日本新聞: 「感染減少も医療体制厳しい局面続く対策継続を」専門家会合

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくについて助言じょげんする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうが開ひらかれ、現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうについて、依然いぜん高たかい水準すいじゅんではあるものの、ほぼすべての地域ちいきで減少げんしょうが続つづいていると分析ぶんせきしました。その一方いっぽうで、重症じゅうしょう者しゃ数すうは過去かこ最多さいたの規模きぼで医療いりょう体制たいせいの厳きびしい状況じょうきょうが継続けいぞくしているとして、少すくなくとも一般いっぱん医療いりょうが制限せいげんされないレベルまで感染かんせん状況じょうきょうを改善かいぜんするため、必要ひつような対策たいさくを続つづけるよう呼よびかけました。

専門せんもん家か会合かいごうは現在げんざいの全国ぜんこくの感染かんせん状況じょうきょうについて、いまだに多おおくの地域ちいきでこれまでにない規模きぼで感染かんせん者しゃが発生はっせいする事態じたいが続つづいているとしながら、ほぼすべての地域ちいきで減少げんしょうしていると分析ぶんせきしました。

その一方いっぽうで、重症じゅうしょう者しゃ数すうは過去かこ最多さいたの規模きぼが続つづき、亡なくなる人ひとの数かずもワクチンの効果こうかで過去かこの感染かんせんの波なみと比くらべると低ひくい水準すいじゅんになっているものの、増加ぞうか傾向けいこうで医療いりょう体制たいせいは厳きびしい局面きょくめんが続つづいているとしています。

感染かんせん状況じょうきょうを地域ちいき別べつに見みると、東京とうきょう都とでは感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょうしていますが、入院にゅういん者しゃ数すうは20代だいから50代だいを中心ちゅうしんに高こう止どまりの状況じょうきょうで、人工じんこう呼吸こきゅう器きなどを使用しようしている重症じゅうしょう者しゃ数すうは70代だい以上いじょうで増加ぞうか傾向けいこうが見みられるなどとしていて、救急きゅうきゅう医療いりょうなど一般いっぱん医療いりょうの制限せいげんが続つづいているとしています。

埼玉さいたま県けん、千葉ちば県けん、神奈川かながわ県けんでも病床びょうしょうの使用しよう率りつが高こう止とまりし、神奈川かながわ県けんでは、夜間やかんの人出ひとでが増加ぞうかに転てんじているとしています。沖縄おきなわ県けんは減少げんしょう傾向けいこうとなっているものの、人口じんこう当あたりの感染かんせん者しゃ数すうは全国ぜんこくで最もっとも高たかい水準すいじゅんで、病床びょうしょう使用しよう率りつは9割わり前後ぜんごと医療いりょう体制たいせいは厳きびしい状況じょうきょうが続つづいているとしています。関西かんさいや中京ちゅうきょう圏けんでも感染かんせん者しゃ数すうは減少げんしょうしているものの、大阪おおさかでは夜間やかんの人出ひとでの増加ぞうかが続つづいていて感染かんせんの再さい拡大かくだいに注意ちゅういが必要ひつようだとしています。

現在げんざい感染かんせんが減少げんしょうしている要因よういんとして、専門せんもん家か会合かいごうは、多おおくの市民しみんが感染かんせん対策たいさくに協力きょうりょくしていること、ワクチン接種せっしゅが現役げんえき世代せだいを含ふくめて進すすんできていること、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんなどが出だされている地域ちいきでの人出ひとでの減少げんしょう、それに医療いりょうひっ迫ひっぱくなどの情報じょうほうが伝つたえられたことで行動こうどう変容へんようが起おきたことなどが考かんがえられると分析ぶんせきしています。

