復興ふっこうの“支ささえ”になるものは 東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちに聞きく

能登のと半島はんとう地震じしん被災ひさい地ちの復旧ふっきゅう復興ふっこうに何なにが支ささえになるかアンケート

NHKは2月つき7日にちから13日にちにかけて、岩手いわて・宮城みやぎ・福島ふくしまの沿岸えんがんと原発げんぱつ事故じこによる避難ひなん指示しじが出だされた地域ちいきに住すむ20代だいから60代だいの1000人にんを対象たいしょうにインターネットでアンケートを行おこないました。

回答かいとう者しゃの平均へいきん年齢ねんれいは49歳さいでした。

この中なかでは能登のと半島はんとう地震じしんについての設問せつもんを設もうけ、被災ひさい地ちの復旧ふっきゅう復興ふっこうに向むけて何なにが支ささえになるか複数ふくすう回答かいとうで尋たずねました。

回答かいとうはライフラインの整備せいびなどの項目こうもくが50％を超こえる

その結果けっか、

▽「水道すいどうや道路どうろなどライフラインの速すみやかな復旧ふっきゅう」が最もっとも多おおく75％

▽「仮設かせつ住宅じゅうたくや災害さいがい公営こうえい住宅じゅうたくの速すみやかな建設けんせつ」が60％

▽「被災ひさい地ちでの医療いりょうや介護かいごの体制たいせいの整備せいび」が51％

と、ライフラインの整備せいびなどの項目こうもくが50％を超こえる結果けっかになりました。

このほか、

▽「避難ひなん生活せいかつの今後こんごの見通みとおしを早はやく示しめす」が48％

▽「生活せいかつ支援しえん情報じょうほうが行き届いきとどくようにすること」が46％

▽「自宅じたく再建さいけんの補助ほじょ」が42％

などとなり、被災ひさいした人ひとの生活せいかつの再建さいけんに向むけた支援しえんや情報じょうほう提供ていきょうといった項目こうもくも40％を超こえる結果けっかとなりました。

自由じゆう記述きじゅつで宮城みやぎ県けん岩沼いわぬま市しの49歳さいの男性だんせいは「自宅じたくの修復しゅうふく費用ひようや、仮設かせつ住宅じゅうたく、市営しえい住宅じゅうたくといった安心あんしんして暮くらせる場所ばしょを早はやく確保かくほする事ことと、ライフラインの復旧ふっきゅうを早はやくしてほしいと感かんじる」と書かいていました。

1000人にんの回答かいとうは2万まん4000字じに AIで言葉ことばを可視かし化かして分析ぶんせき

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちに暮くらす人ひとに行いったアンケートでは、能登のと半島はんとう地震じしんについてどのように受け止うけとめたのかについて自由じゆう記述きじゅつで聞ききました。

1000人にんから寄よせられた回答かいとうは合計ごうけいで2万まん4000字じに及および、NHKはAIを使つかって多おおく語かたられた言葉ことばがより大おおきく表示ひょうじされる「ワードクラウド」という手法しゅほうで可視かし化かして分析ぶんせきしました。

その結果けっか、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちに暮くらす人々ひとびとが能登のと半島はんとう地震じしんで被災ひさいした人ひとにどう心こころを寄よせ、何なにを心配しんぱいしているのかが浮かび上うかびあがってきました。

多おおく語かたられた言葉ことばは

最もっとも多おおく使つかわれたのが「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい」で168人にん。

次ついで、「大変たいへん」、「支援しえん」、「地震じしん」、「思い出おもいだす」などと続つづきます。

能登のと半島はんとう地震じしんをきっかけに東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい当時とうじを思い出おもいだし、能登のと半島はんとう地震じしんへの支援しえんを求もとめる声こえが多おおく見みられました。

さらに、これらの単語たんごがどういう文脈ぶんみゃくで使つかわれているのか詳くわしく分析ぶんせきするために、それぞれの単語たんごと合あわせて使用しようされた単語たんごを頻度ひんどの多おおかったものから抽出ちゅうしゅつして可視かし化かしました。

円えんが大おおきければ大おおきいほど、多おおく語かたられたことをあらわしています。

ワード1「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい」

「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい」では、「思い出おもいだす」のほか、「経験けいけん」や「教訓きょうくん」ととともに使つかわれることが多おおく、「経験けいけん」や「教訓きょうくん」はさらに「生いかす」という単語たんごととともに使つかわれていました。

例たとえば、岩手いわて県けん宮古みやふる市しに住すむ69歳さいの女性じょせいは「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいを思い出おもいだした。あの時ときの教訓きょうくんを生いかした支援しえんをしてほしい」と記述きじゅつしていました。

一方いっぽうで、国くにや行政ぎょうせいによる能登のと半島はんとう地震じしんの災害さいがい対応たいおうについて、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの経験けいけんや教訓きょうくんが生いかされていないと指摘してきする声こえもありました。

ワード2「支援しえん」

「支援しえん」については、「必要ひつよう」や「国くに」とともに使つかわれることが多おおく、さらに「国くに」には「対応たいおう」や「遅おそい」といった単語たんごとともに使つかわれることが多おおい傾向けいこうにありました。

回答かいとう者しゃからは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの時ときの教訓きょうくんについての言及げんきゅうや、国くになどの災害さいがい対応たいおうが遅おそいと指摘してきする声こえが多おおく上あげられました。

福島ふくしま県けんいわき市しの28歳さいの男性だんせい

「今回こんかいも支援しえん物資ぶっしが届とどくのに時間じかんがかかったイメージがあって、前回ぜんかいの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくんを生いかせてないと思おもった」。

