【詳細しょうさい】日銀にちぎん 植田うえだ総裁そうさい “2％の物価ぶっか目標もくひょう少すこしずつ確度かくど高たかまる”

日銀にちぎんの植田うえだ総裁そうさいは、午後ごご3時半じはんから記者きしゃ会見かいけんを行おこない今回こんかいの決定けってい内容ないようについて説明せつめいします。

記者きしゃ会見かいけんでの植田うえだ総裁そうさいの発言はつげんをこちらのタイムラインで速報そくほうでお伝おつたえします。

「消費しょうひ者しゃ物価ぶっかの上昇じょうしょう率りつ 2％に向むけ 確度かくどは少すこしずつ高たかまっている」

植田うえだ総裁そうさいは、物価ぶっかの先行さきゆきについて、「来年度らいねんどにかけて2％上回うわまわる水準すいじゅんで推移すいいしたあと、2025年度ねんどはプラス幅はばが縮小しゅくしょうすると予想よそうしている。前回ぜんかいの展望てんぼうレポートからの比較ひかくで見みると、来年度らいねんどの見通みとおしは下した振ふれているが、これは、このところの原油げんゆ価格かかく下落げらくの影響えいきょうが主因しゅいんだ」と述のべました。

その上うえで、「この間このかん、消費しょうひ者しゃ物価ぶっかの基調きちょう的てきな上昇じょうしょう率りつは、見通みとおし期間きかん終盤しゅうばんにかけて、2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうに向むけて、徐々じょじょに高たかまっていくと見みている。先行さきゆきの不ふ確実かくじつ性せいはなお高たかいものの、こうした見通みとおしが実現じつげんする確度かくどは、引き続ひきつづき、少すこしずつ高たかまっていると考かんがえている」と述のべました。

「粘り強ねばりづよく金融きんゆう緩和かんわを継続けいぞく」

植田うえだ総裁そうさいは、「日本にっぽん銀行ぎんこうは内外ないがいの経済けいざいや金融きんゆう市場しじょうをめぐる不ふ確実かくじつ性せいが極きわめて高たかい中なか、経済けいざい・物価ぶっか・金融きんゆう情勢じょうせいに応おうじて機動きどう的てきに対応たいおうしつつ、粘り強ねばりづよく金融きんゆう緩和かんわを継続けいぞくしていくことで、賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなう形かたちで2％の物価ぶっか安定あんていの目標もくひょうを持続じぞく的てき・安定あんてい的てきに実現じつげんすることを目指めざしていく方針ほうしんだ」と述のべ、引き続ひきつづき粘り強ねばりづよく金融きんゆう緩和かんわを続つづける方針ほうしんを示しめしました。

「賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかん 強つよまっていくか確認かくにん」

植田うえだ総裁そうさいは、物価ぶっかと賃金ちんぎんの好こう循環じゅんかんについて「春季しゅんき労使ろうし交渉こうしょうに向むけて労働ろうどう組合くみあい側がわからは昨年さくねんを上回うわまわる賃上ちんあげを要求ようきゅうする方針ほうしんが示しめされている。大だい企業きぎょうを中心ちゅうしんに経営けいえい者しゃから賃上ちんあげに前向まえむきな発言はつげんも見みられる。サービスを含ふくむ価格かかくが緩ゆるやかな上昇じょうしょう傾向けいこうにあることや先日せんじつの支店してん長ちょう会議かいぎでの報告ほうこくなどを踏ふまえると賃金ちんぎんから販売はんばい価格かかくへの波及はきゅうも少すこしずつ広ひろがっていると考かんがえる」と述のべました。

そして、「この先さきも春季しゅんき労使ろうし交渉こうしょうの動向どうこうを含ふくめ各種かくしゅのデータ情報じょうほうを丹念たんねんに分析ぶんせきし賃金ちんぎんと物価ぶっかの好こう循環じゅんかんが強つよまっていくか確認かくにんしていきたい」と述のべました。

「物価ぶっか見通みとおしに沿そって経済けいざいが進行しんこう」

植田うえだ総裁そうさいは、今回こんかいの展望てんぼうレポートで物価ぶっかの見通みとおしについて「実現じつげんする確度かくどは引き続ひきつづき、少すこしずつ高たかまっている」という　表現ひょうげんを盛り込もりこんだ理由りゆうを問とわれたのに対にたいし、「ざっくり申し上もうしあげればこれまでの物価ぶっか見通みとおしに沿そって経済けいざいが進行しんこうしているということが確認かくにんできたということになる。まだ必かならずしも自信じしんが持もてないというふうに申し上もうしあげてきたなかで、もう1回かい点検てんけんをしてみたら同おなじような見通みとおしであるということになったのが見通みとおしの確度かくどが上昇じょうしょうしたことの根拠こんきょになる」と述のべました。

