん会かいは「遺族いぞくなどを傷きずつける投稿とうこうを繰り返くりかえしたのは非常ひじょうに悪質あくしつで罷免ひめんすべきだ」などと主張しゅちょうした一方いっぽう、弁護べんご側がわは「これまで罷免ひめん判決はんけつが出でた盗と撮となどの犯罪はんざい行為こういとは根本こんぽん的てきに異ことなり、罷免ひめんにはあたらない」と主張しゅちょうしていました。

表現ひょうげんの自由じゆうめぐる双方そうほうの主張しゅちょう

裁判さいばんでは、裁判官さいばんかんの表現ひょうげんの自由じゆうをめぐっても意見いけんが交かわされました。

検察官けんさつかん役やくの訴追そつい委員いいん会かい側がわは裁判官さいばんかんにも表現ひょうげんの自由じゆうがあることは認みとめたうえで「今回こんかい、罷免ひめんにあたらなければ、ほかの裁判官さいばんかんが同様どうようの投稿とうこうをしても地位ちいを奪うばわれないという先例せんれいになる。今後こんごの裁判官さいばんかんのSNS投稿とうこうなどに大おおきく影響えいきょうを与あたえる観点かんてんからも厳正げんせいな判断はんだんが求もとめられる」と主張しゅちょうしました。

一方いっぽう、弁護べんご側がわは表現ひょうげんの自由じゆうの観点かんてんなどから罷免ひめんすべきでないとする弁護士べんごし会かいなどの声明せいめいや意見いけん書しょが26件けん出だされていることを挙あげ、「SNSの投稿とうこうの一部いちぶが不法ふほう行為こういだったとしても、民事みんじ裁判さいばんで解決かいけつが図はかられるべきだ。投稿とうこうで直ただちに司法しほうへの国民こくみんの信頼しんらいを害がいしたわけではない」と主張しゅちょうしました。

弾劾だんがい裁判所さいばんしょ「表現ひょうげんの自由じゆうとして許ゆるされる限度げんどを逸脱いつだつ」

3日にちの判決はんけつで弾劾だんがい裁判所さいばんしょは、事件じけんの遺族いぞくへの岡口おかぐち裁判官さいばんかんの投稿とうこうについて「本人ほんにんに意図いとはなかったものの、結果けっかとして何なん度ども執しつように遺族いぞくを傷きずつけることになった。SNSは発信はっしん者しゃが想定そうていした趣旨しゅしと全まったく異ことなって受け止うけとめられる危あやうさをはらんでおり、その危険きけん性せいを踏ふまえて他者たしゃを傷きずつけないよう配慮はいりょすべきだった」と指摘してきしました。

そのうえで「遺族いぞくからの抗議こうぎを受うけても反省はんせいや改善かいぜんがなく長期ちょうきにわたって投稿とうこうなどを繰り返くりかえしてきたことは、表現ひょうげんの自由じゆうとして裁判官さいばんかんに許ゆるされる限度げんどを逸脱いつだつしている」と述のべました。

そして、裁判さいばん員いんの3分ぶんの2以上いじょうの多数たすう意見いけんで、裁判官さいばんかんを辞やめさせる罷免ひめんを言い渡いいわたしました。

岡口おかぐち裁判官さいばんかんは裁判官さいばんかんの任期にんきが満了まんりょうする今月こんげつで職しょくを辞じする考かんがえを示しめしていましたが、罷免ひめんが決きまったことで法曹ほうそう資格しかくを失うしない、弁護士べんごしとしても活動かつどうすることはできません。

弾劾だんがい裁判さいばんで裁判官さいばんかんが罷免ひめんされるのは2013年ねん以来いらいで、8人にん目めです。表現ひょうげん行為こういを理由りゆうとした判断はんだんは初はじめてです。

事件じけんの遺族いぞく「一生いっしょうの心こころの傷きず忘わすれることはできない」

判決はんけつを受うけ、事件じけんで亡なくなった女子じょし高校生こうこうせいの父親ちちおやの岩瀬いわせ正史せいしさんは「『表現ひょうげんの自由じゆう』とは何なにを言いっても許ゆるされるのではなく、必かならず責任せきにんが伴ともなうという今いまの時代じだいに沿そった判決はんけつが出でて安心あんしんしています。岡口おかぐち氏しが今後こんごどのようなSNSの使い方つかいかたをするのかはわかりません。今回こんかいの判決はんけつを真摯しんし（しんし）に受け止うけとめ、人ひとを傷きずつけるような投稿とうこうは控ひかえていただきたいと願ねがっています」などとするコメントを出だしました。

母親ははおやの裕見子ゆみこさんは「訴追そついが決定けっていするまで2年ねん、そして弾劾だんがい裁判さいばんも始はじまってから判決はんけつまで2年ねんという長ながい時間じかんがかかりました。罷免ひめんという結果けっかは出でましたが、岡口おかぐち氏しにされた行為こういの数々かずかずは私わたしたちの一生いっしょうの心こころの傷きずで忘わすれたくても決けっして忘わすれることはできません」などとコメントしています。

SNS投稿とうこうで繰り返くりかえし処分しょぶん賠償ばいしょう命令めいれいも

仙台せんだい高等こうとう裁判所さいばんしょの岡口おかぐち基もと一いち裁判官さいばんかんは東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょなどで民事みんじ裁判さいばんを担当たんとうするかたわら、旧きゅうツイッターやフェイスブックといったSNSを使つかって積極せっきょく的てきに情報じょうほう発信はっしんを行おこなってきました。

