日本新闻: 北陸応援割宿泊代が半額応援したいけど本当に行っていいの？

能登のと半島はんとう地震じしんが発生はっせいした1月つき、北陸ほくりくの石川いしかわ県けんなど4県けんの宿泊しゅくはく施設しせつのキャンセルは約やく17万まん件けんにのぼっています。

そんな中なか、発表はっぴょうされた「北陸ほくりく応援おうえん割わり」。1人にん1泊はくあたり2万まん円えんを上限じょうげんに、観光かんこう客きゃくの宿泊しゅくはく料金りょうきんの半額はんがくが補助ほじょされる予定よていです。

歓迎かんげいの声こえがあがる一方いっぽうで、SNSでは「被災ひさい者しゃへ直接ちょくせつ支援しえんを」といった批判ひはんも。

応援おうえんしたいけど本当ほんとうに観光かんこうに行いってもいいの？現地げんちの宿やどや専門せんもん家かに聞ききました。

北陸ほくりく応援おうえん割わり内容ないようは？

北陸ほくりく地方ちほうの観光かんこう業ぎょうを支援しえんするため、国くにが観光かんこう客きゃくの宿泊しゅくはく料金りょうきんを補助ほじょする「北陸ほくりく応援おうえん割わり」の内容ないようです。

早はやければ3月つき以降いこう、石川いしかわ、福井ふくい、富山とやま、新潟にいがたの4県けんを訪おとずれる観光かんこう客きゃくの宿泊しゅくはく料金りょうきんの半額はんがくを、1人にん1泊はくあたり2万まん円えんを上限じょうげんに補助ほじょします。

地震じしんによる被害ひがいが特とくに大おおきかった能登のと地方ちほうについては、復興ふっこうの状況じょうきょうを見みながら、より手厚てあつい旅行りょこう需要じゅようの喚起かんき策さくを検討けんとうするほか、地震じしんで被害ひがいを受うけた観光かんこう拠点きょてんや観光かんこう資源しげんの復旧ふっきゅう計画けいかくの策定さくていや実行じっこうを支援しえんします。

2月つきから3月つきにかけて、交通こうつう機関きかんや観光かんこう地ちの現状げんじょうに関にかんする情報じょうほう発信はっしんを重点的じゅうてんてきに行おこなうほか、3月つきの北陸ほくりく新幹線しんかんせんの金沢かなざわ・敦賀つるが間かんの開業かいぎょうにあわせた観光かんこうプロモーションも実施じっしするなど、観光かんこう客きゃくの誘致ゆうちを進すすめるとしています。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは25日にちの記者きしゃ会見かいけんで「北陸ほくりく4県けんにおける1月つき中ちゅうのキャンセルは約やく17万まん件けんにのぼっている。被害ひがいが最もっとも甚大じんだいだった能登のと地方ちほうについては観光かんこう客きゃくの受け入うけいれが可能かのうになった段階だんかいで、地元じもとの意向いこうも踏ふまえながら適切てきせつなタイミングで、より手厚てあつい観光かんこう需要じゅようの喚起かんき策さくを実施じっししたい。例たとえば割引わりびき率りつを70％にするなどの喚起かんき策さくの実施じっしを検討けんとうしたい」と述のべました。

