JR西日本にしにほん 赤字あかじ続つづく芸備線げいびせん 再さい構築こうちくの協議きょうぎ会かい設置せっち 国くにに初はじめて要請ようせい

この法律ほうりつに基もとづき国こくに要請ようせいするのは全国ぜんこくで初はじめてです。

全国ぜんこくの地方ちほう鉄道てつどうでは多おおくの路線ろせんで赤字あかじが続つづいていて、10月つき1日にち、自治体じちたいや鉄道てつどう事業じぎょう者しゃからの要請ようせいで交通こうつう手段しゅだんの再さい構築こうちくを議論ぎろんする協議きょうぎ会かいを国くにが設置せっちできることを盛り込もりこんだ改正かいせい法ほうが施行しこうされました。

これを受うけて、JR西日本にしにほんは芸備線げいびせんの一部いちぶの区間くかんについて協議きょうぎ会かいの設置せっちを3日にち午前ごぜん、国くにに要請ようせいしました。

この法律ほうりつに基もとづき、協議きょうぎ会かいの設置せっちを国くにに要請ようせいするのは全国ぜんこくで初はじめてです。

対象たいしょうとなる区間くかんは

▼広島ひろしま県けん庄原しょうばら市しの備後びんご庄原しょうばら駅えきと

▼岡山おかやま県けん新見にいみ市しの備中びっちゅう神代かくみ駅えきの間まの68.5キロです。

要請ようせいを受うけて国くには協議きょうぎ会かいの設置せっちの必要ひつようがあるかを判断はんだんし、協議きょうぎ会かいが設置せっちされれば、複数ふくすうの自治体じちたいの意見いけんを集約しゅうやくしたうえで、地方ちほう鉄道てつどうの利用りよう促進そくしんや、バス転換てんかんに向むけた実証じっしょう実験じっけんを行おこなうなど、地域ちいきの実情じつじょうに沿そった形かたちで公共こうきょう交通こうつうのあり方ありかたが検討けんとうされることになります。

JR西日本にしにほん「最適さいてきな交通こうつう体系たいけいを構築こうちくしたい」

芸備線げいびせんの一部いちぶ区間くかんについて協議きょうぎ会かいの設置せっちを国くにに要請ようせいしたことを受うけて、JR西日本にしにほん広島ひろしま支社ししゃの奥井おくい明彦あきひこ副ふく支社ししゃ長ちょうは、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに対にたいして「利用りよう者しゃ数すうの減少げんしょう傾向けいこうに歯止はどめがかからず、大量たいりょう輸送ゆそうという鉄道てつどうの特性とくせいを生いかし切きれていない線区せんくだったが、関係かんけい自治体じちたいとはなかなか再さい構築こうちくの議論ぎろんを進すすめることができなかった。廃はい線せんや存続そんぞくといった前提ぜんていを置おかずに議論ぎろんを行おこない、地域ちいきの人ひとに利用りようしてもらいやすい最適さいてきな交通こうつう体系たいけいを構築こうちくしていきたい」と述のべました。

通学つうがくで利用りようする高校生こうこうせい「廃はい線せんしない方向ほうこうで赤字あかじ減げん考かんがえて」

対象たいしょう区間くかんにある駅えきのひとつ野の馳駅えきは、新見にいみ市しの中心ちゅうしん部ぶから15キロほど離はなれ、岡山おかやま県内けんないの芸備線げいびせんの駅えきとしては最もっとも西にしにあります。現在げんざい、およそ20人にんの高校生こうこうせいが、市しの中心ちゅうしん部ぶの高校こうこうに通学つうがくするため芸備線げいびせんを使つかっています。

高校生こうこうせいたちは「芸備線げいびせんのおかげで親おやの送迎そうげいの負担ふたんが減へるのでありがたい」とか、「廃はい線せんしないという方向ほうこうで、どのように赤字あかじを減へらしていくかを考かんがえてほしい」と話はなしていました。

駅えき近ちかくに住すむ男性だんせい「存続そんぞくしてもらいたい」

野の馳駅えきの近ちかくに住すむ田口たぐち一寿かずとしさん（82）は、昭和しょうわ34年ねんの春はるまで芸備線げいびせんで高校こうこうに通かよいました。当時とうじは蒸気じょうき機関きかん車しゃが客車きゃくしゃをひき、通勤つうきんや通学つうがくの人ひとを車内しゃないいっぱいに乗のせていたといいます。