宮城みやぎ県けん多賀城たがじょう市しの55歳さいの男性だんせい

「甚大じんだいな被害ひがいや地形ちけいで道路どうろ等とうの復旧ふっきゅうに時間じかんがかかり大変たいへんな状況じょうきょうだ。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくんがかならずしも生いかされていない」。

岩手いわて県けん大槌おおつち町まちに住すむ32歳さいの男性だんせい

「国くにや自治体じちたいの対応たいおうが遅おそいと思おもう。復旧ふっきゅうや支援しえんの経験けいけんが生いかされていない」。

ワード3「復興ふっこう」

また「復興ふっこう」については、「早はやい」や「願ねがう」、「時間じかん」とともに使つかわれていて、一いち日にちも早はやい復興ふっこうを願ねがう声こえや、今後こんごの復興ふっこうにかかる長ながい時間じかんを心配しんぱいする声こえがあげられました。

仙台せんだい市しの宮城野みやぎの区くの48歳さいの女性じょせい

「建物たてものやライフラインの被害ひがいが甚大じんだいで復興ふっこうが大変たいへんだと思おもうが、豊ゆたかな自然しぜんや伝統でんとう工芸こうげいなど何なにとしてもでも復活ふっかつを願ねがう」。

岩手いわて県けん宮古みやふる市しの60歳さいの男性だんせい

「同おなじ地震じしん・津波つなみ被害ひがいでも状況じょうきょうは全まったく違ちがうと感かんじる。被害ひがい規模きぼは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいと簡単かんたんに比くらべられない。これから再建さいけんにかなり時間じかんがかかるだろうが国くにには継続けいぞく的てきな支援しえんをして欲ほしい」。

このほか、「他た人事じんじ」という単語たんごも上位じょういになっていますが、回答かいとうの内容ないようをみると、「他た人事じんじではない」と、能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちや各地かくちで起おこる災害さいがいへの備そなえに思おもいを寄よせる記述きじゅつが多おおく見みられました。

仙台せんだい市し宮城野みやぎの区くの44歳さいの男性だんせい

「自身じしんも東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被害ひがい者しゃなので他た人事じんじではなく、自分じぶんでできる範囲はんいで被災ひさい地ちの力ちからになろうと思おもった」。

仙台せんだい市し若林わかばやし区くの54歳さいの男性だんせい

「元日がんじつに起おきた震災しんさいに他た人事じんじとは思おもえず、色々いろいろな被災ひさい者しゃの方々かたがたのインタビュー等とうを見聞みききすると心こころが痛いたい思おもいです。地震じしん多発たはつ国こくなので明日あしたは我が身わがみと捉とらえて備蓄びちくや環境かんきょう整備せいびに今いま一いち度どしっかり向き合むきあいたい」。

このほか、地震じしんの被災ひさい経験けいけんにもとづいて今回こんかい、被災ひさいした人ひとたちに向むけた励はげましのメッセージも数多かずおおく寄よせられました。

宮城みやぎ県けん石巻いしのまき市しの48歳さいの女性じょせい

「今いまを踏ん張ふんばれればいつか本当ほんとうにいつかは、生活せいかつも安定あんていしてくると思おもいますので頑張がんばって欲ほしいです。実際じっさいに東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいを経験けいけんしてつくづく周まわりのみなさんの支援しえんがありがたかったです。今いまもなお、感謝かんしゃしています。がんばろう！北陸ほくりく！」。

福島ふくしま県けんいわき市しの40歳さいの女性じょせい

「元もとに戻もどるまでは、時間じかんがかかるし大変たいへんだと思おもうけれど絶対ぜったいに復興ふっこうはするので頑張がんばってほしいです」。

専門せんもん家か「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくん生いかしてほしいという切実せつじつな気持きもち」

社会しゃかい心理しんり学がくが専門せんもんで、兵庫ひょうご県立けんりつ大学だいがくの木村きむら玲れい欧おう教授きょうじゅは「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいのときは、いわゆるその土地とち全体ぜんたいが津波つなみでやられてしまった地域ちいきはライフラインなどハードの復旧ふっきゅう・復興ふっこうに非常ひじょうに長ながい時間じかんがかかった。その結果けっか、自分じぶんがどこに住すんでよいかわからず、自宅じたくの再建さいけんが遅おくれたりその土地とちから出でて行いったりしたことが教訓きょうくんの1つとして挙あげられる。今回こんかいの回答かいとうを見みると、能登のと半島はんとう地震じしんでの被災ひさい者しゃの生活せいかつ再建さいけんにあたっては東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくんを生いかしてほしいという切実せつじつな気持きもちが現あらわれている」と指摘してきしています。

また、能登のと半島はんとう地震じしんへの受け止うけとめの自由じゆう記述きじゅつについては「被災ひさい者しゃの方ほうの自由じゆう回答かいとうを見みると、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの経験けいけんや教訓きょうくんが生いかされていないという意見いけんがたくさん見みられた。今回こんかいの能登のと半島はんとう地震じしんにおける災害さいがい救助きゅうじょや被災ひさい者しゃへの支援しえんを見みると東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの時ときの課題かだいが解決かいけつできていないのではないか、そういった被災ひさい者しゃの方ほうの評価ひょうかだと思おもう。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくんが今回こんかいの津波つなみと地震じしんでどんなふうに生いかされたり生いかされなかったりしたのか、しっかりと検証けんしょうしていく必要ひつようがある」と分析ぶんせきしています。

そのうえで「大だい規模きぼな災害さいがいは毎日まいにち毎月まいつき起おきるものではないが、起おきてしまうと命いのちや生活せいかつを奪うばってしまう。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちで暮くらす人ひとが過去かこの教訓きょうくんや経験けいけんを伝つたえ、生いかしていってほしいと思おもわれてるということは、私わたしたちは重おもく受け止うけとめるべきだ」と訴うったえていました。