政治改革の実現に向け、自民党は先月、総裁直属の新たな機関として「政治改革本部」を設置し、衆議院選挙を経て初会合を開きました。
会合には、およそ120人の所属議員が出席し、石破総理大臣は「政治資金は基本的に公共の福祉に使われるものとして非課税になっているが、本当にそのために使われているのかという思いが、多くの国民にある。野党に言われたからではなく自民党が率先して、この問題について答えを出したい」と述べました。
そのうえで、年内にも政治資金規正法の再改正を目指すことを念頭に、
▽旧文通費、現在の『調査研究広報滞在費』の使いみちの公開や残金の返還に加え
▽政党から議員に支給される「政策活動費」の廃止を含めて議論し、結論を出すよう求めました。
また、石破総理大臣は、企業・団体献金の取り扱いについては期限を設けず検討し、党の考え方をまとめるよう求めました。
会合はおよそ2時間にわたって行われ、出席者からは「政策活動費」について「廃止すべきだ」という意見の一方、「支出先の相手への配慮から公表できないものもありある程度必要ではないか」という指摘も出されました。
さらに、企業・団体献金については「個人献金が『善』で、企業・団体献金が『悪』ということはおかしい」などといった声が相次いだということです。自民党は、考え方をまとめた上で、各党と法改正に向けた協議を進めることにしています。
本部長 渡海前政務調査会長「公党の公約は非常に重い」
政治改革本部の本部長を務める渡海前政務調査会長は、会合のあと記者団に対し「『政策活動費の廃止も念頭に検討する』というのが自民党の選挙公約だ。公党の公約は非常に重いものであり、しっかりと国民に応えていかなければならない」と述べました。
また、各党との協議について、「政治のインフラは政党間の真摯な話し合いで行われるものだ。これから各党に働きかけ、どのような枠組みで進めていくのかを詰めていく」と述べました。
稲田元防衛相「古い自民から脱却する先頭に」
旧安倍派出身の稲田元防衛大臣は「古い自民党から脱却する先頭に立ちたい。政策活動費の廃止など政治資金の透明化について、説明するものは説明し、反論するものは反論するのが民主主義なので、石破総理大臣の言う『納得と共感』にふさわしい改革を進めてほしい」と述べました。
また、政治倫理審査会への出席について「説明できるものなら説明をしていきたい。必要があれば、出させていただくと申し上げてきたので、その観点から判断していきたい」と述べました。
柴山元文科相「後ろ向きにならず決着させるべき」
旧安倍派出身の柴山元文部科学大臣は「旧文通費、現在の『調査研究広報滞在費』や政策活動費の問題は、第三者機関の設置も含めて、しっかりとした形で見通しをつけ、後ろ向きにならない形で決着させていくべきだ」と述べました。
また、政治倫理審査会への出席について「記者会見である程度説明し、選挙で洗礼を受けた形で国会に来ている議員が、野党に言われたからといって出席するのは筋が違う。政治資金規正法のさらなる改正などとは切り離して議論するべきだ」と述べました。
西田昌司氏 収支報告書不記載議員「政倫審に出るべきだ」
旧安倍派出身で、ことし3月に参議院政治倫理審査会で弁明した西田昌司氏は会合のあと記者団に対し、「説明責任を果たすため、衆議院の解散前に政治倫理審査会を開いておくべきだった」と指摘しました。
その上で、収支報告書に不記載があった議員について「政治倫理審査会に出るべきだ。結構な人数がいるし、日数も限られるので、まずは来年の参議院選挙で改選を迎える人から順番にやるべきだと思う」と述べました。
立民 小川幹事長「できるところから成果出すべき」
立憲民主党の小川幹事長は記者会見で「正々堂々と公開の場で議論していくことを一義的には目指すことになると思うが、できるところからしっかりやって成果を出すべきだ。 企業・団体献金についてもしっかり、廃止に向けて野党各党に呼びかけて迫っていくことを考えたい」と述べました。
国民 玉木代表「与野党協議会の早期設置を」
国民民主党の玉木代表は記者会見で「速やかに臨時国会からやれるものはやるべきだ。石破総理大臣のリーダーシップで政治改革に関する与野党協議会を早期に設置してほしいし、わが党は協力したい」と述べました。
また、企業・団体献金の取り扱いについて「いきなり禁止すると、実効性がどうかということもあるので、上限を設けるなど透明性をいかに確保するかを最優先にすべきだ」と述べました。