不正ふせい輸出ゆしゅつめぐるえん罪えんざい事件じけん賠償ばいしょう判決はんけつ 国くにと都とが控訴こうそ 原告げんこく側がわも控訴こうそ

横浜よこはま市しの化学かがく機械きかいメーカー「大川原おおかわら化工かこう機き」の大川原おおかわら正明まさあき社長しゃちょうなど幹部かんぶ3人にんが、「不当ふとうな捜査そうさで逮捕たいほされた」などと訴うったえた裁判さいばんで、東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは去年きょねん12月つきに、「検察けんさつと警視庁けいしちょうの捜査そうさは違法いほうだった」として、国くにと東京とうきょう都とに合あわせて1億おく6200万まん円えん余あまりの賠償ばいしょうを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしました。

判決はんけつでは、警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶが大だい川原かわら化工かこう機きの製品せいひんを輸出ゆしゅつ規制きせいの対象たいしょうだと判断はんだんし、不正ふせい輸出ゆしゅつの疑うたがいがあるとして逮捕たいほに踏み切ふみきったことなどについて、「根拠こんきょに欠かけていた」と指摘してきしたほか、違法いほうな取り調とりしらべがあったことも認定にんていしました。

また、検察けんさつについても、「必要ひつような捜査そうさを尽つくすことなく起訴きそをした」として、違法いほうだったと指摘してきしました。

この判決はんけつを不服ふふくとして、国くにと東京とうきょう都とは10日にちに控訴こうそしました。

一方いっぽう、原告げんこく側がわも「捜査そうさの悪質あくしつ性せいについて踏み込ふみこんだ認定にんていがされなかった」として、10日にち、控訴こうそしました。

大川原おおかわら社長しゃちょうなどが逮捕たいほされた事件じけんは、初はつ公判こうはんの直前ちょくぜんに起訴きそが取り消とりけされ、無罪むざいにあたるとして、刑事けいじ補償ほしょうの手続てつづきが取とられています。

東京とうきょう地検ちけん次席じせき検事けんじ「上級じょうきゅう審しんの判断はんだんを仰あおぐことにしたものと承知しょうち」

国くにが控訴こうそしたことについて、起訴きそを判断はんだんした東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうの新しん河かわ隆志たかし次席じせき検事けんじは「その時点じてんでの証拠しょうこ関係かんけいを前提ぜんていに、起訴きそが相当そうとうと判断はんだんしたもので、違法いほうとは言いえないと主張しゅちょうしてきた。判決はんけつを精査せいさ検討けんとうし、上級じょうきゅう審しんの判断はんだんを仰あおぐことにしたものと承知しょうちしている。結果けっかとして起訴きその取り消とりけしに至いたったことについては、真摯しんし（しんし）に受け止うけとめている」とコメントしています。

警視庁けいしちょう「上級じょうきゅう審しんの判断はんだんを仰あおぐことが妥当だとうであるとの結論けつろんに」

都とが控訴こうそしたことについて、警視庁けいしちょうは「判決はんけつ内容ないようを精査せいさした結果けっか、上級じょうきゅう審しんの判断はんだんを仰あおぐことが妥当だとうであるとの結論けつろんに至いたり、控訴こうその手続てつづきを行おこないました」としたうえで、「捜査そうさが法ほうと証拠しょうこに基もとづき、緻密ちみつかつ適正てきせいに行おこなわれるべきことは当然とうぜんであり、本件ほんけんに関にかんし、公訴こうそが取り消とりけしとなったこと自体じたいについては真摯しんしに受け止うけとめています。今回こんかいの件けんを契機けいきとして、部内ぶない教養きょうよう等とうを更さらに強化きょうかしていくこととしています」とコメントしています。

一方いっぽう、今回こんかいの事件じけんが起訴きそ取り消とりけしとなったことを踏ふまえ、警視庁けいしちょうは事件じけんの捜査そうさを担になった公安こうあん部ぶ内ないに、捜査そうさが適正てきせいに行おこなわれているか指導しどう・監督かんとくを行おこなうポストを新あらたに設もうけ、警視けいしの「理事りじ官かん」1人にんを配置はいちすることを明あきらかにしました。

原告げんこく側がわ弁護士べんごし「控訴こうそ審しんでえん罪えんざいの真相しんそうをいっそう明あきらかに」

原告げんこく側がわの高田たかだ剛つよし弁護士べんごしは「国くにと東京とうきょう都との控訴こうその事実じじつを確認かくにんしたうえで控訴こうそしました。警視庁けいしちょうと検察官けんさつかんからの謝罪しゃざいを期待きたいしていた原告げんこくらにとって、判決はんけつの確定かくていが先送さきおくりになったことは残念ざんねんなことではありますが、控訴こうそ審しんでえん罪えんざいの真相しんそうをいっそう明あきらかにするべく主張しゅちょう、立証りっしょうを尽つくします」とコメントしています。