芥川あくたがわしょう 市川いちかわいさごひさしさんに単独たんどくインタビュー 受賞じゅしょう決定けっていさくへのおも

Easy Japanese news
Jul 20, 2023 18:07 0
Furigana
だい169かい芥川賞あくたがわしょうえらばれた市川いちかわいさごひさしさん(43)。自身じしんおなおも障害しょうがいある女性じょせい主人公しゅじんこうえがいた作品さくひん「ハンチバック」は選考せんこう委員いいんから圧倒的あっとうてき支持しじけました。「ハンチバック」とは、背骨せぼねゆみのようにおおきくがっていること、またそうしたひとのことをいます。受賞じゅしょうしゃ会見かいけんえた市川いちかわさんに、作品さくひんへのおもなどを単独たんどくインタビューと「当事者とうじしゃとしての“ことば”を小説しょうせつきざみつけていくことは大事だいじだ」と力強ちからづよかたりました。

きたいものをいた みとめてもらえたことはとてもうれしい ”

受賞じゅしょうまったのち記者きしゃ会見かいけんには「ハンチバック」の単行たんこうほん表紙ひょうしわせ、オレンジしょくドレス登壇とうだんした市川いちかわさん。
まず「わがてんゆう(てんたす)ありとかんじています」と感慨深かんがいぶかはなしていました。そしてインタビューでもあらためて心境しんきょうたずねると「あまり受賞じゅしょう実感じっかんはないです。でも大変たいへんほっとしています。わたしきたいものをいたので、それみとめてもらえたことはとてもうれしくおもっています。この作品さくひん代表だいひょうさくになるなら、わたし自信じしんになるだろうとおもいます」。

健常けんじょうしゃらしけた皮肉ひにくなどをユーモラスに表現ひょうげん

・「この半年はんとし、『文學ぶんがくかい新人しんじんしょう最終さいしゅう候補こうほのこったときから感情かんじょうくて、いまならすご腕すごうでのスパイになれるとおもっています」

・「(記者きしゃ会見かいけん中継ちゅうけいする動画どうがサイトを)いつもています。きょうも本当ほんとう実名じつめい書き込かきこみながらなにおうかとおもっていました」

記者きしゃ会見かいけんではユーモアあふれる発言はつげん印象いんしょうてきだった市川いちかわさん神奈川かながわけん在住ざいじゅうで、10さいのころ難病なんびょうひとすじ疾患しっかんの「先天せんてんせいミオパチー」と診断しんだんされました。14さいから人工じんこう呼吸こきゅう使つかはじめ、移動いどうには電動でんどうくるまいす使用しようし、タブレット端末たんまつ使つかって執筆しっぴつしています。

健常けんじょうせいたすことを要求ようきゅうする読書どくしょ文化ぶんかのマチズモをにくんでいた」(ハンチバックより)

「ハンチバック」では、背骨せぼねがり医療いりょう機器ききたよらざるをえない主人公しゅじんこうが、健常けんじょうしゃらしけた辛辣しんらつ(しんらつ)な皮肉ひにくなどをユーモラスに表現ひょうげんしています。

自身じしん経験けいけん作品さくひん盛り込もりこまれているのは30%ほどとしながらも、作品さくひんあふれる当事者とうじしゃとしての市川いちかわさん力強ちからづよことばは、選考せんこう委員いいんにもつよ印象いんしょうのこしました。選考せんこう委員いいん平野ひらの啓一郎けいいちろうさんは「健常けんじょうしゃであれば日常にちじょうてきっている行為こういに対にたいして、健常けんじょうしゃ中心ちゅうしん主義しゅぎてきかんがえがあることについてはドキッどきっとさせられた。今後こんご作品さくひんにも期待きたいするこえおおかった」とコメントしています。

市川いちかわさんは「わたし当事者とうじしゃ代表だいひょうはできないですけれども、当事者とうじしゃ表象ひょうしょうがいろんなかたちえることは必要ひつようだとおもっています。1つのれいとして、わたしのことばを小説しょうせつきざみつけていくことは大事だいじだとおもいます。わたしふくめて障害しょうがいしゃ社会しゃかい一員いちいんですから、障害しょうがいしゃふくめた社会しゃかいよくなっていってもらいたいとおもっています。そのヒントになればいいとおもいます」

芥川あくたがわしょうえらばれ、今後こんごどのような作品さくひんいていきたいのか。あらためて市川いちかわさんきました。

文學ぶんがくかい新人しんじんしょうをとったあとに、つぎ作品さくひんとしてかんがえたものがあって、それ途中とちゅうでやめちゃったのですが、たきり女の子おんなのことAIのついた介護かいごベッドはなしでした。もうちょっとってあらためて取り組とりくみたいとおもっています」。

そのうえで、いろんな視点してんでいろんな角度かくどからいていきたいと、今後こんごについてかたりました。

現時点げんじてんのぞみうる最高さいこうのことに到達とうたつできたので、あまりぎゃくにプレッシャーをかんじないでのではないかとおもいます。これから自由じゆういていきたい。いま分断ぶんだん時代じだいだとおもので、あまり極端きょくたん意見いけん固定こていされないような、いろんな反射はんしゃできるようなものをきたいです」

取材しゅざい後記こうき

淡々たんたんとした口調くちょうながらも、自身じしんつよおもかた姿すがた印象いんしょうてきだった市川いちかわさん

芥川あくたがわしょう直木なおきしょう選考せんこう結果けっかは、午後ごご6から6時半じはんごろに発表はっぴょうされることがおおのですが、今回こんかい午後ごご545ふんごろでした。それだけたか評価ひょうかけての受賞じゅしょうだったことがうかがえます。

そして市川いちかわさんつようったえるのが、読書どくしょ環境かんきょう整備せいびがまだまだすすんでいないということでした。

作品さくひんなかにも盛り込もりこまれていますが、活字かつじんだり、ほんってページをめくったり、書店しょてんいにったりするなど障害しょうがいあるひとたちにとって、読書どくしょへのハードルはいまだたか現状げんじょうがあるといいます。書籍しょせき電子でんしなど読書どくしょバリアフリー」にけた取り組とりくすすめてほしいと指摘してきします。

このほかにも芥川あくたがわしょうなが歴史れきしなかで、おも障害しょうがいある当事者とうじしゃ作家さっかがいなかったのではないかなど市川いちかわさんのことばにれ、ハッとさせられたことがおおかったとかんじます。

今後こんご作品さくひん注目ちゅうもくするとともに、だれもがみたいほんめる環境かんきょうどのようにつくっていけばよいのか、いまいちかんがえていきたいとおもいます。

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