出口いでぐち戦略せんりゃくの環境かんきょう整ととのったか？「定量ていりょう的てきな把握はあく難むずかしい」

植田うえだ総裁そうさいは、出口いでぐち戦略せんりゃくに向むけた環境かんきょうが整ととのってきているのかと問とわれたのに対にたいし、「基調きちょう的てきな物価ぶっか上昇じょうしょう率りつが2％に向むけて、徐々じょじょに高たかまっていく確度かくどは少すこしずつ高たかまってきているということは好このましいことだが、『どれくらい近ちかづいたか』という定量ていりょう的てきな把握はあく自体じたいは非常ひじょうに難むずかしいものだと言いわざるをえないと思おもう」と述のべました。

3月つきの決定けってい会合かいごうに向むけ「ある程度あるていどの情報じょうほう得えられる」

植田うえだ総裁そうさいは次回じかい、3月つきの金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうに向むけて、得えられる情報じょうほうについて判断はんだん材料ざいりょうとして多おおいのか、少すくないのかと問とわれると、「スケジュールが公表こうひょうされているものについては私わたしがここで申し上もうしあげるまでもないと思おもうが、ある程度あるていどの情報じょうほうが得えられることだし、賃金ちんぎんまわりあるいは経済けいざいのデータ物価ぶっかまわりのデータもある程度あるていど出でてくる。さらに、2か月かげつほどあるので、さまざまなヒアリング関係かんけいの情報じょうほうも入手にゅうしゅすることはできると考かんがえているが、それでどうかというと、毎回まいかいの決定けってい会合かいごうと同おなじ様ように新あたらしく入はいった情報じょうほうをもとに適切てきせつに判断はんだんしていくということしか申し上もうしあげられない」と述のべました。

マイナス金利きんり政策せいさく「不ふ連続れんぞく性せい発生はっせいする政策せいさく運営うんえい避さけられるのでは」

植田うえだ総裁そうさいはマイナス金利きんり政策せいさくについて、「マイナス金利きんりそのものについてはどういう副作用ふくさようがあるかはこれまでいろいろ分析ぶんせきや論ろんじられてきた通とおりで、依然いぜんとしてある程度あるていど副作用ふくさようがあるということは否定ひていできないと思おもう。ベネフィットとの関係かんけいで、物価ぶっか安定あんてい目標もくひょうの実現じつげんにどれくらい近ちかづいているかということの関連かんれんで継続けいぞくの是非ぜひを判断はんだんすることになる」と述のべました。

その上うえで、マイナス金利きんり政策せいさくを解除かいじょする際さいにその後そのごの金利きんりの動向どうこうについても考慮こうりょするのかと問とわれると、「そういうことになると思おもう。そこも含ふくめて深刻しんこくなあるいは大おおきな不ふ連続れんぞく性せいが発生はっせいするような政策せいさく運営うんえいは現在げんざいみている経済けいざいの姿すがたからすると避さけられるのではないか」と述のべました。

「マイナス金利きんり解除かいじょも緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょう続つづく」

植田うえだ総裁そうさいは物価ぶっか見通みとおしを達成たっせいした後のちの金融きんゆう政策せいさくについて、「仮かりに見通みとおしの達成たっせいが視野しやに入はいって、マイナス金利きんりを解除かいじょすることになったとしても極きわめて緩和かんわ的てきな金融きんゆう環境かんきょうが当面とうめん続つづくことは言いえるということだ」と述のべました。

「実質じっしつ賃金ちんぎんプラスに転てんじる見通みとおしあれば政策せいさく正常せいじょう化か妨さまたげない」

植田うえだ総裁そうさいは実質じっしつ賃金ちんぎんのマイナスが続つづく中なか、プラス転てんじることが政策せいさく転換てんかんの必要ひつよう条件じょうけんになるのかと問とわれたのに対にたいし、「もちろん実質じっしつ賃金ちんぎんの上昇じょうしょう率りつがずっとマイナスであるという見通みとおしでは物価ぶっか目標もくひょうの達成たっせいが遠とおいと思おもうが、足元あしもとでマイナスであっても近ちかい将来しょうらいプラスに転てんじるという見通みとおしがあればそれは政策せいさくの正常せいじょう化かを必かならずしも妨さまたげるものではない」と述のべました。