SNSでは賛否さんぴの声こえ

「北陸ほくりく応援おうえん割わり」に対にたいして、旧きゅうツイッター、Xではさまざまな意見いけんが。

「5割わり引びきで最大さいだい2万まん円えんは大おおきい」

「少すこしずつ北陸ほくりくの観光かんこうも復活ふっかつしていきますように」

期待きたいの声こえが見みられる一方いっぽうで、否定ひてい的てきな投稿とうこうも。

「被災ひさい者しゃへの直接ちょくせつ支援しえんを切せつに望のぞむ」

「今いまじゃない、被災ひさい者しゃは寒さむさに震ふるえている」

「恩恵おんけいがあるのは被災ひさい地ちでもそれ程それほど被害ひがいが無なかった場所ばしょなんじゃないか」

賛否さんぴの声こえがあがっています。

専門せんもん家かに聞ききました

北陸ほくりくへの観光かんこうについてどう考かんがえればいいのか。

観光かんこう政策せいさくに詳くわしい日本にっぽん交通こうつう公社こうしゃの菅野かんの正洋まさひろ上席じょうせき主任しゅにん研究けんきゅう員いんに聞ききました。

Q.今いま、観光かんこうに行いってもいいの？

A.被害ひがいの大おおきかった能登のと地方ちほうではインフラが壊滅かいめつ的てきな状態じょうたいで、今いまは訪おとずれることが現地げんちへの負担ふたんになりえます。

ただ、いずれは復興ふっこう支援しえんの目的もくてきで観光かんこうできるようになると思おもいます。2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちは、仮設かせつの復興ふっこう商店しょうてん街がいや語かたり部ぶツアーなど観光かんこう目的もくてきで人ひとが訪おとずれるようになるまで時間じかんがかかりました。

一方いっぽう、被害ひがいが少すくない地域ちいきではすでに通常つうじょう営業えいぎょうが可能かのうな観光かんこう地ちもあり、一斉いっせいに北陸ほくりく方面ほうめんへの旅行りょこうを取とりやめてしまう自粛じしゅくムードは、地域ちいき経済けいざいに大おおきな損失そんしつを与あたえると懸念けねんしています。

Q.どうやって判断はんだんすればいい？

A.地元じもとの自治体じちたいや観光かんこう協会きょうかい、旅館りょかん組合くみあいなどが、ホームページやSNSで情報じょうほう発信はっしんしているので、現地げんちの状況じょうきょうや意向いこうを確認かくにんしてほしい。

Q.被災ひさい者しゃに迷惑めいわくがかかるのでは？

A.日本にっぽんでは「観光かんこう＝遊あそび」という印象いんしょうが強つよく、被災ひさい地ちへの配慮はいりょや自粛じしゅくムードの中なかで「不ふ謹慎きんしん」「罪悪ざいあく感かんがある」といった感情かんじょうもあると思おもいますが「観光かんこう＝重要じゅうような産業さんぎょう」でもあります。

確たしかに、宿泊しゅくはくしようとしている施設しせつに避難ひなんされている方ほうがおられる可能かのう性せいはありますし、大変たいへんな思おもいをされている方ほうのそばでのんきに楽たのしんでよいのか、という心情しんじょうはよく理解りかいできます。

ただ、よほど被災ひさい者しゃの心情しんじょうもはばからず大騒おおさわぎするのではなく、節度せつどをもったふるまいであれば、上記じょうきのようなポジティブな効果こうかを持もつ観光かんこうはむしろ身近みぢかにできる復興ふっこう支援しえんとも言いえます。

被災ひさい地ちを支援しえんしたいと思おもうような方ほうは、そもそも、通常つうじょうの観光かんこうでも「周まわりをはばからず大騒おおさわぎする」ようなことはしないでしょうから、その意味いみでは、地域ちいきの風景ふうけいや食事しょくじなどの魅力みりょくを楽たのしんで、そのことを地元じもとの方ほうに伝つたえて、という「本来ほんらいあるべき姿すがたの観光かんこう」をすればよいのではないでしょうか。

Q.「北陸ほくりく応援おうえん割わり」始はじまるまで待まったほうがいい？

A.今いますぐ北陸ほくりくを応援おうえんしたいという気持きもちがある人ひとは、応援おうえん割わりを待またずに、キャンセルが相次あいついで現地げんちが苦くるしい今いまこそ、観光かんこうに訪おとずれて応援おうえんしてもらいたいと思おもいます。

一方いっぽう「北陸ほくりく応援おうえん割わり」によって北陸ほくりくへの観光かんこうを考かんがえていなかった人ひとに「割引わりびきがあるなら行いってみよう」と、需要じゅようを喚起かんきすることも重要じゅうような政策せいさくだと思おもいます。

現地げんちを訪おとずれて消費しょうひして、地元じもとの人ひとと交流こうりゅうする、という活動かつどうが、経済けいざい的てきにも心理しんり的てきにも北陸ほくりく地域ちいきを応援おうえんすることになります。

