コロナ5類るい移行いこう後ご「定点ていてん把握はあく」で流行りゅうこう監視かんしどうなる？【詳くわしく】

ですので「全数ぜんすう把握はあく」から「定点ていてん把握はあく」になることで、新規しんき感染かんせん者しゃについての情報じょうほうの公表こうひょうの回数かいすうは「毎日まいにち」から「週しゅう1回かい」になり、内容ないようは現在げんざいの「感染かんせん者しゃの総数そうすう」から、「全国ぜんこく約やく5000の医療いりょう機関きかんが報告ほうこくした感染かんせん者しゃ数すう」に変かわることになります。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、「流行りゅうこうの兆きざしを早はやめにつかむことは引き続ひきつづき重要じゅうようだ」として、「定点ていてん把握はあく」を補完ほかんする目的もくてきで、▽献血けんけつの血液けつえきを分析ぶんせきして抗体こうたいの保有ほゆう率りつを調しらべる調査ちょうさや、▽下水げすいに含ふくまれるウイルスを検出けんしゅつして流行りゅうこうの動向どうこうをつかむ研究けんきゅうを継続けいぞくするとしています。

開始かいし時期じきなどについては定点ていてんとなる医療いりょう機関きかんと調整ちょうせいしたうえで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうが今後こんご検討けんとうするとしています。

ただ、当面とうめんの間まは、全国ぜんこくの医療いりょう機関きかんが「入院にゅういん患者かんじゃ」や、集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつでの治療ちりょうや人工じんこう呼吸こきゅう器きを使用しようしているなどの「重症じゅうしょう者しゃ」を報告ほうこくしている今いまの方法ほうほうを継続けいぞくし、医療いりょうひっ迫ひっぱくの状況じょうきょうや重症じゅうしょう度どの変化へんかを把握はあくすることにしています。

一方いっぽうで、専門せんもん家かの部会ぶかいではオミクロン株かぶ以降いこう、人工じんこう呼吸こきゅう器きを必要ひつようとせず「重症じゅうしょう者しゃ」とされていなかった高齢こうれい者しゃで亡なくなる人ひとが増ふえていることから、「重症じゅうしょう者しゃ」の定義ていぎを変かえる必要ひつようがあるのではないかという指摘してきが出でていて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは検討けんとうを進すすめることにしています。

5類るいに移行いこうしたあとは、都道とどう府県ふけんで週しゅう100件けん、国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょで週しゅう200件けん程度ていどとする方針ほうしんで、結果けっかは、国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょのホームページで週報しゅうほうや定期ていき報ほうとして公表こうひょうされます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうはこれまで各かく都道とどう府県ふけんが新型しんがたコロナの患者かんじゃのために確保かくほした病床びょうしょうの使用しよう率りつなどを週しゅうに1度どまとめて公表こうひょうしています。

5類るいに移行いこうしたあと、自治体じちたいや医療いりょう機関きかんで確保かくほ病床びょうしょうの数かずの見直みなおしが進すすめられますが、病床びょうしょう使用しよう率りつの把握はあくは継続けいぞくすることにしています。

医療いりょう機関きかんや高齢こうれい者しゃ施設しせつ、学校がっこうなどでの複数ふくすう人じんの感染かんせん事例じれい、「クラスター」については、インフルエンザなどほかの感染かんせん症しょうと同おなじように病院びょういんや福祉ふくし施設しせつには保健所ほけんじょへの報告ほうこくを求もとめますが、国くにによる一律いちりつの公表こうひょうは行おこなわれなくなります。

「検査けんさ数すう」については現在げんざい行おこなわれている医療いりょう機関きかんからの報告ほうこくを継続けいぞくすることになりました。

例たとえば去年きょねん初はじめからの「第だい6波は」での患者かんじゃ数すうの推移すいいは以下いかの通とおりです。

▼1月つき初はじめ　1医療いりょう機関きかんあたり　ほとんど0人にん県けん全体ぜんたい1日にち10人にん未満みまん

▼1月つき中旬ちゅうじゅん　1医療いりょう機関きかんあたり　4人にん県けん全体ぜんたい1日にち200人にんほど

▼2月つき上旬じょうじゅん　1医療いりょう機関きかんあたり　10人にん超ちょう県けん全体ぜんたい1日にち700人にん超ちょう

さらに、患者かんじゃ数すうが減少げんしょうした際さいにも1医療いりょう機関きかんあたりと全体ぜんたいの傾向けいこうは一致いっちしていて、研究けんきゅう班はんでは定点ていてん把握はあくでも地域ちいきの新型しんがたコロナ感染かんせんの全体ぜんたいの傾向けいこうを把握はあくできるとしています。

ただ、1医療いりょう機関きかんあたりの患者かんじゃ数すうの変化へんかが全体ぜんたいの変化へんかを正ただしく反映はんえいするかどうかは、報告ほうこくする医療いりょう機関きかんの数かずや地域ちいきの状況じょうきょうによって異ことなる可能かのう性せいがあるとして、谷口たにぐち院長いんちょうは「過去かこのデータと突き合つきあわせて、定点ていてんあたりの数字すうじの持もつ意味いみを確認かくにんしておくべきだ」と指摘してきしています。