しかし、学校がっこうの再開さいかいや連休れんきゅうもあるため、少すくなくとも一般いっぱんの医療いりょうが制限せいげんされない状態じょうたいになるまで感染かんせん状況じょうきょうを改善かいぜんするために、対策たいさくを継続けいぞくし、医療いりょう機関きかんや保健所ほけんじょへの支援しえんの強化きょうかを続つづける必要ひつようがあると強調きょうちょうしました。さらに、今後こんご対策たいさくの緩和かんわを検討けんとうする場合ばあいは、感染かんせんの再さい拡大かくだいが早期そうきに起おきないよう段階だんかい的てきな緩和かんわが必要ひつようで、中ちゅう長期ちょうき的てきには冬ふゆに向むけて厳きびしい感染かんせん状況じょうきょうとなる可能かのう性せいもあり、ワクチン接種せっしゅを進すすめ、抗体こうたいカクテル療法りょうほうを活用かつようするなどの対策たいさくを進すすめるよう求もとめています。

そのうえで、専門せんもん家か会合かいごうは引き続ひきつづき「自分じぶんや家族かぞくの命いのちを守まもるために必要ひつような行動こうどうを」という表現ひょうげんで、すでにワクチンを接種せっしゅした人ひとも含ふくめて外出がいしゅつをなるべく控ひかえ、混雑こんざつした場所ばしょなど感染かんせんリスクが高たかい場所ばしょを避さけるなど、個人こじんでできる対策たいさくを取とるよう呼よびかけました。

田村たむら厚あつし労相ろうしょう「重症じゅうしょう者しゃ数すう高だか止とまり、死亡しぼう者しゃもまだ増加ぞうか傾向けいこう」

田村たむら厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは、専門せんもん家か会合かいごうの冒頭ぼうとうで「感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょう傾向けいこうであることは間違まちがいないが、重症じゅうしょう者しゃ数すうは高こう止とまりし、亡なくなる人ひともまだ増加ぞうか傾向けいこうにある。学校がっこうが始はじまり人々ひとびとの行動こうどうが変かわってきており、まだまだ要よう注意ちゅういだ」と述のべました。

そのうえで「新型しんがたコロナへの対応たいおうは長期ちょうき戦せんとなっており『コロナを中心ちゅうしんに、一般いっぱん医療いりょうを止とめ続つづける』ということができなくなっているし、確保かくほできる病床びょうしょうにも限度げんどがある。また冬ふゆに大おおきな感染かんせんが起おこることもありえるので、どのような形かたちで一般いっぱん医療いりょうとコロナの医療いりょうを両立りょうりつしていくのか考かんがえなければならない時期じきに来きている」と述のべました。

新規しんき感染かんせん者しゃ数すう前週ぜんしゅう比ひ全国ぜんこくで0.70倍ばい

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうで示しめされた資料しりょうによりますと、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは7日にちまでの1週間しゅうかんでは、前まえの週しゅうと比くらべて、全国ぜんこくでは0.70倍ばいとほぼすべての地域ちいきで減少げんしょうしています。

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされている地域ちいきのうち、

首都しゅと圏けんの1都と3県けんでは

▽東京とうきょう都とで0.63倍ばい、

▽埼玉さいたま県けんで0.62倍ばい、

▽神奈川かながわ県けんで0.65倍ばい、

▽千葉ちば県けんで0.74倍ばい、

関西かんさいでは

▽大阪おおさか府ふで0.83倍ばい、

▽京都きょうと府ふで0.77倍ばい、

▽兵庫ひょうご県けんで0.80倍ばい、

▽滋賀しが県けんで0.72倍ばい、

中京ちゅうきょう圏けんでは

▽愛知あいち県けんで0.86倍ばい、

▽岐阜ぎふ県けんで0.64倍ばい、

▽三重みえ県けんで0.50倍ばいと

先週せんしゅうまで増加ぞうかしていた大阪おおさか府ふや愛知あいち県けんなどでも減少げんしょうしています。

また、

▽北海道ほっかいどうで0.57倍ばい、

▽宮城みやぎ県けんで0.55倍ばい、

▽茨城いばらき県けんで0.85倍ばい、

▽栃木とちぎ県けんで0.68倍ばい、

▽群馬ぐんま県けんで0.51倍ばい、

▽静岡しずおか県けんで0.60倍ばい、

▽岡山おかやま県けんで0.67倍ばい、

▽広島ひろしま県けんで0.63倍ばい、

▽福岡ふくおか県けんで0.73倍ばい、

▽沖縄おきなわ県けんで0.74倍ばいと

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出でているすべての地域ちいきで減少げんしょう傾向けいこうとなっています。

