【瞬間の映像】筒状のもの投げ込まれ悲鳴 現場にいた人たちは
容疑者宅から火薬とみられるものやパソコンなど押収

警察は、木村容疑者が所持していた免許証の情報などから容疑者の特定を進めたことが分かっていますが、このほかに、本人の携帯電話が押収されていたことが捜査関係者への取材で分かりました。
また、同居している容疑者の家族は「前日の夜には家にいたが、当日の朝起きたらいなくなっていた」と話しているということです。
木村容疑者は、調べに対し「弁護士が来てから話す」として、事件についての具体的な供述をしていないことから、警察当局は携帯電話に残された履歴の解析や関係者への聞き取りなどから、動機やいきさつの解明を進めることにしています。
午前9時40分ごろには、およそ10人の警察官が鑑識活動に当たり、現場の建物をさまざまな角度から撮影していました。 また、爆発物が投げ込まれた付近では、地面にライトを当てて遺留物がないかなど入念に調べている様子が見られました。
この中で岸田総理大臣は、今回の事件について「民主主義の根幹となる選挙で暴力的な行為が行われたことは絶対許すことはできない。大切なことは選挙を最後までやり通すことで、各党の選挙運動が妨げられないよう、警察には警備や安全に万全を期してもらいたい」と述べました。 また来月のG7広島サミットを控え、今回の警備態勢は十分だったと考えるか問われ「警備については、事件の捜査が進むと同時に検証も行われる。いずれにせよ、サミットをはじめ、世界各国から要人が集まる日程では、最大限、警備や安全に努めていかなければならない」と述べました。
捜査員たちは関係資料が入ったとみられるダンボール箱、10箱余りを運び出して車に積みこんでいました。 警察は押収した資料を分析し、事件の動機やいきさつを詳しく調べることにしています。
警察は周辺に規制線をはり、近隣住民に避難を呼びかけたうえで、木村容疑者の自宅の捜索に入りました。 規制線の外からは、防護服を着た警察官が爆発物処理の機材を運び込んでいる様子が確認できます。
また、今回の「警護・警備計画」の作成や、審査などには時間的な余裕があったとしています。 警察庁は、安倍元総理大臣の銃撃事件を受けて、選挙の演説が頻繁に行われる場所については「警護・警備計画」の作成を速やかに進められるよう、県警と警察庁が合同で現場確認する「予備審査」を行っています。 ただ、今回の演説会場については、演説などが頻繁に行われる場所ではなかったことなどから「予備審査」は行わなかったということです。 また、演説の会場では金属探知機などを使用する場合もありますが、今回は使用していないということです。
板橋さんは爆発物について「映像を見るかぎり、筒状で煙が出ているので、『鉄パイプ爆弾』の可能性があるのではないか。2つ持っていたということは計画性があったように考えられる。また、殺傷能力があるものだったのかについては今後、重要になるだろう」と話していました。 また、現場の警備態勢については「投げられた物をすぐに遠ざけて、盾を広げながら総理を避難させたことは、体が瞬時に動いていて、訓練の成果が出ていたと思う。一方で、爆発まで時間があって運がよかったが、岸田総理のかなり近くに落下したことについては今後の警備に大きな課題を残したのではないか」と指摘しました。 そのうえで「現職の総理大臣がターゲットにされたことは非常に重大な事件で、安倍元総理に続いて選挙の遊説中に発生したことは、不特定多数の人が入り混じる選挙活動中の警備の難しさが今回、改めて浮き彫りになった。警備を強化することで選挙活動に影響を与えてしまう可能性もあり、警察として判断が非常に難しい面がある。選挙における警備のあり方をきちんと議論していく必要があるのではないか」と話していました。
捜査関係者によりますと、現場からは爆発物とみられる筒状のものが2つ見つかり、▽このうち1つは投げ込まれてから時間差で爆発し、▽もう1つは爆発せず、木村容疑者が取り押さえられた時に所持していたとみられるということです。 いずれも金属製とみられ、「鉄パイプ爆弾」の可能性もあるということで、警察が、爆発せずに現場に残されていた筒状のものを押収して調べたところ、筒の両端の付近から導線のようなものが出ていたことが捜査関係者への取材で分かりました。 「鉄パイプ爆弾」は、筒の中に密閉した火薬を爆発させるため、筒の外に伸びた導火線に着火させる仕組みのものがあり、当時、近くにいた人からは、容疑者がライターに火をつけるような動きをしていたという証言も出ています。 一方、起爆させるためのスイッチを筒の外に取り付けることもあるということで、警察当局は爆発物の詳しい構造や殺傷能力の有無などについて分析を急いでいます。
9:40ごろ 現場では警察が検証作業
9:20 岸田首相「選挙運動が妨げられないよう警備に万全を」
9:00過ぎ 兵庫の容疑者宅の捜索終了
1:00ごろ 兵庫の容疑者宅を捜索 警察
現場は演説など頻繁に行われず “予備審査”なし
専門家「今後の警備に大きな課題」
「鉄パイプ爆弾」の可能性 筒の両端付近から導線のようなもの