일본어 뉴스: 津波から職員を避難ルール定めていない自治体が約半数

津波つなみから職員しょくいんを避難ひなんルール定さだめていない自治体じちたいが約やく半数はんすう

Sep 11, 2021 21:09 1

Furigana

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの発生はっせいから11日にちで10年ねん半はん。当時とうじは自治体じちたい庁舎ちょうしゃにいた多おおくの職員しょくいんも犠牲ぎせいとなりました。全国ぜんこくの自治体じちたいのうち、津波つなみで庁舎ちょうしゃに浸水しんすいのおそれがある178の自治体じちたいをNHKが取材しゅざいしたところ、半数はんすう近ちかくが職員しょくいんを安全あんぜんな場所ばしょに避難ひなんさせる「退避たいひルール」を定さだめていないことがわかりました。震災しんさいの教訓きょうくんをどのように生いかすか課題かだいとなっています。

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、東北とうほくを中心ちゅうしんに10の自治体じちたいの庁舎ちょうしゃが津波つなみで被災ひさいし、災害さいがい対応たいおうにあたっていた職員しょくいんなど200人にん以上いじょうが犠牲ぎせいになりました。

教訓きょうくんが生いかされているのか検証けんしょうするため、NHKは先月せんげつ、津波つなみの浸水しんすい想定そうてい区域くいきに庁舎ちょうしゃがある全国ぜんこく178の自治体じちたいを対象たいしょうに高台たかだいなど安全あんぜんな場所ばしょに職員しょくいんを避難ひなんさせるルールを定さだめているか取材しゅざいしました。

それによりますと、97の自治体じちたいがルールを定さだめている一方いっぽう、半数はんすう近ちかくの46％にあたる81の自治体じちたいが「定さだめていない」と回答かいとうしました。

定さだめていない理由りゆうを尋たずねると、19の自治体じちたいが「津波つなみの想定そうていよりも庁舎ちょうしゃが高たかい建物たてもので安全あんぜんだ」と答こたえましたが、「基準きじゅんや決め方きめかたが分わからない」、「策定さくていする余裕よゆうがない」と答こたえた自治体じちたいがあわせて36に上のぼりました。

また、12の自治体じちたいが現在げんざい、策定さくてい中ちゅうだということです。

職員しょくいんを避難ひなんさせる「退避たいひルール」について、国くには自治体じちたいに対にたいし具体ぐたい的てきな基準きじゅんを示しめしていません。

自治体じちたいの災害さいがい対応たいおうに詳くわしい兵庫ひょうご県立けんりつ大学だいがく大学院だいがくいんの紅谷べにや昇平しょうへい准じゅん教授きょうじゅは「自治体じちたいの中なかには、住民じゅうみんの命いのちを守まもることを最さい優先ゆうせんにし、職員しょくいんの安全あんぜん対策たいさくが後回あとまわしになっているところがあると思おもう。リスクが高たかい自治体じちたいでは『退避たいひルール』を早急そうきゅうに定さだめるべきで、国くにも明確めいかくな指針ししんを示しめすべきだ」と話はなしています。

「職員しょくいんの命いのちも住民じゅうみんの命いのちも守まもらなくてはいけない」

ことし3月つきに退避たいひルールを作成さくせいした岩手いわて県けん久慈くじ市しは、職員しょくいんの避難ひなんと住民じゅうみんへの災害さいがい対応たいおうをどのように両立りょうりつさせるか検討けんとうを始はじめました。

久慈くじ市しは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみで沿岸えんがん部ぶは被害ひがいを受うけましたが市役所しやくしょは浸水しんすいを免まぬかれました。

しかし、去年きょねん9月つきに国くにが発表はっぴょうした巨大きょだい地震じしんの新あらたな想定そうていでは、市役所しやくしょも5.3メートルの高たかさまで浸水しんすいするおそれがあることが示しめされました。

このため市しは、業務ぎょうむ継続けいぞく計画けいかくを策定さくていし、津波つなみが到達とうたつする前まえに職員しょくいんを退避たいひさせるルールを新あらたに定さだめました。

新しん想定そうていでは、地震じしんの発生はっせいから35分ふんほどで津波つなみが庁舎ちょうしゃに到達とうたつすると予想よそうされていて、市しは、新あらたなルールの中なかで到達とうたつする15分ふん前まえまでに高台たかだいの分ぶん庁舎ちょうしゃに職員しょくいんを避難ひなんさせることにしました。

しかし、市役所しやくしょから分ぶん庁舎ちょうしゃは歩あるいて20分ふん近ちかくかかるため、住民じゅうみんの避難ひなん誘導ゆうどうなど災害さいがい対応たいおうにあたる時間じかんはほとんどありません。

このため久慈くじ市しでは、今後こんご、職員しょくいんと住民じゅうみんが一緒いっしょに避難ひなんできるよう防災ぼうさい計画けいかくを見直みなおすことを検討けんとうしています。

久慈くじ市し消防しょうぼう防災ぼうさい課かの田中たなか淳あつし茂しげ課長かちょうは「課題かだいは多おおく残のこされているが、職員しょくいんの命いのちも住民じゅうみんの命いのちも守まもらなくてはならない。訓練くんれんなどを通をつうじて住民じゅうみんと一緒いっしょに逃にげる具体ぐたい的てきな方法ほうほうを考かんがえていきたい」と話はなしています。

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい 200人にん以上いじょうの職員しょくいんが犠牲ぎせいに

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、住民じゅうみんの避難ひなん誘導ゆうどうなどにあたっていた自治体じちたいの職員しょくいんが命いのちを落おとすケースが相次あいつぎました。

内閣ないかく府ふによりますと、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、岩手いわて県けんと宮城みやぎ県けん、それに茨城いばらき県けんの10の自治体じちたいの庁舎ちょうしゃが津波つなみで被災ひさいし、災害さいがい対応たいおうにあたっていた200人にん以上いじょうの職員しょくいんが犠牲ぎせいになりました。

このうち、宮城みやぎ県けんの南みなみ三陸さんりく町まちでは、防災ぼうさい対策たいさく庁舎ちょうしゃが津波つなみで全壊ぜんかいし、防災ぼうさい無線むせんで住民じゅうみんに避難ひなんを呼よびかけていた職員しょくいんなど、非常勤ひじょうきんも合あわせて41人にんが亡なくなりました。

また、岩手いわて県けんでは、陸前りくぜん高田たかだ市しで111人にん、大槌おおつち町まちでは当時とうじの町長ちょうちょうを含ふくむ39人にんが犠牲ぎせいになりました。

大槌おおつち町まちでは、当時とうじの職員しょくいんなどに聞き取ききとり調査ちょうさを行おこない、ことし7月つき、報告ほうこく書しょをまとめました。

報告ほうこく書しょでは、職務しょくむを優先ゆうせんするあまり住民じゅうみんより先さきに避難ひなんしてはならないという意識いしきが職員しょくいんの間まであったことや、地域ちいき防災ぼうさい計画けいかくなどで、職員しょくいんの「退避たいひルール」を作つくっていなかったことが被害ひがいを拡大かくだいさせた一因いちいんになったとしています。

調査ちょうさを担当たんとうした佐藤さとう孝雄たかおさんは「大槌おおつち町まちで起おきたことを全国ぜんこくの自治体じちたいにも教訓きょうくんにしてもらいたい。津波つなみの浸水しんすい想定そうてい地域ちいきに庁舎ちょうしゃがある自治体じちたいでは、職員しょくいんを避難ひなんさせるルールを作つくるなど対策たいさくを進すすめて欲ほしい」と話はなしています。