ガザ地区ちくからロケット攻撃こうげき イスラエル報復ほうふく 首相しゅしょう“戦争せんそう状態じょうたいに”

イスラエル側がわもガザ地区ちくへの報復ほうふく作戦さくせんを開始かいししていて、事態じたいの激化げきかが懸念けねんされています。

イスラエルのメディアによりますとパレスチナ暫定ざんてい自治じち区くのガザ地区ちくから7日にち、2000発はつ以上いじょうのロケット弾だんが発射はっしゃされ、イスラエル南部なんぶなどで被害ひがいが出でているほか、ガザ地区ちくから侵入しんにゅうした武装ぶそう勢力せいりょくとイスラエルの治安ちあん部隊ぶたいとの銃撃じゅうげき戦せんも起おきているということです。

一連いちれんの攻撃こうげきでこれまでに少すくなくとも40人にんのイスラエル人じんが死亡しぼうし、500人にん以上いじょうがけがをしたと伝つたえています。

今回こんかいの攻撃こうげきについて、ガザ地区ちくを実効じっこう支配しはいするイスラム組織そしきハマスは声明せいめいで、イスラエルへの攻撃こうげきを開始かいししその後そのご、複数ふくすうのイスラエル兵へいを捕虜ほりょにしたと主張しゅちょうしています。

イスラエルのネタニヤフ首相しゅしょう「戦争せんそう状態じょうたいにある」

イスラエルではネタニヤフ首相しゅしょうが「われわれは戦争せんそう状態じょうたいにある」とする声明せいめいを出だしたほか、イスラエル軍ぐんも報復ほうふく作戦さくせんを開始かいししガザ地区ちくにあるハマスの複数ふくすうの拠点きょてんを空爆くうばくしたとしています。

中東ちゅうとうの衛星えいせいテレビ局てれびきょくアルジャジーラなどは、ガザ地区ちくでは7日にち、160人にん以上いじょうが死亡しぼうしたと伝つたえています。

ガザ地区ちくからのロケット弾だんによる攻撃こうげきは、これまでもたびたび行おこなわれてきましたが、ガザ地区ちくからイスラエル側がわに武装ぶそう勢力せいりょくが侵入しんにゅうして攻撃こうげきを行おこなうのは極きわめて異例いれいで、事態じたいの激化げきかが懸念けねんされています。

ガザ地区ちくとは

パレスチナは、1948年ねんのイスラエル建国けんこくとその後そのごの中東ちゅうとう戦争せんそう、それに内部ないぶの対立たいりつを経へて、ヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちくとガザ地区ちくに分断ぶんだんされています。

このうちガザ地区ちくは、地中海ちちゅうかいに沿そった、鹿児島かごしま県けんの種子島たねがしまほどの広ひろさの土地とちに220万まん人にん以上いじょうが暮くらしていて、イスラム組織そしき「ハマス」が実効じっこう支配しはいしています。

このハマスを敵視てきしするイスラエルによる経済けいざい封鎖ふうさが続つづいているほか、軍事ぐんじ衝突しょうとつで多おおくの民間みんかん人じんが犠牲ぎせいとなってきました。

また、ガザ地区ちくの周囲しゅういには壁かべやフェンスが張り巡はりめぐらされ、移動いどうの自由じゆうも制限せいげんされていて、「天井てんじょうのない監獄かんごく」とも呼よばれています。

イスラエルとパレスチナ 武力ぶりょく攻撃こうげきの応酬おうしゅう

中東ちゅうとうのイスラエルとパレスチナの間までは、武力ぶりょく攻撃こうげきの応酬おうしゅうが続つづいてきました。

2014年ねん、イスラエル軍ぐんが地上ちじょう部隊ぶたいを投入とうにゅうしてガザ地区ちくに侵攻しんこうし、この軍事ぐんじ衝突しょうとつではガザ地区ちくで2200人にん以上いじょう、イスラエル側がわでおよそ70人にんが死亡しぼうしました。

また、2021年ねん5月つきの衝突しょうとつでガザ地区ちくでは256人にんが死亡しぼうしています。

さらに、ことしに入はいってから、双方そうほうによる暴力ぼうりょくの応酬おうしゅうが激化げきかしていて、7月つきにはヨルダン川よるだんがわ西岸せいがん地区ちくで、イスラエル軍ぐんが過去かこ20年間ねんかんで最大さいだい規模きぼとされる軍事ぐんじ作戦さくせんを実施じっしし、パレスチナ人じん13人にんが死亡しぼうしたほか、イスラエル側がわも兵士へいし1人にんが死亡しぼうしました。

