来年4
月から
医師の
働き
方改革が
本格的に
始まるのを
前に、
国が
全国の
大学病院に
調査したところ、
全体の
およそ3
割の
医師が
来年度、
時間外労働時間の
上限を
超える見込みで
あることがわかりました。
回答した
大学病院の
多くは、
労働時間を
今より
短縮すれば
研究時間の
確保などに
影響が
出るとしていて、
働き
方改革と
病院の
機能維持の
両立が
課題となっています。
医師の働き方をめぐっては、来年4月から患者の診療にあたる勤務医に対して、労働基準法に基づき休日や時間外労働の上限規定が適用される「働き方改革」が始まります。
これを前に、国が去年12月にかけて全国81の大学病院を対象にアンケート調査を行った結果、来年度、全体の3割にあたる1万5000人余りの医師は、時間外労働時間が上限となる年間960時間を超える見込みであることがわかりました。
ただ、上限を超える見込みの医師のほとんどは、地域医療維持などのために暫定的な特例として設けられる、さらに高い上限が適用される対象になる見込みだということです。
一方、労働時間を今より短縮した場合の教育や研究への影響については、ほとんどの病院が「研究の時間が確保できなくなる」、「教育の質の低下が生じる」と回答したということで、働き方改革と病院の機能維持の両立が課題となっています。
調査を行った全国医学部長病院長会議の横手幸太郎会長は「働き方改革を進めるうえで医療機関だけで解決できない問題も多く、大学病院の機能を維持するため、医師も行政も国民も一緒になって取り組む必要がある」と話していました。
専門家「自治体とも連携しながら進める必要」
医師の
働き
方改革に関する国の
検討会の
委員を
務める京都大学医学教育・
国際化推進センターの
片岡仁美教授は、
医師の
働き
方の
現状について「
医師が
長時間労働をすることでなんとか
医療提供体制を
支えてきた
部分というのが
とても大きいが、
生産年齢人口が
どんどん減っていく中で、
今の
体制が
長く
続かないのは
明白になっている。
患者に
よい医療を
提供するために
医療従事者自身が
健康で
あることは
大切な
条件で、
過労や
睡眠不足につながる
長時間労働は
見直す必要がある」と
指摘しました。
また、働き方改革を進めるうえで大切なこととして「なんとか数字だけを合わせようとしたり、無理に時間だけ削減しようとしたりしても、長い目で見るといろいろなゆがみが出てくる。それぞれの医療機関が業務削減や他職種との連携で担い手を増やすなどの取り組みを進めるとともに、地域の医療機関の役割分担や医師の偏在の問題については、自治体とも連携しながら進めていく必要がある。また、患者さんにもご理解いただき、共通の理解のもとにお互いに歩み寄りつつ、働き方改革を進めていくことができれば、いちばんよいと思う」と話していました。