クマによる被害が9日も各地で相次いでいます。
被害にあった人の数をNHKがまとめたところ、今年度は過去最悪のペースとなっていて、国や自治体、専門家は被害を防ぐ対策の徹底を呼びかけています。
“住宅街 4人が相次いで” 秋田
秋田市の住宅街では、4人が相次いでクマに襲われ病院に運ばれました。
警察によりますと、9日午前9時すぎ、秋田市新屋の住宅街で、60代から80代の男女4人が相次いでクマに襲われました。
4人とも病院に運ばれましたが、いずれも意識があり、会話もできるということです。
このほか、80代の男性がクマに驚いて転び、病院で手当を受けているということです。
現場は秋田駅から西に5キロほど離れた住宅街で、近くには雄物川が流れています。
秋田県と警察は、ことしはクマと遭遇するリスクが特に高くなっているとして、やぶなど見通しの悪い場所には近づかず、集落にクマを寄せつけないよう屋外に生ゴミを捨てたり放置したりしないよう呼びかけています。
“公園を散歩中に” 金沢
金沢市の公園では、散歩をしていた男性がクマに襲われました。
消防によりますと、9日午前6時すぎ、金沢市の中心部から離れた長坂町にある「大乗寺丘陵公園」で「男性がクマに襲われた」と公園にいた人から通報がありました。
金沢市によりますと、市内の80代の男性が公園の中を散歩していたところクマに襲われ、額や胸にけがをしたということです。
消防によりますと男性は病院に運ばれ命に別状はないということです。
クマはフンの大きさなどから体長およそ1メートルと推定され、山の方に逃げたとみられるということで、警察などが猟友会とともに捜索しましたが、発見できていないということです。
“自宅の庭で” 富山
富山市では女性が自宅の庭でクマに襲われ大けがをしました。
富山市によりますと、富山市栗山の住宅の庭でこの家に住む79歳の女性がクマ1頭に襲われ、顔をひっかかれる大けがをしたということです。
病院に搬送された時は意識があったということです。
クマはその場から逃げ、市や警察、猟友会が住民への注意喚起とパトロールを行っています。
近くに住む60代の男性は「女性が家の庭で倒れていて、担架で運ばれる時に顔にけがをしているのを見た。近くでこのようなことが起きて怖い。小学校に通う孫たちを車で送迎するなど気をつけたい」と話していました。
富山県によりますと、県内のクマによる人身被害はことしに入ってこれで3件目です。
県は「富山県ツキノワグマ出没警報」を発令し、10日関係機関と緊急会議を開いて対策を検討することにしています。
富山県は、果樹の実などは日中に早めに取り除き、クマの活動が活発な夕暮れから明け方にかけては畑仕事や散歩などの外出は避けるなど注意を呼びかけています。
クマ被害 3年前の最多を上回る過去最悪のペースに
クマに襲われてけがをするなど被害にあった人の数をNHKがまとめたところ、今年度は9月までに全国15の道府県で106人と、国が統計を取り始めて以降最も多かった3年前を上回る過去最悪のペースとなっています。
10月に入っても各地で被害が相次いでいて、例年、クマが冬眠に入る前のこの時期に被害が増える傾向があることから国や自治体、専門家は被害を防ぐ対策の徹底を呼びかけています。