シミュレーションは
関係する
各国の
核戦略や
国際情勢をもとに
▽朝鮮半島をめぐって合わせて3発の核兵器が使用されるケースや
▽台湾をめぐって核保有国どうしが使用し威力の大きい核兵器を含めて最大24発が使用されるケースなど5つのケースについて行い、爆風や熱線、放射線の影響などによって亡くなる人の数を推計しました。
その結果、1発が使われたケースでも数か月以内に亡くなる人は攻撃を受けた地域の人口の25%にあたる22万人となり、威力の大きい核兵器を含め多く使用された場合には260万人が亡くなるという試算になりました。
今回のシミュレーションでは
炎や
煙が
竜巻のように
なる「
火災旋風」の
影響も
考慮していて
広い範囲で
多くの
犠牲者が
出るとされた
ほか、
気象条件によっては
核爆発で
発生する
放射性物質が
大きく
広がり、がんで
亡くなる人の
数は
数十年の
間に
最大で92
万人に
及ぶと
推定されたということです。
センターの
鈴木達治郎教授は「
敵対する
国どうしの
誤解や
コミュニケーション不足で
核兵器を
使用することは
起こりうる
事態であり、1
発でも使用されれば
甚大な
被害が
出ることは
避けられない。
今回の
結果を
踏まえ
核保有国の
指導者たちは
核兵器が
使用されるリスクを
直視し、
核抑止に
頼る安全保障の
あり方を
見直してもらいたい」と
話しています。
核兵器使用 シミュレーション行った5つのケース
長崎大学などの
研究グループは
各国が
実際に
公表している
核戦略や
現在の
国際情勢を
踏まえて
核兵器が
使用されうるケースを
想定した
上で、
爆風や
熱線、
放射線に
加え、
炎や
煙が
竜巻のように
なる「
火災旋風」、
それに
放射線が
飛散する
範囲を
分析し、
被ばくの
影響で
数十年の
間に
亡くなる人の
数を
推計しました。
シミュレーションは5つのケースについて行っています。
【ケース1】北朝鮮が使用したのちアメリカも使用した想定
国内外の
経済的圧力によって
追い詰められた
北朝鮮がアメリカや
韓国を
交渉の
テーブルに
着かせることを
目的に、
威嚇のために
核兵器を
使用するという
想定のケースです。
韓国の海軍や沿岸警備隊が北朝鮮の領域に侵入して国民を脅かしているとして韓国の沿岸地域を狙って、広島に投下された原爆より小型のTNT火薬に換算して10キロトンの核兵器を使用することを想定しています。
アメリカは韓国の要請に応じて通常兵器を使って反撃したあと、アメリカや同盟国を脅かすICBM=大陸間弾道ミサイルや核戦力を隠していると考えられる地点を狙って、小型の核兵器2発を使用するとしています。
その後は
外交交渉が
集中的に
行われさらなる
核兵器の
使用は
避けられるとしていますが、
▽数か月間だけで亡くなる人は攻撃を受けた地域の人口の27%にあたる1万1000人、
▽放射線や飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人は1万6000人から3万6000人と推計されるとしています。
【ケース2 】アメリカが北朝鮮に対して先制使用する想定
北朝鮮が
発射実験を
繰り返すICBMによってアメリカ
本土が
脅かされていることを
理由に、アメリカの
大統領が
国内の
政治的圧力などを
受けて
北朝鮮の
核ミサイルシステムを
攻撃しようと、
核兵器を
先制使用するという
想定のケースです。
北朝鮮は韓国と日本にある米軍基地などを狙って核兵器を使って反撃し、北朝鮮がアメリカに支配されることを懸念した中国が介入し、米中がそれぞれの軍事施設を核攻撃するとしていて、広島に投下された原爆の20倍の威力のある核兵器も含めて合わせて18発使用されるとしています。
▽数か月間だけで亡くなる人は攻撃を受けた地域の人口の33%にあたる210万人、
▽放射線や飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人は48万人から92万人と推計されるとしています。
【ケース3】テロリストが日本国内の都市部で使用する想定
テロリストの
グループが
注目を
集める目的で、
密輸した
小型の
核爆弾を
日本国内の
都市部で
爆発させるとする
想定のケースです。
▽数か月間だけで亡くなる人は地域の人口の25%にあたる22万人、
▽放射線や飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人は41万人から56万人と推計されるとしています。
【ケース4】ロシアが在日米軍基地など狙い使用する想定
ロシアのウクライナ
侵攻で
緊張が
高まる中で、
アメリカが
日本と
韓国の
要請に
応じて
日本海上の
潜水艦や
艦船に
核兵器を
搭載した
爆撃機を
配備するの