「デフレとはかなり遠とおいところに来きてる」

植田うえだ総裁そうさいは、今いまの日本にっぽん経済けいざいがデフレ脱却だっきゃくという観点かんてんで見みて最終さいしゅう局面きょくめんにあるのかという認識にんしきを問とわれたのに対にたいし、植田うえだ総裁そうさいは、「私わたしどもの政策せいさくの判断はんだん基準きじゅんは2％のインフレ率りつの持続じぞく的てき安定あんてい的てきな実現じつげんだ。デフレを文字もじどおり取とるとマイナスのインフレ率りつということなので、そういう状況じょうきょうとはかなり遠とおいところに現在げんざい来きてるなと思おもっている」と述のべました。

能登のと半島はんとう地震じしんの影響えいきょう「丁寧ていねいに見みていきたい」

植田うえだ総裁そうさいは、能登のと半島はんとう地震じしんによる出口いでぐち戦略せんりゃくの判断はんだんへの影響えいきょうについて問とわれると、「仮定かていの話はなしだが、非常ひじょうに大おおきなマイナスのマクロ的てきな影響えいきょうが発生はっせいするということになれば、出口でぐちへの判断はんだんに強つよいマイナスの影響えいきょうを及およぼすということになるかと思おもう」と述のべました。

その上うえで、「ただ、現在げんざいのところは、経済けいざい全体ぜんたいのサプライチェーンへのものすごく深刻しんこくな影響えいきょうや消費しょうひなどへのマインドを通つうじた影響えいきょうについて、大おおきなマイナスのものが確認かくにんできているかというと、そうではない状況じょうきょうだと思おもう。ただし、今後こんご出でてくる可能かのう性せいがあるため、丁寧ていねいに見みていきたい」と述のべました。

ETF撤廃てっぱいや売却ばいきゃくの時期じき「大だい規模きぼな緩和かんわの一環いっかん その時点じてんの情勢じょうせい次第しだい」

植田うえだ総裁そうさいはETF＝上場じょうじょう投資とうし信託しんたくの枠組わくぐみの撤廃てっぱいや売却ばいきゃくの時期じきについて問とわれると、「足元あしもとETFについてはほとんど購入こうにゅうしていないが、枠組わくぐみとしては大だい規模きぼな緩和かんわの一環いっかんとして実施じっししていることがある。したがって、これを考え直かんがえなおすタイミング、すなわち2％の物価ぶっか目標もくひょうの達成たっせいが見通みとおせる状況じょうきょうになった時点じてんで、この枠組わくぐみを維持いじすることが適切てきせつかどうか、引き続ひきつづき買かうかどうかという部分ぶぶんについて検討けんとうすることになると思おもう。その結果けっか、やめるかどうかはその時点じてんの情勢じょうせい次第しだいだと思おもう」と述のべました。

中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃金ちんぎん動向どうこう「ほかの経済けいざいの動うごきから類推るいすいできる」

植田うえだ総裁そうさいは中小ちゅうしょう企業きぎょうも含ふくめた賃金ちんぎん動向どうこうをどこまで見みるか問とわれると、「必かならずしも賃金ちんぎんそのものを見みなくてもいろいろなほかの経済けいざいの動うごきから中小ちゅうしょう企業きぎょうの賃金ちんぎんがどうなりそうか類推るいすいできたり、あるいはヒアリング情報じょうほうなども入手にゅうしゅ可能かのうだ」と述のべました。

その上うえで、「たとえば大だい企業きぎょうの賃金ちんぎん動向どうこうとか経済けいざい、先さきに動うごく企業きぎょうの賃金ちんぎん動向どうこうは間違まちがいなくある程度あるていどの影響えいきょうを中小ちゅうしょう企業きぎょうに与あたえるということだと思おもうし、中小ちゅうしょう企業きぎょうの利益りえきの動向どうこう、利潤りじゅんの動向どうこうについては賃金ちんぎんよりも少すこし早はやめにデータが入はいることもあるかと思おもう。それからサービス価格かかくの動向どうこうがどうなっているかということもサービス価格かかくが上あがることが賃金ちんぎんを引き上ひきあげる余地よちをうむという意味いみで賃金ちんぎんに影響えいきょうするということもあると思おもう。その辺あたりも含ふくめて総合そうごう判断はんだんしていくことになるかと思おもう」と話はなしています。

株価かぶか上昇じょうしょう「企業きぎょう収益しゅうえき見通みとおし楽観らっかん的てきな見方みかたが反映はんえい」

植田うえだ総裁そうさいはこのところの株価かぶかの上昇じょうしょうについて「私わたしどもは株価かぶかの短期たんき的てきな動うごきについては詳細しょうさいなコメントは避さけるようにしている。ただ一応いちおう、申し上もうしあげるとすると、経済けいざいあるいは企業きぎょう収益しゅうえき見通みとおしについて楽観らっかん的てきな見方みかたが広ひろがってそれが額がくに反映はんえいされているのかと思おもう」と述のべました。