観光かんこうから帰かえった人ひとは『行おこなってみたら大だい丈夫じょうぶだったよ、すごくいいところだったよ』と周まわりに伝つたえることで、風評ふうひょう被害ひがいを防ふせぎ、北陸ほくりくを応援おうえんすることになると思おもうので、どんどん発信はっしんしてほしいです。

こんな投稿とうこうも話題わだいに

そんななか、1月つき16日にち。ある投稿とうこうが話題わだいとなりました。

「私わたしは石川いしかわ県けん在住ざいじゅうです。私わたしの住すんでいる地域ちいきでは日常にちじょう生活せいかつを送おくれています。北部ほくぶと南部なんぶで被害ひがいの差さがあり報道ほうどうと差さがあるため、石川いしかわ県けんの現状げんじょうを解説かいせつします」

およそ200キロと南北なんぼくに長ながい石川いしかわ県けんを、地方ちほうごとに被害ひがいの大小だいしょうを色分いろわけした地図ちずのイラストが付つけられています。

投稿とうこうしたのは石川いしかわ県けん南部なんぶの加賀かが地方ちほうに住すむアニメーション作家さっか、名取なとり祐一郎ゆういちろうさん。

東京とうきょう出身しゅっしんで12年ねん前まえに石川いしかわ県けんに移住いじゅうした名取なとりさん。それまでは1度ども北陸ほくりくに来きたことはなく、県けん外がいの人ひとにも分わかりやすい発信はっしんを心こころがけたといいます。

投稿とうこうは26日にちまでに1890万まん回かい以上いじょうみられ、石川いしかわ県けんの公式こうしきアカウントも引用いんよう。「被災ひさい地ちとの位置いち関係かんけいがよく分わかった」などのコメントが寄よせられています。

名取なとりさんは復興ふっこうの進捗しんちょく状況じょうきょうに合あわせて地図ちずの情報じょうほうを更新こうしんし続つづけています。

名取なとり祐一郎ゆういちろうさん

「石川いしかわ県内けんないが全部ぜんぶ被災ひさい地ちという印象いんしょうを持もった観光かんこう客きゃくが、被害ひがいが少すくなかった南部なんぶの金沢かなざわ市しなどにも来こなくなっている。県けん外がいの方ほうに少すこしでも情報じょうほう発信はっしんして恩返おんがえしできればと思おもいました」

背景はいけいには風評ふうひょう被害ひがい

石川いしかわ県けんや福井ふくい県けんなどでは、観光かんこう客きゃくが減へり営業えいぎょうに大おおきな打撃だげきとなっている地域ちいきもあり、

応援おうえん割わりについて、「一番いちばんの支援しえんは泊とまってもらうこと」といった期待きたいの声こえが聞きかれています。

金沢かなざわ市し湯涌ゆわく温泉おんせん通常つうじょう通どおり営業えいぎょうもキャンセル相次あいつぐ

金沢かなざわ市しにある湯涌ゆわく温泉おんせんの観光かんこう協会きょうかいによりますと、9軒けんある旅館りょかんでは建物たてものの被害ひがいはほとんどありませんでしたが、地震じしんが発生はっせいしてからキャンセルが相次あいつぎ、予約よやくが半分はんぶんほどに減へったということです。

老舗しにせ旅館りょかんの「あたらしや」でも県けん外客がいきゃくを中心ちゅうしんに、1月つきだけで180件けんほどのキャンセルがあり、損失そんしつは800万まん円えんほどに上のぼるということです。キャンセルした人ひとからは、地震じしんが相次あいついでいるため、石川いしかわ県けんを訪おとずれることに不安ふあんを感かんじるという声こえが多おおかったということです。

