日本新聞: 富山氷見 38棟全半壊消防隊員が切迫した当時の状況を証言

富山とやま氷見ひみ 38棟むね全ぜん半壊はんかい消防しょうぼう隊員たいいんが切迫せっぱくした当時とうじの状況じょうきょうを証言しょうげん

Jan 19, 2024 21:01

Furigana

能登のと半島はんとう地震じしんで震度しんど5強きょうを観測かんそくした富山とやま県けん氷見ひみ市しでは、38棟むねが全ぜん半壊はんかいするなど多おおくの住宅じゅうたくに被害ひがいが出でました。その現場げんばで救助きゅうじょに当あたり、倒壊とうかいした建物たてものから男女だんじょ3人にんを助け出たすけだした消防しょうぼう隊員たいいんが切迫せっぱくした当時とうじの状況じょうきょうを証言しょうげんしました。

証言しょうげんしたのは、富山とやま県けん高岡たかおか市しにある高岡たかおか消防しょうぼう署しょで特別とくべつ救助きゅうじょ隊たいの隊長たいちょうを務つとめる辻つじ拓朗たくろうさんです。

辻つじさんたちが救助きゅうじょに向むかったのは氷見ひみ市し北大きたおお町まちの建物たてもので、酒さけ店てんにもなっている2階かい建だての住宅じゅうたくは、1階かい部分ぶぶんがつぶれていました。

到着とうちゃくした辻つじさんはその時ときについて「すごく危険きけんだと実感じっかんし、覚悟かくごを持もちました。救助きゅうじょしなければいけない人ひとが置おかれている状況じょうきょうも決けっして安全あんぜんではないので、難むずかしい現場げんばだと感かんじました」と振り返ふりかえります。

救助きゅうじょではまず、崩くずれた建物たてもののどこに人ひとがいるかを確たしかめるため、隊員たいいんたちが「ものをたたいたりして、音おとを出だしてください」と声こえがけしました。

そして、崩くずれた土ど壁かべをバールで壊こわすなどして救出きゅうしゅつ経路けいろを確保かくほしました。

余震よしんが起おきるなど危険きけんと隣り合となりあわせの活動かつどうでしたが、中なかにいる住民じゅうみんがたてた音おとや、照てらしていた懐中かいちゅう電灯でんとうの光ひかりを頼たよりに中なかを探さがし、まず男性だんせい1人にんを発見はっけんしました。

男性だんせいは斜ななめに倒壊とうかいした建物たてもののわずかなスペースに、そしてその奥おくには残のこる男女だんじょ2人にんが閉じ込とじこめられていたということです。

救出きゅうしゅつ活動かつどうの間まには、津波つなみの第だい1波はも到達とうたつするなど、現場げんばは緊迫きんぱくした雰囲気ふんいきだったといいます。

辻つじさんたちは到着とうちゃくから15分ふんほどで1人にん目めを救出きゅうしゅつし、その後そのごも2人にんを救出きゅうしゅつしました。

辻つじさんによると、3人にんともほぼ無傷むきずだったということです。

辻つじさんは「人命じんめいが助たすかったことが何なによりよかった」としたうえで、今回こんかいの救助きゅうじょについて「救助きゅうじょが必要ひつような人ひとが崩くずれた建物たてものの中なかのどこにいるかを早はやく把握はあくできたことがよかった」と振り返ふりかえります。

そのうえで、万一まんいち、倒壊とうかいした建物たてものの中なかに閉じ込とじこめられた場合ばあいについては「声こえが出だせない場合ばあいでも物ものをたたいて音おとを出だしたり、懐中かいちゅう電灯でんとうや携帯けいたい電話でんわのライトなど、光ひかりを照てらせるもので居場所いばしょを知しらせたりしてほしい」と話はなしていました。