日本新聞: 熊本地震から7年犠牲者の遺族が参列して追悼式

熊本くまもと地震じしんから7年ねん犠牲ぎせい者しゃの遺族いぞくが参列さんれつして追悼ついとう式しき

Apr 14, 2023 13:04

Furigana

災害さいがい関連かんれん死しも含ふくめて276人にんが犠牲ぎせいになった一連いちれんの熊本くまもと地震じしんから14日にちで7年ねんとなり、熊本くまもと県庁けんちょうでは犠牲ぎせい者しゃの遺族いぞくが参列さんれつして、追悼ついとう式しきが行おこなわれました。

2度どの震度しんど7の揺ゆれを観測かんそくした7年ねん前まえの一連いちれんの熊本くまもと地震じしんでは、災害さいがい関連かんれん死しも含ふくめて熊本くまもとと大分おおいたで合あわせて276人にんが犠牲ぎせいとなり、県内けんないでは19万まん8000棟むね余あまりの住宅じゅうたくに被害ひがいが出でました。

熊本くまもと市し中央ちゅうおう区くの県庁けんちょうで行おこなわれた追悼ついとう式しきには、遺族いぞくなど23人にんが参列さんれつし、はじめに全員ぜんいんが1分間ふんかんの黙もくとうをしました。

そして、蒲島かましま知事ちじが「県民けんみんが将来しょうらいに夢ゆめと誇ほこりを抱いだき、安心あんしんして暮くらすことのできる熊本くまもとを築きずいていくことを、み霊れいの前まえで誓ちかいます」と述のべました。

続つづいて、熊本くまもと市しの自宅じたくで被災ひさいし、同居どうきょしていた89歳さいの母親ははおや、津崎つざき操みさおさんを災害さいがい関連かんれん死しで亡なくした冨永とみなが真由美まゆみさん（64）が遺族いぞくを代表だいひょうしてことばを述のべました。

冨永とみながさんは「突然とつぜんの地震じしんで、母親ははおやを失うしなったことに、がく然がくぜんとしました。いきなり奪うばわれて初はじめて、何気なにげない日常にちじょうがとてもありがたいことだと実感じっかんしました。この経験けいけんを風化ふうかさせず、ふだんから防災ぼうさいの視点してんを持もちながら日頃ひごろの備そなえをすることは、みんなが助け合たすけあって生いきる社会しゃかいの大おおきな力ちからになると信しんじています」と述のべました。

最後さいごに、参列さんれつ者しゃが祭壇さいだんに花はなを手向たむけ、犠牲ぎせいになった人ひとたちに祈いのりをささげました。

“いつも息子むすこのことを考かんがえている”

熊本くまもと県けんの南みなみ阿蘇あそ村むらで発生はっせいした大だい規模きぼな土砂崩どしゃくずれで車くるまごと巻き込まきこまれ、およそ4か月かげつ後ごに発見はっけんされた熊本くまもと県けん阿蘇あそ市しの大学生だいがくせい、大和やまと晃あきらさんの父親ちちおやの卓也たくやさんと、母親ははおやの忍しのぶさん、それに兄あにの翔しょう吾われさんは、遺影いえいを抱だいて追悼ついとう式しきに参列さんれつしました。

追悼ついとう式しきのあと、父親ちちおやの卓也たくやさんは「若者わかものの姿すがたを見みると、いまだに息子むすこと重ね合かさねあわせてしまいます。『生いきていたらどんな仕事しごとについていたかな』と考かんがえることがあります。7年ねんがたちますが、年月としつきの経過けいかは私わたしたちには関係かんけいがなく、5年ねん、10年ねんたとうが、いつも息子むすこのことを考かんがえています」と話はなしていました。

“生いきていくことを誓ちかう”

重おもい心臓しんぞう病びょうのため熊本くまもと市しの熊本くまもと市民しみん病院びょういんで治療ちりょうを受うけていた宮崎みやざき花梨かりんちゃん（4）は、一連いちれんの熊本くまもと地震じしんのあと、建物たてものの耐震たいしんが不十分ふじゅうぶんで倒壊とうかいのおそれがあるとして転院てんいんを余儀よぎなくされ、その後そのご、亡なくなりました。

母親ははおやのさくらさんは、病室びょうしつで撮影さつえいした笑顔えがおでポーズをとる花梨かりんちゃんの写真しゃしんと、大好だいすきだった犬いぬのぬいぐるみを手てに、追悼ついとう式しきに参列さんれつしました。

式しきのあと、さくらさんは「どれだけ時間じかんがたっても、娘むすめを亡なくしたつらさは変かわりません。この場ばに来くると『もう娘むすめはいないんだ』と感かんじますが、できるだけ頑張がんばって顔かおを上あげて、生いきていくことを誓ちかいながらここに来きました」と話はなしていました。

“おふくろに『ごめんな』と伝つたえたい”

追悼ついとう式しきに参列さんれつした熊本くまもと県けん甲佐こうさ町まちの村田むらた浩ひろしさん（60）は、7年ねん前まえの一連いちれんの熊本くまもと地震じしんで母親ははおやの睦子むつこさんを災害さいがい関連かんれん死しで亡なくしました。

睦子むつこさんは、地震じしんのあと小学校しょうがっこうの避難ひなん所しょで避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされ、突然とつぜんの環境かんきょうの変化へんかで体調たいちょうを崩くずし、地震じしん後ご、10日にち余あまりで亡なくなったということです。

式しきのあと、村田むらたさんは「被災ひさい直後ちょくご、忙いそがしくて十分じゅうぶんに看病かんびょうできず、おふくろには『ごめんな』と伝つたえたい。この気持きもちは時間じかんがたつにつれて深ふかまっています。いろいろ気遣きづかってくれる、面倒めんどう見みのよい母親ははおやでした」と話はなしていました。

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかん “引き続ひきつづき復旧ふっきゅう復興ふっこうに向むけ支援しえん”

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんは、閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「改あらためて亡なくなられた方々かたがたの冥福めいふくを祈いのるとともに、すべての被災ひさい者しゃに心こころよりお見舞みまいを申し上もうしあげる。公共こうきょう土木どぼく施設しせつや農業のうぎょう用よう施設しせつの復旧ふっきゅう工事こうじが、おおむね竣工しゅんこうするなど、復旧ふっきゅう・復興ふっこうが着実ちゃくじつに進すすんでいる。また、住すまいの再建さいけん・確保かくほも着々ちゃくちゃくと進すすみ、応急おうきゅう仮設かせつ住宅じゅうたくの供与きょうよも終了しゅうりょうするところとなった。引き続ひきつづき復旧ふっきゅう復興ふっこうに向むけて支援しえんしていく」と述のべました。