珠洲すず市しに3年ねん前まえに移住いじゅうした私わたしが、いま写真しゃしんを募集ぼしゅうするわけ

3年ねん前まえに石川いしかわ県けん珠洲すず市しにほれ込ほれこんで移住いじゅうした男性だんせいが、SNSで、ある募集ぼしゅうをスタートさせました。

“「ステキな能登のとの写真しゃしん」を共有きょうゆうしませんか？”

スタートから数すう日にちですが、インターネットのクラウド上じょうに続々ぞくぞくと寄よせられています。

まずは、寄よせられた写真しゃしんの数々かずかずをご覧ごらんください。

寄よせられた能登のとの写真しゃしん

能登のとのシンボル、珠洲すず市しの見附みつけ島とう。

にぎわう輪島わじまの朝市あさいち。

七尾ななお市しの伝統でんとうの春はる祭まつり「青あお柏かしわ祭さい」能登のとを訪おとずれた人ひとたちが撮影さつえいした写真しゃしんです。

いずれも、地震じしん前まえの能登のとの有名ゆうめいな風景ふうけいです。

一方いっぽうで、何気なにげない日常にちじょうの暮くらしを捉とらえた写真しゃしんもあります。

海うみに向むかう道みちを歩あるくおばあちゃん。

船ふねが停泊ていはくする海岸かいがん線せん。

動物どうぶつと触れ合ふれあう子こどもたち。

5日間にちかんで2200枚まいを超こえる写真しゃしんが集あつまりました。

「人ひとの営いとなみが美うつくしかったんです」

プロジェクトは、2月つき23日にちにフェイスブック上じょうで始はじまりました。

呼よびかけたのは岩城いわき慶太郎けいたろうさん（46）です。

岩城いわきさんは医薬品いやくひんを製造せいぞう、販売はんばいする会社かいしゃを経営けいえいする上場じょうじょう企業きぎょうの社長しゃちょうです。

「人ひとの営いとなみが美うつくしかったんですよ」

東京とうきょうで暮くらしてきましたが、能登のと半島はんとうの先端せんたんにある珠洲すず市しを旅行りょこうで訪おとずれた時とき、都会とかいとは大おおきく違ちがう暮くらしぶりに取とりつかれてしまったと言いいます。

岩城いわきさん

「都会とかいにいるとちゃんとしなくても生いきていけてしまうんですが、珠洲すずの人ひとたちは自分じぶんの夕ゆうごはん作つくるにも、畑はたけ行いって野菜やさい採とってきて、海うみで海藻かいそうを採とってきて、山やまに入はいって山菜さんさい採とってきて。自分じぶんで作つくったみそを使つかって自分じぶんで作つくったお米こめを炊たいてごはんにするじゃないですか。

でも、都会とかいにいるとコンビニ行いけばいいんですね。それがつまんないなって思おもったんですよね。本来ほんらい、生活せいかつってもっと楽たのしいんですよ。手間てまがかかるときっと楽たのしい。衣食住いしょくじゅうという生活せいかつの大事だいじなところをちゃんと自分じぶんの営いとなみとしてやっている姿すがたが本当ほんとうに美うつくしいと思おもったんです」

その後そのご、2021年ねんに社員しゃいん4人にんとともに珠洲すず市しに移住いじゅう、会社かいしゃの本社ほんしゃ機能きのうの一部いちぶも珠洲すずに移うつしました。

珠洲すずで暮くらして2年ねん半はんが過すぎたことしの元日がんじつ、地震じしんが発生はっせいしました。

岩城いわきさんは東京とうきょうに帰省きせい中ちゅうで、社員しゃいんは全員ぜんいん無事ぶじでした。

その後そのごSNS上じょうに自分じぶんの連絡れんらく先さきを公開こうかいし、支援しえん活動かつどうを始はじめました。

翌よく2日にちには地震じしんで道路どうろが寸断すんだんされて孤立こりつ状態じょうたいにあった集落しゅうらくの情報じょうほう収集しゅうしゅうを独自どくじに開始かいし、行政ぎょうせいに提供ていきょうしたほか、2次じ避難ひなん先さきの宿泊しゅくはく施設しせつをみずから確保かくほして提供ていきょうするなど、被災ひさいした人ひとたちへの支援しえんを続つづけています。

「根ねっこは“白菜はくさい”」

岩城いわきさんは、珠洲すず市しで出会であった人ひとたちとの会話かいわの中なかで、忘わすれられないことがあると言いいます。

ある日ひ、近所きんじょの高齢こうれいの女性じょせいから白菜はくさいをもらったときのことです。

後日ごじつ、お返おかえしをしようと、買かってきたようかんを渡わたしたところ、その女性じょせいから叱しかられたのです。

『私わたしはこんな物ものが欲ほしくてあんたに白菜はくさいをあげたわけじゃないんよ。勘違かんちがいしないでくれ。私わたしはあなたに白菜はくさいをあげたいと思おもったからあげたのであって、何なにかがほしいからあげたわけじゃない』

「結構けっこうちゃんと怒おこられたんですよ。何なん回かいかこういうやりとりを繰り返くりかえして気付きづきました。つまり『あげたい人ひとたちの集あつまり』なんです。それが非常ひじょうにすてきだなと思おもって」

こうした経験けいけんから、岩城いわきさんは地震じしん後ごに続つづけている支援しえん活動かつどうについて、この女性じょせいにとっての「白菜はくさい」と同おなじようなことだと考かんがえていると話はなしています。

「ずっと写真しゃしんを集あつめたい」

5日間にちかんで2200枚まい以上いじょう集あつまった写真しゃしん。

そのほとんどは、地震じしん前まえの能登のとを記録きろくしたものです。

失うしなった日常にちじょうの暮くらしや思い出おもいでを大事だいじにしたい思おもいの表あらわれだと、岩城いわきさんは受け止うけとめています。

「能登のとを忘わすれられるというのが一番いちばん怖こわいので、外そとにいる人ひとに能登のとを知しるきっかけになってもらえればと思おもいます。地元じもとの人ひとには自分じぶんの地元じもとをもう一度もういちど取り戻とりもどすという決意けついを持もったり、被害ひがいがあったことを受け入うけいれたりするための1つの手段しゅだんとして写真しゃしんを集あつめる場ばを提供ていきょうできればと考かんがえています」

岩城いわきさんは当面とうめん1万まん枚まい集あつめることを目指めざしていて、今後こんごは石川いしかわ県内けんないでの写真しゃしん展てんの開催かいさいも計画けいかくしています。

「ただ、1月つき1日にち以降いこうもステキな光景こうけいや季節きせつの風景ふうけいというのはあります。今後こんごそうした写真しゃしんが集あつまり始はじめると、震災しんさい復興ふっこうの象徴しょうちょうになるんだろうなと思おもっています。ずっとずーず-っと写真しゃしんを集あつめようと思おもっていますね」

(ネットワーク報道ほうどう部ぶ 鈴木すずき彩あや里さと)