軍事ぐんじ侵攻しんこう2年ねん ウクライナから日本にっぽんへの避難ひなん者しゃ 多おおくが就職しゅうしょくに悩なやみ

日本にっぽんにはいまもウクライナからおよそ2100人にんが避難ひなんしています。

日本にっぽんでの生活せいかつが長期ちょうき化かする中なか、避難ひなん者しゃの多おおくは就職しゅうしょくに関にかんする悩なやみを抱かかえています。

日本語にほんご学校がっこうに通かよい 医師いし免許めんきょ取得しゅとく目指めざす

おととし、ウクライナの首都しゅとキーウから中学生ちゅうがくせいの次女じじょとともに日本にっぽんに避難ひなんしてきたナタリアさん（49）は、以前いぜんから日本にっぽんで暮くらしている長女ちょうじょの助たすけを借かりるなどして生活せいかつを送おくっています。

日本にっぽんでは仕事しごとをしていませんでしたが、避難ひなん生活せいかつが長引ながびいていることからウクライナで精神せいしん科か医いとして働はたらいてきた知識ちしきや経験けいけんを生いかして、いまは医療いりょう関係かんけいの仕事しごとを探さがしています。

しかし、日本にっぽんで医師いしとして働はたらくには日本にっぽんの資格しかくが必要ひつようなうえ、ことばの問題もんだいもあって希望きぼうする仕事しごとに就つけずにいて、日本にっぽん財団ざいだんの奨学しょうがく金きんを受うけて日本語にほんご学校がっこうに通かよいながら医師いし免許めんきょの取得しゅとくを目指めざしています。

ナタリアさん

「日本にっぽんに来きたばかりの時ときは働はたらくことは考かんがえていませんでしたが、侵攻しんこうが始はじまって2年ねんがたち、日本にっぽんで生活せいかつを続つづける中なかで、仕事しごとを探さがし始はじめるようになりました。可能かのうなら病院びょういんで仕事しごとができればと思おもっています。早はやく仕事しごとを始はじめたいです」

“避難ひなん者しゃの約やく半数はんすう 就職しゅうしょく支援しえんが必要ひつよう”日本にっぽん財団ざいだん

日本にっぽん財団ざいだんがウクライナの避難ひなん者しゃに行いったアンケートでは、およそ半数はんすうの人ひとが就職しゅうしょくの支援しえんが必要ひつようと回答かいとうしています。

給付きゅうふ金きんと生活せいかつ物資ぶっしの提供ていきょう以外いがいで必要ひつような支援しえんについて複数ふくすう回答かいとうで尋たずねた質問しつもんでは、

▽「仕事しごとの紹介しょうかい、職業しょくぎょう訓練くんれん」が44.7％と最もっとも多おおく、

▽「日本人にっぽんじんの仲間なかまづくり」が34％、

▽「日本語にほんご教育きょういく」が29.4％などでした。

避難ひなん生活せいかつが長期ちょうき化かするなか、就職しゅうしょくの支援しえんが大おおきな課題かだいとなっています。

“技能ぎのうや経験けいけん生いかし希望きぼうに沿そう就職しゅうしょくを”

こうした中なか、避難ひなん者しゃの希望きぼうに沿そって就職しゅうしょくに結び付むすびつける取り組とりくみも行おこなわれています。

外国がいこく人じんの就職しゅうしょく支援しえんなどをしている都内とないのNPOの「WELgee」では、仕事しごとを求もとめている避難ひなん者しゃと面談めんだんして希望きぼうを聞き取ききとったうえで、本人ほんにんの技能ぎのうや経験けいけんを生いかすことができるフルタイムの仕事しごとを紹介しょうかいしています。

履歴りれき書しょの書き方かきかたの指導しどうや面接めんせつの練習れんしゅう、企業きぎょうとの調整ちょうせいなどを行おこなっていて、これまでに避難ひなん者しゃ4人にんの就職しゅうしょくを仲介ちゅうかいしました。

