日本新闻: 人間無情 - Todaii: Easy Japanese

昔むかし、ひとりの旅人たびびとが洪水こうずいに巻まき込こまれ溺おぼれかけていた。旅人たびびとは流木りゅうぼくに何なにとか掴つかまり流ながされていったが、蛇へびが溺おぼれているのを見みて助たすけ、次つぎに狐きつねが溺おぼれていたので助たすけた。

すると今度こんどは人間にんげんの男おとこが溺おぼれていたが蛇へびと狐きつねは「人間にんげんなんか助たすけたってろくなことがない」と言いったが旅人たびびとはその言葉ことばに耳みみを貸かさず男おとこを助すけけた。こうして助すけかった旅人たびびとと蛇へびと狐きつねと男おとこは連つれ立たって旅たびをすることになり、流離りゅうりっていくうちに長者ちょうじゃの家いえに泊とめてもらうことになった。

旅人たびびとが元もともと々医者いしゃと知しった長者ちょうじゃは旅人たびびとを医者いしゃとして隣となりに住すんでもらうことにした。蛇へびと狐きつねは助たすけてもらった恩返おんがえしに診療しんりょうの手伝ててつだいをしたが男おとこは何なにもせずに過すごすばかりだった。村人むらびとたちと長者ちょうじゃはお金かねを一切取いっさいとらずに診療しんりょうをする医者いしゃに感謝かんしゃし、野菜やさいやお米こめ、小判こばんを医者いしゃに贈おくった。

そんな医者いしゃを疎うとましく思おもった男おとこは長者ちょうじゃに医者いしゃが妖術使ようじゅつづかいでお金かねを騙だまし取とる奴やつと嘘うそを話はなした。怒いかった長者ちょうじゃは医者いしゃを捕とらえさせ牢屋ろうやに入いれた。あの男おとこの仕業しわざとすぐに分わかった蛇へびと狐きつねは医者いしゃを助たすけるべく行動こうどうを起おこした。

翌日よくじつ、縁側えんがわに座すわっていた長者ちょうじゃの脚あしを蛇へびが咬かみつき脚あしが酷こくく腫はれ上あがってしまった。苦くるしんでいる長者ちょうじゃの元もとに易者えきしゃに化かけた狐きつねが現あらわれこの病気びょうきを治ちせることができるのは牢屋ろうやに入いれられたあの医者いしゃしかいないと言いった。牢屋ろうやから出だされた医者いしゃは長者ちょうじゃの元もとにやって来きたが腫はれ上あがった脚あしを見みて原因げんいんがすぐに分わかった。

自分じぶんを牢屋ろうやから出だすために蛇へびと狐きつねがしたことを察知さっちし、蛇へびと狐きつねに手てを合あわせ感謝かんしゃした。適切てきせつな治療ちりょうのおかげで長者ちょうじゃの脚あしは良よくなり、嘘うそを話はなしした男おとこは捕つかまり医者いしゃと入いれ違ちがいに牢屋送ろうやおくりになった。その後ごも医者いしゃと蛇へびと狐きつねは村むらで診療しんりょうにあたった。