ロシア ウクライナ侵攻しんこう開始かいしから900日にち 激はげしい攻防こうぼう続つづく

ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづくウクライナの中なかでロシア軍ぐんの攻勢こうせいが最もっとも激はげしいとみられるのが、東部とうぶドネツク州しゅうで、ロシア軍ぐんは、いずれも要衝ようしょうのポクロウシクやチャシウヤルの掌握しょうあくを目指めざし、多数たすうの犠牲ぎせいをいとわず攻撃こうげきを続つづけているとみられます。

一方いっぽう、ウクライナ側がわは、ロシア軍ぐんに比くらべて砲弾ほうだんなどが不足ふそくし、国際こくさい社会しゃかいに繰り返くりかえし軍事ぐんじ支援しえんを求もとめてきました。

このうちアメリカ製せいのF16戦闘せんとう機きについてゼレンスキー大統領だいとうりょうは、今月こんげつ4日にち、ウクライナに到着とうちゃくしたことを明あきらかにし、戦況せんきょうを好転こうてんさせたいと期待きたいを示しめしました。

さらにゼレンスキー大統領だいとうりょうは10日にちのビデオ演説えんぜつで「シルスキー総そう司令しれい官かんから戦争せんそうを侵略しんりゃく者しゃの領土りょうどに押し出おしだすためのわれわれの行動こうどうについて報告ほうこくを受うけた」と述のべ、今月こんげつ6日にちから国境こっきょうを接せっするロシア西部せいぶで行おこなわれている越境えっきょう攻撃こうげきがウクライナ軍ぐんによるものだと認みとめました。今回こんかいの越境えっきょう攻撃こうげきは、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこう以降いこう、最大さいだい規模きぼで、ウクライナ軍ぐんは、ロシア側がわの集落しゅうらくなどを次々つぎつぎと掌握しょうあくしているとみられます。

これに対にたいし、ロシア国防省こくぼうしょうは10日にち、「ロシア領内りょうないに侵攻しんこうするウクライナ軍ぐんの試こころみを撃退げきたいし続つづけている」と発表はっぴょうし、激はげしい攻防こうぼうが続つづいているとみられます。

こうした中ちゅうロシアの同盟どうめい国こく、ベラルーシのルカシェンコ大統領だいとうりょうは10日にち、ウクライナのものとみられる複数ふくすうの無人むじん機きをベラルーシ上空じょうくうで9日にち夜よるに撃墜げきついしたと明あきらかにしたほか、ベラルーシ国防省こくぼうしょうもロシアとウクライナの激はげしい攻防こうぼうを受うけて、ウクライナ国境こっきょうの部隊ぶたいの増強ぞうきょうを命めいじたと発表はっぴょうするなど、警戒けいかいを強つよめています。

専門せんもん家か “F16配備はいび進すすめばロシア侵攻しんこう食い止くいとめる上うえで重要じゅうような役割やくわり”

防衛ぼうえい省しょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょの山添やまぞえ博史ひろふみ米べい欧おうロシア研究けんきゅう室長しつちょうは、ウクライナに配備はいびされたF16戦闘せんとう機きについて空中くうちゅう戦せんや地上ちじょうへの攻撃こうげきなどさまざまな用途ようとに使つかえる戦闘せんとう機きだと指摘してきした上うえで「ウクライナの上空じょうくうに入はいるロシアの航空こうくう機きや無人むじん機きの行動こうどう範囲はんいを制約せいやくすることが優先ゆうせん課題かだいと思おもわれる」と述のべ、ロシア軍ぐんが航空こうくう戦力せんりょくを利用りようして前線ぜんせんで攻勢こうせいを強つよめる中なか、空そらの脅威きょういから地上ちじょう部隊ぶたいを守まもるのが主おもな任務にんむになるという見通みとおしを示しめしました。

そして「ウクライナがF16を中心ちゅうしんとした戦力せんりょくを運用うんようできるようになり、長期ちょうき的てきにロシア側がわが前進ぜんしんしにくくなるという意味いみで、ウクライナの生存せいぞんにとって遠とおい道みちのりの中なかの確たしかな一いち歩ほになる」として、今後こんご、配備はいびされる数かずが増ふえていけば、ロシアの侵攻しんこうを食い止くいとめる上うえで重要じゅうような役割やくわりを担になえると指摘してきしています。

一方いっぽうで「この戦争せんそうでは地上ちじょう部隊ぶたいや航空こうくう戦力せんりょく、無人むじん機きなどいろいろな要素ようそが複雑ふくざつに組くみ合あわさっているが、前線ぜんせんが大おおきく動うごかない状態じょうたいが続つづいている。1つの新型しんがた兵器へいきですべて突破とっぱできるとは期待きたいしにくい」と述のべ、F16戦闘せんとう機きだけでこう着こうちゃくした戦況せんきょうを大幅おおはばに変かえることにはならないという見方みかたを示しめしました。

また、ロシア西部せいぶクルスク州しゅうで続つづくウクライナ側がわからの越境えっきょう攻撃こうげきについては「ウクライナ軍ぐんの精鋭せいえい部隊ぶたいを投入とうにゅうし、ロシアのかなり奥おくまで入はいっているとみられ、これまでの越境えっきょう攻撃こうげきとは規模きぼが違ちがう。ロシア側がわにもその意図いとが読よめないという状況じょうきょうを作り出つくりだしている」として、ロシア側がわを驚おどろかせる動うごきだったと指摘してきしました。

ただ「ウクライナ側がわが長ながいあいだ、兵力へいりょくを投入とうにゅうし補給ほきゅうを続つづけて保持ほじすることができるとは思おもえない」とも指摘してきし、ウクライナ側がわがロシア領内りょうないの地域ちいきを掌握しょうあくし続つづけるのは難むずかしいとして最終さいしゅう的てきなねらいを見極みきわめる必要ひつようがあるとしています。