Báo tiếng Nhật: 梨泰院事故1か月店主が振り返る「修羅場」防犯カメラ映像には

日本人にっぽんじん2人にんを含ふくむ158人にんが死亡しぼうした、韓国かんこく・ソウルの繁華はんか街がい、イテウォン（梨なし泰たい院いん）での群集ぐんしゅう事故じこから、11月つき29日にちで1か月かげつになります。

事故じこの直後ちょくごにみずからも救助きゅうじょ活動かつどうにあたったという、現場げんばに面めんした洋品ようひん店てんの店主てんしゅはもっと何なにかできたのではないかと、自責じせきの念ねんにかられていると話はなします。

再発さいはつ防止ぼうしの役に立やくにたてばと、店主てんしゅが提供ていきょうしてくれた店みせの防犯ぼうはんカメラの映像えいぞうには、当時とうじの状況じょうきょうが詳細しょうさいに記録きろくされていました。

ピラミッドのように人ひとが…

事故じこのあった坂道さかみちに面めんした店みせで、10年ねん以上いじょう洋服ようふくやかばんなどを販売はんばいしている、ナム・インソク（南みなみ仁ひとし錫すず）さんが、あの日ひ異変いへんに気付きづいたのは午後ごご10時じごろでした。

突然とつぜん、店みせに助たすけを求もとめて入はいってくる人ひとがいたといいます。

「倒たおれて靴くつが脱ぬげた状態じょうたいで店みせに入はいってきた人ひとがいました。ウエットティッシュで拭ふいて落ち着おちつかせて、そうしたらもう1人にん、両足りょうあしの靴くつが脱ぬげた人ひとが入はいってきて、拭ふいてあげていたところ、外そとで『助たすけてくれ』という声こえが聞きこえました。外そとに出でたら『助たすけてください、助たすけてください』と叫さけんでいました。最初さいしょはふざけているのかと思おもいました」

ナムさんの店みせには2台だいの防犯ぼうはんカメラが設置せっちされています。

1台だいは店みせの入り口いりくち付近ふきんを、もう1台だいは坂の下さかのしたの方ほうを撮影さつえいしています。

今回こんかい、同おなじような事故じこの防止ぼうしにつながるならと、映像えいぞうをNHKに提供ていきょうしてくれました。

事故じこが起おきたとされる10分ふんほど前まえの午後ごご10時じごろの映像えいぞうを見みると、坂さかを上あがろうとする人ひとが道幅みちはばいっぱいになって滞留たいりゅうしています。

人ひとが多おおすぎて、上あがろうとしても下したに押し戻おしもどされる様子ようすも見みられました。

もう1台だいの入り口いりくち付近ふきんの映像えいぞうを見みると、密集みっしゅうする中なかで苦くるしそうな表情ひょうじょうで坂さかを下おりてくる人ひとや、「坂さかを下おりろ」とハンドサインを出だす人ひともいます。

そして午後ごご10時じ15分ふんごろ、坂さかの上うえの方ほうで多おおくの人ひとが折り重おりかさなるように倒たおれたとみられています。

「密集みっしゅうした所ところから腕うでだけ外そとに出だして『助たすけてください、助たすけてください』と言いうので、引っ張ひっぱり出だそうとしましたが、出でてこない。ピラミッドのように人ひとが折り重おりかさなっていて、そこから1人にんずつ引っ張ひっぱり出だしました」

使つかわれないストレッチャー

事故じこ発生はっせいとされる時間じかんから30分ふん余あまりたって、ナムさんの店みせの前まえにストレッチャーが到着とうちゃくする様子ようすが映うつされています。

しかし、このあとしばらく、けが人けがにんなどが搬送はんそうされた様子ようすはほとんど映うつっていませんでした。

さらに30分ふん、事故じこから1時間じかん以上いじょうが経過けいかしたあたりから、ようやく被害ひがい者しゃが続々ぞくぞくと搬送はんそうされていきました。

道みちに寝ねかされて手当てあてを受うける人ひとも映うつっています。

「あまりにも多おおくの人ひとが密集みっしゅうしていたので、人混ひとごみを縫ぬって救助きゅうじょに来くるのが大変たいへんで、救助きゅうじょに時間じかんがかかったと思おもいます」。

「下敷したじきになった人ひとを道みちばたに寝ねかせて心肺しんぱい蘇生そせいをしても、意識いしきが戻もどってこない。修羅しゅら場じょうと化かしていました」。

「水みずをかけてあげたり、飲のませてあげたり…。でも、目めを開あけたまま反応はんのうがない。思い出おもいだすだけでつらいです」。

「死しがむだにならぬよう教訓きょうくんの場ばに」

ナムさんは、多おおくの人ひとを助たすけられなかったことで罪悪ざいあく感かんにさいなまれたと言いいます。

犠牲ぎせい者しゃを思おもって、坂道さかみちに韓国かんこくの風習ふうしゅうである慰霊いれいのための食膳しょくぜんを供そなえたと、涙なみだながらに語かたってくれました。

「ご飯ごはんでも食たべさせて送り出おくりださないといけない。それでご飯ごはんを作つくって供そなえました。四よん十じゅう九きゅう日にちまで犠牲ぎせい者しゃたちと一緒いっしょに生活せいかつしているという思おもいで、今いまもここに寝泊ねとまりしています」。