そのうえで、「株価かぶかや為替かわせレートの動うごきについてはもちろん注目ちゅうもくしていて、それが経済けいざい物価ぶっか見通みとおし、特とくに物価ぶっか見通みとおしに重要じゅうような影響えいきょうを与あたえる限かぎりにおいてこれまで申し上もうしあげてきたような方法ほうほうで政策せいさくに反映はんえいさせていきたいと思おもっている」と述のべました。

緩和かんわ政策せいさくの維持いじ「物価ぶっか目標もくひょう達成たっせいの見通みとおしで修正しゅうせい」

植田うえだ総裁そうさいは、緩和かんわ政策せいさくを修正しゅうせいせず、維持いじし続つづけることは、いわゆる「財政ざいせいファイナンス」と見みなされるのではないかと問とわれたのに対にたいし、「金利きんりを低位ていいに保たもったり、国債こくさいの購入こうにゅうをやめられないのではないかという趣旨しゅしだと思おもう。それについては、常つね日ひごろ申し上もうしあげてるとおり、政策せいさくは財政ざいせいファイナンスのために行いってるのではなく、物価ぶっか目標もくひょう達成たっせいのために行いっている。それが達成たっせいされるという見通みとおしが立たてば、修正しゅうせいをしていく」と述のべました。

人件じんけん費ひ上昇じょうしょう分ぶんの価格かかく転嫁てんか「少すこしずつ進すすんでいる」

植田うえだ総裁そうさいは人件じんけん費ひの上昇じょうしょう分ぶんの価格かかく転嫁てんかについて、「すべての事業じぎょう者しゃではないと思おもうが、ある程度あるていどのところで価格かかく交渉こうしょうの際さいに、例たとえば原材料げんざいりょうコストの上昇じょうしょうは転嫁てんかできるが、賃金ちんぎんの上昇じょうしょうはなかなか転嫁てんかしにくい、あるいは転嫁てんかするための売り手うりてと買い手かいての交渉こうしょうで使つかわれるフォーミュラ（慣習かんしゅう的てきな行動こうどう）のようなものに賃金ちんぎんが入はいってないという話はなしをよく聞きいたりする。これが一段いちだんの転嫁てんかを阻はばんでいるということはあるかと思おもう」と述のべました。

その上うえで、「ただそれも、賃金ちんぎん上昇じょうしょうがどれくらい続つづくかということに応おうじて変かわってくるという見方みかたも聞きく。それから社会しゃかい的てきに、きのうも政労せいろう使しでの会議かいぎがあったが、転嫁てんかが望のぞましいという動うごきが広ひろがるかどうかというようなことも影響えいきょうすると思おもっている。絶対ぜったい無理むりだというわけではないかと思おもうし、少すこしずつ転嫁てんかは進すすんでいると見みている」と述のべました。

一方いっぽう、中小ちゅうしょう企業きぎょうで人件じんけん費ひの上昇じょうしょう分ぶんを価格かかく転嫁てんかするためにはどうすればよいか問とわれると、「中小ちゅうしょうでそういう転嫁てんかが一段いちだんと進すすむためには、やはり、中小ちゅうしょうが作つくっている製品せいひんの買い手かいてとの交渉こうしょうの中なかで、立場たちばが弱よわいこともあると思おもうので、社会しゃかい的てきに賃金ちんぎんの価格かかくへの転嫁てんかということが、ある程度あるていどまで望のぞましいんだという規範きはんのようなものが醸成じょうせいされるということはプラスに働はたらくと思おもう」と述のべました。

「展望てんぼうレポート公表こうひょうが無ない会合かいごうでも政策せいさく変更へんこうあり得える」

植田うえだ総裁そうさいは、政策せいさく修正しゅうせいの判断はんだんは、3年間ねんかんの物価ぶっかの見通みとおしを示しめす「展望てんぼうレポート」と合あわせて、行おこなうものなのかと問とわれたのに対にたいし、「展望てんぼうレポートの公表こうひょうは年とし4回かい、決定けってい会合かいごうは年とし8回かいある。決定けってい会合かいごうでは、その時ときの判断はんだんで、必要ひつように応おうじて政策せいさく変更へんこうすることが前提ぜんていであるため、展望てんぼうレポートの公表こうひょうが無ない会合かいごうでも政策せいさく変更へんこうはあり得える」と述のべました。