現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうを人口じんこう10万まん人にん当あたりの直近ちょっきん1週間しゅうかんの感染かんせん者しゃ数すうで見みると、

▽沖縄おきなわ県けんが212.11人にん、

▽大阪おおさか府ふが165.24人にん、

▽愛知あいち県けんが144.00人にん、

▽千葉ちば県けんが112.35人にん、

▽東京とうきょう都とが112.19人にん、

▽神奈川かながわ県けんが109.94人にん、

▽京都きょうと府ふが103.60人にんと、

7つの都府県とふけんで100人にんを超こえていて、全国ぜんこくでは81.38人にんと100人にんを下回したまわりました。

感染かんせん状況じょうきょうが最もっとも深刻しんこくな「ステージ4」の目安めやすの25人にんを超こえているのは、35の都道とどう府県ふけんとなっています。

主要しゅような繁華はんか街がいの人出ひとでデータは

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうでは、東京とうきょう都と医学いがく総合そうごう研究所けんきゅうじょ社会しゃかい健康けんこう医学いがく研究けんきゅうセンターが、今月こんげつ5日にちまでの全国ぜんこくの主要しゅような繁華はんか街がいの人出ひとでのデータを示しめしました。

各かく自治体じちたいの主要しゅような繁華はんか街がいを対象たいしょうに個人こじんを特定とくていしない形かたちで得えられた携帯けいたい電話でんわの位置いち情報じょうほうから、職場しょくばや自宅じたく以外いがいで15分ふん以上いじょう滞在たいざいしていた人ひとの数かずを「滞留たいりゅう人口じんこう」として、500メートルメッシュで時間じかんごとに分析ぶんせきしています。

「首都しゅと圏けん」東京とうきょうは夜間やかん減少げんしょうに神奈川かながわで増加ぞうか埼玉さいたまは昼間ひるま増加ぞうか

東京とうきょう都とでは、新宿しんじゅくや渋谷しぶや、六ろく本木もときなど7か所かしょの繁華はんか街がいのデータを基もとに分析ぶんせきしています。

夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうはお盆おぼん明あけから2週しゅう連続れんぞくで増加ぞうかしていましたが、直近ちょっきん1週間しゅうかんは減少げんしょうに転てんじ、前まえの週しゅうから7.1％の減少げんしょうとなっています。

また、感染かんせんのリスクが高たかいとされる午後ごご10時じから深夜しんや0時じまでの時間じかん帯たいでは前まえの週しゅうから9.3％の減少げんしょうとなっています。

昼間ひるまの滞留たいりゅう人口じんこうも、直近ちょっきん1週間しゅうかんは前まえの週しゅうから3.7％減少げんしょうと小幅こはばながら減少げんしょうしています。

千葉ちば県けんでは、夜間やかん、昼間ひるまともに滞留たいりゅう人口じんこうは直近ちょっきん1週間しゅうかんで減少げんしょうしています。

神奈川かながわ県けんは、夜間やかん、昼間ひるまともに滞留たいりゅう人口じんこうは2週しゅう連続れんぞくで増加ぞうかし、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされる前まえの水準すいじゅんに戻もどっています。

埼玉さいたま県けんは夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうは減少げんしょうを続つづけていて、去年きょねんの1回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの際さいの最低さいてい値ちラインに達たっしています。