SNSでは裁判さいばんに関にかんする記事きじを紹介しょうかいしたり、みずからの白しろい下着したぎ姿すがたの写真しゃしんも投稿とうこうしたりしていて、当時とうじのツイッターのアカウントには、2017年ねん12月つき時点じてんでおよそ3万まん8000人にんのフォロワーがいました。

岡口おかぐち裁判官さいばんかんは、女子じょし高校生こうこうせいが殺害さつがいされた事件じけんの裁判さいばんに関にかんする投稿とうこうで遺族いぞくから抗議こうぎを受うけ、2018年ねんの3月つき、当時とうじ所属しょぞくしていた東京とうきょう高裁こうさいから厳重げんじゅう注意ちゅうい処分しょぶんを受うけました。

さらに、みずからが担当たんとうしていない飼い犬かいいぬの所有しょゆう権けんをめぐる裁判さいばんについての投稿とうこうをめぐっても当事者とうじしゃを傷きずつけたとして東京とうきょう高裁こうさいから最高裁さいこうさいに懲戒ちょうかいを申し立もうしたてられました。

これを受うけて最高さいこう裁判所さいばんしょは2018年ねん10月つき、裁判官さいばんかんの処分しょぶんを審理しんりするための「分限ぶげん裁判さいばん」で、「裁判官さいばんかんにも表現ひょうげんの自由じゆうがあることは当然とうぜんだが許ゆるされる限度げんどを逸脱いつだつしている」として戒告かいこくの処分しょぶんとしました。

その後そのごも岡口おかぐち裁判官さいばんかんは女子じょし高校生こうこうせいの遺族いぞくに関にかんする内容ないようをSNSに投稿とうこうし、4年ねん前まえの2020年ねんに最高裁さいこうさいは再ふたたび戒告かいこくの処分しょぶんとしました。

去年きょねんには女子じょし高校生こうこうせいの遺族いぞくが岡口おかぐち裁判官さいばんかんに賠償ばいしょうを求もとめた裁判さいばんで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょが一部いちぶの投稿とうこうについて「事実じじつに反はんし、人格じんかくを否定ひていする侮辱ぶじょく的てき表現ひょうげんだ」と認みとめ、40万まん円えん余あまりの支払しはらいを命めいじました。2審しんも賠償ばいしょうを命めいじ、判決はんけつはその後そのご、確定かくていしています。

これらの投稿とうこうについて国会こっかいの裁判官さいばんかん訴追そつい委員いいん会かいは2021年ねん、罷免ひめんするかどうかを審理しんりする弾劾だんがい裁判所さいばんしょに訴追そついすることを決定けってい。弾劾だんがい裁判所さいばんしょはおととし3月つきから審理しんりを行おこなってきました。

弾劾だんがい裁判さいばんの役割やくわりは

裁判官さいばんかんは司法しほうの独立どくりつを守まもる観点かんてんから憲法けんぽうによって身分みぶんが保障ほしょうされています。

不祥事ふしょうじを起おこした裁判官さいばんかんであっても、裁判所さいばんしょが科かすことができる懲戒ちょうかい処分しょぶんは戒告かいこくか過料かりょうまでで、罷免ひめん、つまり辞やめさせるかどうかは国会こっかいに設置せっちされた弾劾だんがい裁判所さいばんしょが判断はんだんすることになっています。

国会こっかいの裁判官さいばんかん訴追そつい委員いいん会かいは、通常つうじょうの刑事けいじ事件じけんで言いえば検察けんさつにあたる役割やくわりがあります。

衆しゅう・参さん両院りょういんの議員ぎいんで構成こうせいされ、国民こくみんなどから裁判官さいばんかんを罷免ひめんすべきだという請求せいきゅうがあると、対象たいしょうの裁判官さいばんかんについて調しらべ、職務しょくむ上じょうの義務ぎむに著いちじるしく違反いはんするなど弾劾だんがい裁判さいばんを開ひらく必要ひつようがあると判断はんだんした場合ばあい、刑事けいじ事件じけんの起訴きそにあたる「訴追そつい」を行おこないます。訴追そついを受うけて審理しんりする弾劾だんがい裁判所さいばんしょも国会こっかい議員ぎいんで構成こうせいされ、罷免ひめんすべきかどうかを判断はんだんします。

裁判官さいばんかん訴追そつい委員いいん会かいによりますと、初はじめて訴追そついされた1948年ねんから去年きょねんまでに、訴追そつい委員いいん会かいが受理じゅりした請求せいきゅうは2万まん4500件けん余あまりで、このうち訴追そついされた裁判官さいばんかんは10人にんです。

岡口おかぐち裁判官さいばんかんを除のぞくと、弾劾だんがい裁判さいばんでこれまでに7人にんが罷免ひめんと判断はんだんされています。

これまでの罷免ひめんは刑事けいじ裁判さいばんで有罪ゆうざいなど

これまで弾劾だんがい裁判さいばんで罷免ひめんとされた7人にんの裁判官さいばんかんは、刑事けいじ裁判さいばんで有罪ゆうざいとなったことや職務しょくむ上じょうの違反いはんが問題もんだいとされてきました。

岡口おかぐち裁判官さいばんかんのケースを除のぞくと直近ちょっきんの判決はんけつは2013年ねんで、電車でんしゃで女性じょせいのスカートの中なかを撮影さつえいしたとして罰金ばっきん刑けいを受うけた大阪おおさか地方ちほう裁判所さいばんしょの裁判官さいばんかんが「人ひとを裁さばく立場たちばの裁判官さいばんかんとしてあるまじき行為こういだ」として罷免ひめんされました。