「オッペンハイマー」題材だいざいに核兵器かくへいき廃絶はいぜつについて考かんがえる座談ざだん会かい

座談ざだん会かいは被爆ひばく者しゃやNGOなどで作つくる団体だんたいが開ひらいたもので、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうのアメリカで原爆げんばくの開発かいはつを指揮しきした理論りろん物理ぶつり学者がくしゃのロバート・オッペンハイマーを主人公しゅじんこうにした作品さくひんで、ことしのアカデミー賞しょうで作品さくひん賞しょうや監督かんとく賞しょうなど7部門ぶもんを受賞じゅしょうした映画えいが「オッペンハイマー」を題材だいざいに意見いけんが交かわされました。

この中なかで作品さくひんで原爆げんばく投下とうか後ごの広島ひろしまや長崎ながさきの様子ようすが描えがかれなかったことについて、長崎ながさき大学だいがく核兵器かくへいき廃絶はいぜつ研究けんきゅうセンターの鈴木すずき達治たつじ郎ろう教授きょうじゅは「一部いちぶでは批判ひはんもあったが核兵器かくへいきのもたらす被害ひがいをあえて描えがかずに想像そうぞうしてもらうことで、インパクトを与あたえたとも考かんがえられる。作品さくひん全体ぜんたいには核兵器かくへいきに反対はんたいするメッセージが込こめられていて、作品さくひんで描えがかれなかったことも議論ぎろんすることで、核かくの脅威きょういを考かんがえるきっかけになるのではないか」と述のべました。

一方いっぽう、アメリカのデュポール大学だいがくの教授きょうじゅで現地げんちの学生がくせいに核かくによる被害ひがいを伝つたえている宮本みやもとゆきさんは、「原爆げんばくを開発かいはつした科学かがく者しゃの苦くるしみを描えがくのであれば、その原因げんいんとなった核かくによる被害ひがいもきちんと描えがくべきだ。アメリカでは映画えいがのようなことが起おきないようにするために核兵器かくへいきが必要ひつようなんだという核かく抑止よくし論ろんが今いまも根強ねづよく、作品さくひんの中なかで描えがかれなかったアメリカ国内こくないの核かく実験じっけんの被害ひがい者しゃの存在そんざいも知しってもらう必要ひつようがある」と話はなしていました。

座談ざだん会かいを開ひらいた「核兵器かくへいきをなくす日本にっぽんキャンペーン」の浅野あさの英男ひでおさんは「この作品さくひんを過去かこの物語ものがたりとして消費しょうひするのではなく、現代げんだいに続つづく問題もんだいとして自分じぶんにできる行動こうどうを起おこすきっかけにしてもらいたい」と話はなしていました。

映画えいがを見みた若わかい世代せだいは

映画えいが「オッペンハイマー」の日本にっぽんでの公開こうかいは3月つき29日にちから始はじまり、配給はいきゅう会社かいしゃによりますと公開こうかいが始はじまってからの3日間にちかんの興行こうぎょう収入しゅうにゅうは、ことし日本にっぽんで公開こうかいされた洋画ようが作品さくひんの中なかで最もっとも高たかい結果けっかとなったということです。

作品さくひんを見みに訪おとずれる人ひとたちは特とくに20代だいが多おおいということで、映画えいがを見みた若わかい世代せだいの観客かんきゃくからは核兵器かくへいきへの意識いしきや関心かんしんが高たかまったという声こえが聞きかれました。

23歳さいの男性だんせいは「原爆げんばくのことをアメリカ側がわの視点してんから見みるのは初はじめてでした。学校がっこうで学まなんだ経験けいけんはありますが、この作品さくひんをきっかけにさらに知識ちしきを深ふかめていきたい」と話はなしていました。

28歳さいの男性だんせいは「当時とうじのアメリカで何なにが行おこなわれていたのかを知しる機会きかいになりました。核兵器かくへいきを再ふたたび使つかわせないため日本にっぽんが『唯一ゆいいつの被爆ひばく国こく』であり続つづけることが求もとめられると思おもいました」と話はなしていました。

28歳さいの女性じょせいは「この作品さくひんは見みておきたいと思おもっていて、実際じっさいに作品さくひんを見みて圧倒あっとうされるものがあり、原爆げんばくに限かぎらず、世界せかい情勢じょうせいや戦争せんそう、世界せかい平和へいわについて思おもいをめぐらせるきっかけになりました」と話はなしていました。

被爆ひばく者しゃ 佐久間さくま邦彦くにひこさん「被爆ひばく地ちを訪おとずれてみてほしい」

核兵器かくへいき廃絶はいぜつを国内外こくないがいに訴うったえる活動かつどうに取り組とりくんできた、広島ひろしま県けんの被爆ひばく者しゃ 佐久間さくま邦彦くにひこさんは、生後せいご9か月かげつの時ときに被爆ひばくし、小学生しょうがくせいの頃ころから腎臓じんぞう病びょうと肝臓かんぞう病びょうを煩わずらうなど体調たいちょう不良ふりょうに苦くるしんできました。

佐久間さくまさんは映画えいがが世界せかい的てきに話題わだいとなったことについて、「私わたしたちは戦争せんそうの悲惨ひさんさや核かくの非ひ人道じんどう性せいは若わかい人ひとたちに伝つたえてきたが、核兵器かくへいきが実際じっさいにはどういうものなのかを映画えいがを通をつうじて関心かんしんを持もってもらうことがきっかけになったと思おもう」と評価ひょうかしました。

また、映画えいがで被爆ひばく地ちや被爆ひばく者しゃが描えがかれなかったことについては、「描写びょうしゃがなかったからといって原爆げんばくの被害ひがいを軽視けいししているということではないと思おもうが、キノコ雲くもの下したで何なにが起おきたかというのは重要じゅうようなことであり、その悲惨ひさんさを通をとおして平和へいわをいかに構築こうちくするかを考かんがえるべきだ。映画えいがを見みて終おわるのではなく、核兵器かくへいきがどういったものかを判断はんだんするのためにも映画えいがの中なかで描えがかれなかった被爆ひばく地ちを訪おとずれてみてほしい」と呼よびかけました。