国連こくれんの発表はっぴょうによりますと、ことしに入はいってから、パレスチナ人じんは200人にん以上いじょう、イスラエル人じんはおよそ30人にんが死亡しぼうしているということです。

各国かっこくから厳きびしい非難ひなんや双方そうほうに自制じせいを求もとめる声こえ

欧米おうべいや中東ちゅうとうなどの各国かっこくからは攻撃こうげきに対にたいする厳きびしい非難ひなんや、双方そうほうに自制じせいを求もとめる声こえが出でています。

このうちアメリカ、ホワイトハウスのNSC＝国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎの報道ほうどう官かんは声明せいめいを出だし「ハマスのテロリストたちによるイスラエル市民しみんへの攻撃こうげきを明確めいかくに非難ひなんする。いかなるテロも正当せいとう化かできない」としてハマスを強つよく非難ひなんしました。

また、安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを担当たんとうするサリバン大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんがイスラエル側がわと電話でんわで協議きょうぎし、イスラエルと緊密きんみつに連絡れんらくをとっていくと伝つたえたとしています。

イギリスのスナク首相しゅしょうは「ハマスのテロリストによるイスラエル市民しみんへの攻撃こうげきに衝撃しょうげきを受うけている。イスラエルには自国じこくを防衛ぼうえいする絶対ぜったい的てきな権利けんりがある」とSNSに投稿とうこうしました。

フランスのマクロン大統領だいとうりょうは、SNSへの投稿とうこうで「イスラエルに対にたいするテロ攻撃こうげきを強つよく非難ひなんする。犠牲ぎせい者しゃやその家族かぞくらに対にたいし、全面ぜんめん的てきに連帯れんたいを表明ひょうめいする」としています。

ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうはSNSへの投稿とうこうで「世界せかいのどこであってもテロはあってはならない。それは1つの国くにに対にたいしてのみならず、人類じんるいや世界せかい全体ぜんたいに対にたいする犯罪はんざいだからだ。イスラエルの自衛じえいの権利けんりは疑うたがいの余地よちはない」としてハマス側がわを強つよく非難ひなんしました。

また、ロシア外務省がいむしょうのザハロワ報道ほうどう官かんはSNSへの投稿とうこうで「状況じょうきょうの急激きゅうげきな悪化あっかに最もっとも深刻しんこくな懸念けねんを表明ひょうめいする」としたうえで、双方そうほうに対にたいし、即時そくじの戦闘せんとう停止ていしや暴力ぼうりょくの放棄ほうきなど自制じせいを求もとめました。そして「現在げんざいの状況じょうきょうの激化げきかは、国連こくれんや安保理あんぽり決議けつぎが慢性まんせい的てきに無視むしされた結果けっかだ」などとして中東ちゅうとう和平わへいに向むけた調停ちょうていの動うごきを欧米おうべいが拒否きょひしていると一方いっぽう的てきに批判ひはんしました。

トルコのエルドアン大統領だいとうりょうは、首都しゅとアンカラで開ひらかれた政権せいけん与党よとうの大会たいかいで「すべての当事者とうじしゃに自制じせいを呼よびかけている。緊張きんちょうを高たかめてはいけない」と述のべ、双方そうほうに対にたいし一刻いっこくも早はやく戦闘せんとうをやめるよう求もとめました。

エジプト外務省がいむしょうは声明せいめいで緊張きんちょうの激化げきかによる深刻しんこくな危機ききに警鐘けいしょうを鳴ならすとした上うえで、市民しみんを危険きけんにさらさないよう自制じせいを求もとめています。

サウジアラビア外務省がいむしょうも声明せいめいで状況じょうきょうを注視ちゅうししているとした上うえで、双方そうほうに対にたいし暴力ぼうりょくを止とめるよう訴うったえています。

一方いっぽう、イスラエルと敵対てきたいし、ハマスを軍事ぐんじ的てきに支援しえんしてきたイランでは最高さいこう指導しどう者しゃハメネイ師しの顧問こもんが、首都しゅとテヘラン市内しないで演説えんぜつし「国際こくさい機関きかんが沈黙ちんもくするかげでパレスチナの子こどもや若者わかものがイスラエルに殺ころされてきた。われわれはパレスチナとエルサレムが解放かいほうされるまで、パレスチナの戦士せんしたちとともにある」と述のべハマスによる攻撃こうげきへの支持しじを表明ひょうめいしました。