田口たぐちさんは「当時とうじは鉄道てつどう以外いがいの乗り物のりものはあまりないので、大おおいに利用りようしていて相当そうとうな人ひとが乗のってた。鉄道てつどうがあるところは、鉄道てつどうがないところより活気かっきがあり、やはり鉄道てつどうの力ちからは大おおきい」と振り返ふりかえります。

駅前えきまえは日用にちよう雑貨ざっかを扱あつかう店みせや飲食いんしょく店てんもあってにぎわい、林業りんぎょうが盛さかんだった当時とうじは、木材もくざいを運はこぶ貨物かもつ用ようのホームもありました。

現在げんざいの駅えきの様子ようすをみた田口たぐちさんは、「草くさぼうぼうになって一抹いちまつの寂さびしさを感かんじる。本数ほんすうも少すくなくなったがそれでも鉄道てつどうが通かよっているのはいいことだと思おもう」と話はなしています。

その上うえで「ずっと列車れっしゃが走はしってきたので芸備線げいびせんは存続そんぞくしてもらいたい。国くにの協議きょうぎ会かいでは、単たんに儲もうからないところを切り捨きりすてるというのではなく、公共こうきょう性せいの観点かんてんからも考かんがえてほしい」と話はなしています。

広島ひろしま 湯崎ゆざき知事ちじ「沿線えんせん市しと協議きょうぎし対応たいおう検討けんとう」

JR西日本にしにほんが国くにに協議きょうぎ会かいの設置せっちを要請ようせいしたことを受うけて、広島ひろしま県けんの湯崎ゆざき知事ちじは、記者きしゃ団だんに対にたいし「国くにから意見いけん聴取ちょうしゅをされた場合ばあい、協議きょうぎ会かいの趣旨しゅしや検討けんとうすべき内容ないようをふまえ、沿線えんせん市しと協議きょうぎして対応たいおうを検討けんとうしたい。予算よさん規模きぼが小ちいさい沿線えんせん市しが公共こうきょう交通こうつうの維持いじのために補助ほじょ金きんを将来しょうらいにわたって出だし続つづけることは重おもい負担ふたんになる。仮かりにバスなどへの転換てんかんを行おこなう場合ばあい、持続じぞく的てきな運行うんこうと利便りべん性せいの確保かくほのため、JR側がわの確実かくじつな協力きょうりょくを国くにに求もとめていきたい」と述のべました。

岡山おかやま 伊い原木げんぼく知事ちじ「新見にいみ市しや広島ひろしま県けんなどと相談そうだん」

JR西日本にしにほんが国くにに協議きょうぎ会かいの設置せっちを要請ようせいしたことを受うけて、岡山おかやま県けんの伊い原木はらき隆太りゅうた知事ちじは記者きしゃ団だんに対にたいし「いまの時点じてんで、再さい構築こうちく協議きょうぎ会かいが設置せっちされ、関係かんけいする自治体じちたいなどすべてが参加さんかすることが100％決きまっている訳わけではない。国くにの意見いけん聴取ちょうしゅに対にたいしては、新見にいみ市しや広島ひろしま県けんなどと相談そうだんしながら返答へんとうしていきたい」と述のべました。

その上うえで、引き続ひきつづき芸備線げいびせんの利用りよう促進そくしんに取り組とりくんでいく考かんがえを示しめしました。

斉藤さいとう国交こっこう相しょう「事業じぎょう者しゃ任まかせ地域ちいき任まかせにせず」

経営けいえいが厳きびしい鉄道てつどうをめぐり路線ろせんの存続そんぞくやバス転換てんかんを議論ぎろんする協議きょうぎ会かいを国くにが設置せっちできるとする法律ほうりつが10月つき1日にちに施行しこうされたことを受うけて、斉藤さいとう国土こくど交通こうつう大臣だいじんは3日にちの閣議かくぎのあとの会見かいけんで、「一ひとつでも多おおくのローカル鉄道てつどうで再さい構築こうちくが進すすむことを期待きたいしている。国土こくど交通こうつう省しょうとしても、事業じぎょう者しゃ任まかせ、地域ちいき任まかせにするのではなく、地域ちいき公共こうきょう交通こうつうはなくしてはならない、最もっとも地域ちいきで暮くらす人ひとに便利べんりな、ずっと続つづく、持続じぞく可能かのうな地域ちいき公共こうきょう交通こうつうは何なになのかということに責任せきにんを持もち、後押あとおしをしたい。事業じぎょう者しゃ、地域ちいき、国くにが一体いったいとなって、地域ちいき公共こうきょう交通こうつうを守まもっていきたい」と述のべました。