このうち、ウクライナ東部とうぶのドネツク州しゅうから避難ひなんしてきたアンナ・シャルホロドウスカーさんは、中学校ちゅうがっこうの教員きょういんや記者きしゃとして働はたらいてきた経験けいけんなどをもとに、おととし12月つき、国際こくさいNGOの職員しょくいんとして採用さいようされました。

現在げんざいはウクライナに関にかんする調査ちょうさや日本にっぽんの学生がくせいを対象たいしょうにしたワークショップなどの業務ぎょうむを任まかされているということです。

アンナさん

「仕事しごとは簡単かんたんではありませんがとてもやりがいがあります。仕事しごとを通をつうじて、業務ぎょうむのスキルが得えられるだけでなく、日本人にっぽんじんへの理解りかいを深ふかめたり生活せいかつを送おくるうえでの助たすけになったりしていると感かんじています」

また、アンナさんを採用さいようした国際こくさいNGO「プラン・インターナショナル」の担当たんとう者しゃは「日本にっぽんとウクライナでは当たり前あたりまえと思おもうことが違ちがうので一緒いっしょに試行しこう錯誤さくごしながら仕事しごとを進すすめています。アンナさんにとっても日々ひび学まなびは多おおいと思おもいますが、私わたしたちにとっても話し方はなしかたや議論ぎろんの向き合むきあい方かたなど自分じぶんたちが欠かけている部分ぶぶんや得えるべきところを教おしえてもらっています」と話はなしていました。

WELgee 山本やまもと菜奈ななさん

「雇やとう側がわと本人ほんにんとの理解りかいが合致がっちするまで根気こんき強つよい支援しえんが求もとめられますが受け入うけいれた企業きぎょうや団体だんたいからは採用さいようしてよかったという声こえをいただいています。ウクライナの人ひとたちが日本にっぽんで活躍かつやくできる機会きかいを作つくるためにも雇用こよう側がわは避難ひなん者しゃを通をつうじて新あたらしい未来みらいをつくる投資とうしとして考かんがえていけるといいと思おもう」

専門せんもん家か「避難ひなん者しゃと企業きぎょうの間まに入はいって伴走ばんそう的てきに支援しえんを」

ウクライナから日本にっぽんに避難ひなんしてきた人ひとたちの就職しゅうしょくについて、難民なんみんの問題もんだいなどに詳くわしい武蔵むさし大学だいがく社会しゃかい学部がくぶの人見ひとみ泰弘やすひろ准じゅん教授きょうじゅは、次つぎのように指摘してきしています。

武蔵大学むさしだいがく社会しゃかい学部がくぶ 人見ひとみ泰弘やすひろ准じゅん教授きょうじゅ

「ウクライナの避難ひなん者しゃはグローバルな理解りかいやスキルを持もった人ひとが多おおいのに、求もとめる仕事しごとがなかなか見みつからないとか、企業きぎょうの方ほうで避難ひなん者しゃをうまく組み込くみこんで対応たいおうできないケースがあると聞きいている。避難ひなん者しゃと企業きぎょうの間まに入はいって伴走ばんそう的てきに支援しえんに関かかわる人ひとがいれば、仕事しごとのマッチングに向むけて大おおきな助たすけになる」

「日本にっぽんの企業きぎょうが今後こんご、海外かいがいや多様たような人ひとたちへのサービスが求もとめられる時ときにそういった環境かんきょうに慣なれた人材じんざいが社内しゃないにいてくれることは、会社かいしゃの成長せいちょうに大おおきく貢献こうけんするはずだ。ウクライナの避難ひなん者しゃを採用さいようして成功せいこうしたという話はなしがいろいろな企業きぎょうに届とどくようになっていけば、採用さいように積極せっきょく的てきな企業きぎょうが増ふえていくきっかけになるだろう」