昼間ひるまの滞留たいりゅう人口じんこうは増加ぞうかが続つづいています。

「関西かんさい」大阪おおさかは増加ぞうか兵庫ひょうごは昼間ひるまで増加ぞうか京都きょうとは夜間やかん減へらず

大阪おおさか府ふでは夜間やかん、昼間ひるまともに滞留たいりゅう人口じんこうはお盆おぼん明あけから3週しゅう連続れんぞくで増加ぞうかしています。

宣言せんげん前まえの水準すいじゅんに戻もどりつつあり、今後こんごの感染かんせん状況じょうきょうへの影響えいきょうが懸念けねんされます。

兵庫ひょうご県けんでは夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうは3週しゅう連続れんぞくで低ひくい水準すいじゅんを維持いじしています。

昼間ひるまは直近ちょっきん1週間しゅうかんで増加ぞうかし始はじめています。

京都きょうと府ふでは夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうが、第だい4波はの際さいの最低さいてい水準すいじゅんと比くらべると高たかい水準すいじゅんで推移すいいしていて、直近ちょっきん1週間しゅうかんでは横よこばいで推移すいいしています。

「九州きゅうしゅう・沖縄おきなわ」福岡ふくおかと沖縄おきなわは夜間やかんで減少げんしょうも昼間ひるまは増加ぞうか

福岡ふくおか県けんでは夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうが直近ちょっきん1週間しゅうかんで減少げんしょうに転てんじています。

一方いっぽう、昼間ひるまは増加ぞうかしています。

沖縄おきなわ県けんでは夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうが再ふたたび減少げんしょうに転てんじ、1回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの際さいの最低さいてい値ちラインに到達とうたつしています。

一方いっぽうで、昼間ひるまの滞留たいりゅう人口じんこうは増加ぞうかが続つづいています。

脇田わきた座長ざちょう「ワクチンの効果こうかはデータからもはっきりしている」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうのあと会見かいけんした脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうは、感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょう傾向けいこうになったことについて「東京とうきょう都となどで新規しんき感染かんせん者しゃ数すうが急速きゅうそくに減少げんしょうしていて、その原因げんいんについてはきょうの議論ぎろんでもさまざまな意見いけんがあった。感染かんせんを抑おさえる要因よういんとしては、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出でてから夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうが継続けいぞく的てきに低下ていかしていたこと、ワクチン接種せっしゅが進すすんだことの効果こうか、それに季節きせつ的てきな要因よういんなどが考かんがえられる。これまでは飲食いんしょく店てんや学校がっこうから始はじまった感染かんせんが職場しょくばや家庭かていに入はいり、その後そのご、病院びょういんや高齢こうれい者しゃ施設しせつに広ひろがることで長引ながびくというパターンがあったが、ワクチン接種せっしゅが進すすんだことで高齢こうれい者しゃ施設しせつや病院びょういんでのクラスターが起おきにくくなっている。今回こんかいは若わかい人ひとの中心ちゅうしんの感染かんせん拡大かくだいだったという議論ぎろんがあった」と話はなしていました。

また、今後こんごの見通みとおしについて脇田わきた座長ざちょうは「9月つきに入はいり学校がっこうが再開さいかいしたが、大学だいがくや専門せんもん学校がっこうの学生がくせいは行動こうどう範囲はんいが広ひろいため、大学だいがくなどの再開さいかいは感染かんせん拡大かくだいの要因よういんにつながるとみられる。ワクチンを接種せっしゅしていない人ひとが集あつまる大学だいがくや繁華はんか街がいなどの場所ばしょが感染かんせんリスクが高たかい場所ばしょとなるので、そういう場所ばしょで感染かんせんを拡大かくだいさせないことが重要じゅうようになってくる。デルタ株かぶは感染かんせん力りょくが強つよいので、不ふ織お布ぬのマスクをしっかり着つける、3密みつを避さける、それとしっかりと換気かんきをする、外出がいしゅつもなるべく減へらすなどの基本きほん的てきな対策たいさくを続つづけてほしい。また、ワクチンに効果こうかがあることはデータからもはっきりしているので、機会きかいを見みつけてワクチンを接種せっしゅしていただくことが重要じゅうようだ」と話はなしていました。