に対し、ロシアが
日本に
あるアメリカ
軍基地や
日本海上の
艦船を
狙って
広島に
投下された
原爆の10
倍以上の
威力にあたる、150キロトンと200キロトンの
核兵器を
合わせて5
発使用するという
想定のケースです。
アメリカは、小型の核兵器3発でロシア東部の基地を攻撃し、その後、日本と韓国による外交的働きかけなどによってさらなる核兵器の使用は回避されるとしています。
▽数か月間だけで亡くなる人は攻撃を受けた地域の人口の36%にあたる29万人、
▽放射線や飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人は1万4000人から8万5000人と推計されるとしています。
【ケース5】中国が使用しアメリカが反撃のため使用する想定
中国国内での
指導部への
反感が
高まり、
中国指導部が
国民の
意識をそらすために
台湾の
防衛施設を
攻撃するの
に対して、
台湾がアメリカの
軍事的支援を
受けて
反撃し、エスカレートするという
想定のケースです。
このケースでは、アメリカのさらなる関与を懸念した中国が通常兵器だけでは勝利できないと判断した場合に、自国の核戦略として掲げている「核の先制不使用」を破棄し、日本や韓国にあるアメリカ軍の基地や艦船を250キロトンの核兵器5発で攻撃するとしています。
これに対してアメリカはICBMや核ミサイルがある可能性がある基地などを小型の核兵器10発を使って反撃し、両国で合わせて24発の核兵器が使用されるという想定です。
▽
数か月間だけで
亡くなる人は
攻撃を
受けた
地域の
人口の35%にあたる260
万人、
▽放射線や飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人は9万6000人から83万人と推計されるとしています。
目的は ”核兵器使用を未然に防ぐ方策 考えるため”
長崎大学核兵器廃絶研究センターは、
今回、
核抑止のリスクを
検証して
核兵器が
使用されるのを
未然に
防ぐ
方策を
考えるのを
目的に、シミュレーションを
行いました。
センターは
おととしから
安全保障を
研究する
アメリカのノーチラス
研究所などと
合同で3
年計画のプロジェクトを
進めていて、まず1
年間かけて、2025
年から2030
年に
核兵器が
使われるとしたら
どのようないきさつで
どこで
使用されるかなど、25の
想定される
ケースをまとめました。
この中の4つの
ケースにロシアによるウクライナへの
軍事侵攻を
踏まえたケースを
加え、
北東アジアで
核兵器が
使用される
可能性があるとする
合わせて5つのケースについて、
去年4
月から1
年間かけて、
各国が
実際に
公表している
核戦略や
現在の
国際情勢を
踏まえて、
核兵器の
規模や
使われる
地点など具体的な
条件を
決めた
上でシミュレーションを
行い、
▽被爆直後に亡くなる人の数や、
▽飛散した放射性物質の影響で長期的にがんになって亡くなる人の数を推計しました。
報告書では「
核兵器の
先制使用のあと
数日の
間に
世界的な
核戦争にエスカレートする
可能性があり
控えめに
見積もっても
人道的、
政治的、
社会的悲劇を
意味する」としています。
また、
核兵器が
使用される
ケースは
敵対国間の
意図の
誤解や
コミュニケーション不足などに
端を
発するとした
上で、こうしたリスクを
減らすために
▽自国の意図や軍事演習やミサイル実験などについて敵対国に伝えることや、
▽核保有国の間では政治的関係を損なうどのような問題が起きてもコミュニケーションを維持することが重要だとしています。
そして、北東アジアでの核兵器の廃絶に向けたステップとして朝鮮半島の非核化や非核兵器地帯の設置など地域の安全保障の枠組みを作ることが必要だと指摘しています。
センターでは今後、核兵器の使用を未然に防ぐための方策などを取りまとめることにしています。
センターの鈴木達治郎教授は、「核戦争のシミュレーションをすることは被爆地にとってはつらいことだが、被爆地だからこそ核戦争でどういうことが起きるか理解を深めて世界に発信することが重要であり、それが『長崎を最後の被爆地に』というメッセージにつながるはずだ」と話しています。
政府がコメ価格高騰を検証“政策転換 増産へ”
コメの価格高騰をめぐる政府の検証の概要が明らかになり、農林水産省がインバウンドによる需要などの増加を見通せず、生産量が足りていると認識していたと指摘しています。その上で、今後の方向性として政策を転換し、増産にかじを切ることを打ち出しています。
N2
資源: NHK
179
Aug 5, 2025 04:08
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