この時期じきの平日へいじつは例年れいねんなら5組くみほどが泊とまるということですが、19日にちは1組くみだけでした。

金沢かなざわ市しに住すむ息子むすこ夫婦ふうふらと宿泊しゅくはくした埼玉さいたま県けんの70代だいの男性だんせいは「息子むすこから金沢かなざわ市内しないの状況じょうきょうについて電話でんわで聞きいていたので、心配しんぱいはしていませんでした。また旅行りょこうに来くるなどして石川いしかわ県けんの人ひとたちを支ささえていきたいです」と話はなしていました。

旅館りょかんでは通常つうじょう通どおり営業えいぎょうしていることをSNSで伝つたえているほか、地震じしんの対応たいおうや復旧ふっきゅうの支援しえんに訪おとずれる人ひとの受け入うけいれについてもほかの旅館りょかんなどと話し合はなしあっています。

あたらしや宇野うの太ふとし祐ゆう代表だいひょう

「このまま風評ふうひょう被害ひがいが続つづくと宿やどの営業えいぎょうが難むずかしくなってしまいます。金沢かなざわ市しは比較的ひかくてき、地震じしんの影響えいきょうが少すくないので多おおくの人ひとに来きてほしいです」

福井ふくいあわら市しの温泉おんせん街がいでもキャンセル相次あいつぐ

震度しんど5強きょうの揺ゆれを観測かんそくした福井ふくい県けんあわら市しの温泉おんせん街がいでも、地震じしん以降いこう、客きゃくが不安ふあんを感かんじて宿泊しゅくはくの予約よやくをキャンセルするケースが相次あいついでいます。

温泉おんせん街がいで最大さいだいの客室きゃくしつ数すうがある旅館りょかんでは、25日にち時点じてんで、1月つきから3月つきまででおよそ2000件けんの予約よやくのキャンセルがあったということです。

市しのまとめによりますと、1月つき18日にちの時点じてんで市内しないにある24の温泉おんせん旅館りょかんやホテルで、3月つきまでの予約よやくのキャンセル数すうは、合あわせておよそ6600件けん、総額そうがくは推定すいていでおよそ4億おく9000万まん円えんあまりに上のぼるということです。

伊藤いとう将太しょうた取締役とりしまりやく

「1月つき2月つきのツアーの予約よやくがごっそりなくなってしまい、非常ひじょうに厳きびしいが、政府せいふの支援しえん策さくには3月つきからの新幹線しんかんせんの開業かいぎょうにも重かさなるので、とても期待きたいしている。旅館りょかんにとって一番いちばんの支援しえんは泊とまってもらうことなので、多おおくの人ひとに来きていただきたい」

また、富山とやま県けんでもキャンセルが相次あいついでいて、富山とやま県けんホテル旅館りょかん生活せいかつ衛生えいせい同業どうぎょう組合くみあいの調査ちょうさによりますと、25日にちまでに、宿泊しゅくはくのほか、宴会えんかいや日帰ひがえりのプランを含ふくめたキャンセルの額がくはおよそ5億おく2000万まん円えんにのぼっています。

観光かんこう庁ちょう “応援おうえん割わりの開始かいし時期じきは県けんごとの判断はんだん”

観光かんこう庁ちょう観光かんこう産業さんぎょう課かは「4県けんとも開始かいしの時期じきは県けんごとに判断はんだんできる仕組しくみになっている。開始かいし時期じきは3～4月つきを念頭ねんとうにしているが、宿泊しゅくはく施設しせつは二に次じ避難ひなん先さきなどとして使つかわれていることから、県けんごとに観光かんこう客きゃくを受け入うけいれることができる適切てきせつなタイミングを判断はんだんしてほしい」と話はなしています。

今回こんかいは自治体じちたいの求もとめに応おうじてすぐに対応たいおうできるよう、この時期じきに予算よさんを準備じゅんびしたということです。

また、観光かんこう庁ちょうによると、観光かんこうは宿泊しゅくはく施設しせつだけでなく交通こうつうや飲食いんしょくなど関かかわる事業じぎょう者しゃが多おおいため、観光かんこう客きゃくが増ふえることで地域ちいき全体ぜんたいでの経済けいざいや消費しょうひの活性かっせい化かを目指めざし「北陸ほくりく応援おうえん割わり」の導入どうにゅうを決きめたということです。