また、谷口たにぐち院長いんちょうによりますと、三重みえ県けんでは地域ちいきでの広ひろがりをより詳くわしく把握はあくするため、「5類るい」に移行いこうしたあとも定点ていてん把握はあくに協力きょうりょくする医療いりょう機関きかんから患者かんじゃ数すうだけでなく検査けんさした数かずも報告ほうこくしてもらい、陽性ようせい率りつの調査ちょうさを続つづけるということです。

谷口たにぐち院長いんちょうは「地域ちいきの陽性ようせい率りつが分わかると自分じぶんが発熱はつねつしたときに陽性ようせいである可能かのう性せいがどの程度ていどなのか、とても判断はんだんしやすい。単たんに全数ぜんすう把握はあくを小規模しょうきぼにするのではなく、何なにを知しりたいのか考かんがえて調査ちょうさを設計せっけいするべきだ」と指摘してきしました。

西浦にしうら教授きょうじゅは「定点ていてん把握はあくは感染かんせん者しゃ数すうが増ふえているのか減へっているのかや、多おおいのか少すくないのかといった程度ていどの情報じょうほうを知しるのが目的もくてきで、それ以上いじょうの情報じょうほうが得えられなくなることは割り切わりきるしかない」と話はなしています。

その上うえで「イギリスでは、感染かんせん対策たいさくを緩和かんわしたあとも、1年間ねんかん、調査ちょうさを続つづけて状況じょうきょうを見極みきわめた。日本にっぽんで『5類るい』に移行いこうすることで入院にゅういん者しゃ数すうや死者ししゃ数すうを正確せいかくにつかめなくなるのは問題もんだいだ。症状しょうじょうなどの患者かんじゃ情報じょうほうは、研究けんきゅう者しゃが工夫くふうして収集しゅうしゅうを続つづけ、分析ぶんせきしたい」と述のべ、感染かんせんによる重症じゅうしょう化かリスクが高たかまっていないかといった監視かんしを続つづけることは重要じゅうようだと指摘してきしました。

Q.死者ししゃの把握はあく方法ほうほうが変更へんこうすることになりますが受け止うけとめは？

A.オミクロン株かぶになってから病原びょうげん性せいが弱よわまった一方いっぽうで感染かんせん性せいが強つよまったため、新型しんがたコロナが直接ちょくせつの死因しいんではなく、感染かんせんがきっかけになって他たの疾患しっかんで亡なくなる人ひとが非常ひじょうに多おおくなりました。

このように新型しんがたコロナによる健康けんこうへの影響えいきょうが長期ちょうき化かしている状況じょうきょうでは、亡なくなった人ひとの数かずを毎日まいにち把握はあくするよりももう少もうすこし長ながいトレンドで死亡しぼうの動向どうこうについて把握はあくしていくことが重要じゅうようです。

人口じんこう動態どうたい統計とうけいや死亡しぼう診断しんだん書しょなどを用もちいて死亡しぼうの傾向けいこうを把握はあくすることはオミクロン株かぶの性状せいじょうから考かんがえると、現在げんざいの積極せっきょく的てき疫学えきがく調査ちょうさよりも、正確せいかくな死亡しぼうの把握はあくができるのではないか。

Q.死亡しぼうの傾向けいこうを把握はあくしていく上うえで今後こんごの課題かだいは？

A.再ふたたび感染かんせんが拡大かくだいしていく状況じょうきょうになった場合ばあいに、最速さいそくで1か月かげつ単位たんいでの死亡しぼう状況じょうきょうの集計しゅうけいということではなかなか迅速じんそくに傾向けいこうを把握はあくできない懸念けねんがあります。

また、死亡しぼう届とどけだけの調査ちょうさでは断面だんめん的てきな情報じょうほうしかわからず、感染かんせん後ごに短たん期間きかんで亡なくなったのか、長期ちょうきに療養りょうようをしたうえで亡なくなったのかなどを把握はあくすることができなくなる。

医療いりょう機関きかんや自治体じちたいが連携れんけいして、こうした情報じょうほうをモデル的てきに把握はあくしていくような取り組とりくみも必要ひつようだと考かんがえる。

Q.流行りゅうこう状況じょうきょうの監視かんし方法ほうほうが大おおきく変かわりますが今後こんごの注意ちゅうい点てんは？

A.流行りゅうこう状況じょうきょうの把握はあく方法ほうほうが大おおきく変かわるので以前いぜんの数字すうじと比較ひかくできない状況じょうきょうになってしまいます。

国くににはどういう方法ほうほうで傾向けいこうを把握はあくしているのかや、公表こうひょうする数字すうじにどのような意味いみがあるのかなどを丁寧ていねいに国民こくみんの方々かたがたに伝つたえてもらいたいし、国民こくみんの皆みなさんにも自分じぶんたちの感染かんせん対策たいさくに反映はんえいできるようにしっかり理解りかいしてほしい。

さらに将来しょうらい的てきなパンデミックに備そなえ、「急性きゅうせい呼吸こきゅう器き感染かんせん症しょう」の感染かんせん動向どうこうなどを一体いったい的てきに把握はあくする方法ほうほうについて検討けんとうを進すすめる予定よていです。

「急性きゅうせい呼吸こきゅう器き感染かんせん症しょう」にはインフルエンザや新型しんがたコロナウイルス、RSウイルス感染かんせん症しょうなどが含ふくまれ厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今後こんご、定点ていてん医療いりょう機関きかんの負担ふたんを考慮こうりょしながら専門せんもん家かによる部会ぶかいで本格ほんかく的てきな検討けんとうを進すすめていくことにしています。