周囲しゅういには今いまでも休業きゅうぎょうを続つづける店みせが多おおい中なか、ナムさんは事故じこから10日にち余あまりたって再ふたたび店みせを開あけました。

「店みせを閉しめておくべきだとも思おもいましたが、そうすると（坂道さかみちが）あまりにも暗くらくて、胸むねがつかえるような感かんじで。店みせの電気でんきをつけておけば、弔問ちょうもんする人ひとが行き来いききするのにいいんじゃないかと思おもいました。若わかい人ひとたちが訪おとずれてきて、『本当ほんとうにありがたい』とあいさつしてきます」

ナムさんの店みせの客足きゃくあしは遠とおのいたままですが、それでも今いまも多おおくの人ひとが訪おとずれるこの坂道さかみちで店みせを開あけながら、犠牲ぎせい者しゃを弔とむらい続つづけたいと言いいます。

「このような事故じこが二度にどと起おこらないよう、教訓きょうくんの場ばにしてほしいです。犠牲ぎせい者しゃたちの死しがむだにならないように。あの世あのよに送り出おくりだすまで、ここで彼かれらの魂たましいを慰なぐさめるつもりです」

語かたり始はじめた遺族いぞくたち

韓国かんこく政府せいふは事故じこの犠牲ぎせい者しゃの名前なまえなどを公表こうひょうしていませんが、一部いちぶの遺族いぞくは「社会しゃかいで悲かなしみを分わかち合あいたい」と亡なくなった家族かぞくへの思おもいなどを公おおやけの場ばで語かたり始はじめています。

24歳さいの娘むすめを亡なくした父親ちちおやのソン・フボン（宋そう厚あつし峰ほう）さん（60）も、そうした1人にんで、遺族いぞくの思おもいを知しってもらいたいと事故じこから1か月かげつを前まえにNHKの取材しゅざいに応おうじました。

ソンさんは、旅行りょこう会社かいしゃに勤つとめていた娘むすめのウンジ（恩おん枝えだ）さんの写真しゃしんを見みせながら、いつかバリスタの仕事しごとをしたいという夢ゆめがあったと話はなしてくれました。

ソンさんは「もっと一緒いっしょに旅行りょこうに行いきたかった。将来しょうらいや夢ゆめについて語り合かたりあいたかった。先さきに娘むすめが逝いってしまい本当ほんとうに申し訳もうしわけなく、胸むねが張り裂はりさけそうです」と心境しんきょうを語かたりました。

祈いのり続つづけた娘むすめの無事ぶじ

事故じこのあった日ひ、ソンさんはもしやと思おもい娘むすめに電話でんわしましたがつながらず、警察けいさつに通報つうほうしたところ、携帯けいたい電話でんわの位置いち情報じょうほうからウンジさんがイテウォンにいたことを知しりました。

死亡しぼう者しゃの名簿めいぼには娘むすめの名前なまえがなかったため、きっと病院びょういんにいるのだと信しんじ、無事ぶじを祈いのり続つづけていたといいます。

しかし、事故じこの翌日よくじつの午後ごご4時じごろ、警察けいさつから娘むすめが亡なくなったと連絡れんらくを受うけ、妻つまと親戚しんせきと3人にんで遺体いたいが安置あんちされている葬儀そうぎ場じょうに車くるまで向むかいました。

その時ときについてソンさんは、「妻つまはショックで車内しゃないで気きを失うしないかけていました。3人にんで泣なきながら向むかった道みちのりは、とても長ながく感かんじ、本当ほんとうにつらくどうやってたどり着たどりついたのか覚おぼえていません」と話はなしていました。

事故じこのあと娘むすめの友人ゆうじんからは、ウンジさんが、新型しんがたコロナの規制きせいが解除かいじょされ、3年ねんぶりとなるハロウィーンの雰囲気ふんいきを感かんじてみたいと、イテウォンを訪おとずれていたことを聞ききました。

この惨事さんじは人災じんさい

ソンさんは、警察けいさつや行政ぎょうせい機関きかんの今回こんかいの事故じこをめぐる対応たいおうについて「この惨事さんじは十分じゅうぶんに予見よけんされた人災じんさいです。事故じこの4時間じかんほど前まえから『人ひとが倒たおれそうだ、早はやく対応たいおうしてほしい』と警察けいさつに何なん度ども通報つうほうがあったのに何なにの措置そちもとられなかったのは十分じゅうぶん非難ひなんされるべきです。たとえ10人にんでも20人にんでも現場げんばに人員じんいんが配置はいちされれば防ふせげたのではないでしょうか」と述のべ、責任せきにんの所在しょざいを明あきらかにすべきだと強調きょうちょうしました。

ソンさんは娘むすめのウンジさんとの通信つうしんアプリでのやり取やりとりを見みせてくれました。

亡なくなった娘むすめに宛あててメッセージを送おくり続つづけていました。

メッセージには「イテウォンの路上ろじょうで押し寄おしよせる恐怖きょうふのなか、あなたが『助たすけて』と父ちちを母ははを呼よんだと思おもうと、胸むねがはりさける。神様かみさまがかなえてくれるならば、その場ばにいてあなたと代かわってあげたい。愛あいするウンジよ、ごめんなさい、ごめんなさい、父ちちと母ははを許ゆるして」と書かかれていました。