日本新聞: 東日本大震災から10年半行方不明の妻へ祈り宮城東松島

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいから10年ねん半はん行方ゆくえ不明ふめいの妻つまへ祈いのり宮城みやぎ東松島ひがしまつしま

Sep 11, 2021 14:09

Furigana

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの発生はっせいから11日にちで10年ねん半はんです。宮城みやぎ県けん東松島ひがしまつしま市しでは、津波つなみで妻つまが行方ゆくえ不明ふめいとなっている男性だんせいが自宅じたくで祈いのりをささげました。

東松島ひがしまつしま市し野蒜のびるに暮くらしていた武田たけだ政夫まさおさん（85）は10年ねん前まえの津波つなみで50年ねん以上いじょう連れ添つれそった妻つまの千代子ちよこさん（当時とうじ73）が行方ゆくえ不明ふめいとなり、今いまも見みつかっていません。

東松島ひがしまつしま市しの災害さいがい公営こうえい住宅じゅうたくに1人にんで暮くらす武田たけださんは、毎朝まいあさ自宅じたくで千代子ちよこさんの写真しゃしんと花はなが飾かざられた仏壇ぶつだんに手てを合あわせていて、11日にちも、祈いのりをささげていました。

巨大きょだい地震じしんが起おきたあと、自宅じたくにいた武田たけださんと千代子ちよこさんは高台たかだいの公民館こうみんかんに避難ひなんしましたが、千代子ちよこさんは、息子むすこから預あずかっていた飼い犬かいいぬを自宅じたくに残のこしたことが気きになり、自宅じたくに引き返ひきかえしました。

自宅じたくは土台どだいだけを残のこして津波つなみに流ながされ、千代子ちよこさんは行方ゆくえ不明ふめいとなりました。

武田たけださんは1週間しゅうかんほど市内しないの遺体いたい安置あんち所しょに通かよいましたが、見みつからず、震災しんさいが起おきた年としの8月つきに葬儀そうぎをしました。

当時とうじを振り返ふりかえり、武田たけださんは「第だい1波はで津波つなみにのまれたとわかってことばでは言い表いいあらわせない気持きもちになりました。あれから10年ねん6か月かげつ、長ながいようで短みじかいようです。いつか一いち片へんの骨ほねでも私わたしのところに帰かえってくれば、抱だいて寝ねようと思おもっています。もう海中かいちゅう深ふかく、生涯しょうがい会あうことのできない遠とおい場所ばしょにいってしまったなという思おもいもあります。少すこしでも早はやく自分じぶんのところに帰かえってくることを、毎日まいにち願ねがっています」と、涙なみだを流ながしながら話はなしていました。