タリバン復権ふっけん1か月かげつ 人道じんどう危機ききのアフガン 支援しえん活動かつどうの現状げんじょうは

タリバンは、国連こくれんの制裁せいさい対象たいしょう者しゃも含ふくむタリバンの幹部かんぶでほぼ占しめられた暫定ざんてい政権せいけんの閣僚かくりょうを発表はっぴょうしていて、かつての大統領だいとうりょう府ふやアメリカ大使館あめりかたいしかんの入り口いりくちにはイスラム教いすらむきょうの聖典せいてんコーランの一節いっせつが書かかれた白しろいタリバンの旗はたが掲かかげられました。

タリバンはこれまでに、デモを許可きょか制せいにして抗議こうぎの声こえを封じ込ふうじこめているほか、国際こくさい社会しゃかいが懸念けねんする女性じょせいの教育きょういくや就労しゅうろうは保障ほしょうするとしたものの大学だいがくでの男女だんじょ共学きょうがくを認みとめないなどイスラムの教おしえに基もとづくとした統治とうちを進すすめています。

カブール市内しないでジュースを売うる屋台やたいを営いとなむ男性だんせいは「治安ちあんは問題もんだいないが、ビジネスは全まったくうまくいっていません。この先さき、どうなるのかわからず、みんな将来しょうらいを心配しんぱいしています」と話はなしていました。

そのうえで、経済けいざいの混乱こんらんで現金げんきんが不足ふそくしたり食料しょくりょう品ひんが値上ねあがりしたりするなど現地げんちの人ひとたちの暮くらしは厳きびしさを増ましていると強調きょうちょうしました。

藪崎やぶさき副ふく代表だいひょうは、困窮こんきゅうした生活せいかつ状況じょうきょうは当面とうめん続つづくとしたうえで「国際こくさい支援しえんなしにはアフガニスタンの人ひとたちは生き延いきのびていくことができない。本当ほんとうに生いきるか死しぬかというようなことに、ここ数すう週間しゅうかん、数すうか月かげつでなると思おもうので、今いままで以上いじょうに支援しえんが必要ひつようだ」として国際こくさい社会しゃかいに緊急きんきゅうの支援しえんを訴うったえました。

アフガニスタンでは、崩壊ほうかいした政府せいふとタリバンとの間まで続つづいた戦闘せんとうで用水路ようすいろなどの農業のうぎょう施設しせつが荒廃こうはいし、生活せいかつインフラがぜい弱ぜいじゃくになっているほか、干かんばつの影響えいきょうなどでたびたび食糧しょくりょう危機ききに見舞みまわれていて、国際こくさい社会しゃかいの支援しえんに頼たよらざるをえない状況じょうきょうが続つづいています。

それは、支援しえん活動かつどうの継続けいぞくを求もとめるものでした。

タリバンの責任せきにん者しゃからは、「アフガニスタンはわれわれの家いえだ。国くにのために働はたらいてほしい。人材じんざいが国外こくがいに流出りゅうしゅつする中なか一緒いっしょに働はたらき、アフガニスタンを建設けんせつしよう」と声こえをかけられたといいます。

さらに、活動かつどう中ちゅうは移動いどうの自由じゆうや身みの安全あんぜんを保証ほしょうすると確約かくやくしたといいます。

タリバンから女子じょし教育きょういくの支援しえんを含ふくめたすべての活動かつどうが許可きょかされるかどうかについて、当初とうしょは、半信半疑はんしんはんぎだったといいますが、タリバンの確約かくやくを受うけたことで今月こんげつに入はいってから通常つうじょうどおりの支援しえんを再開さいかいしました。

これまでのところスタッフの活動かつどうが妨害ぼうがいされたり危険きけんな目めにあったりしたことはないということです。

近ちかくの村むらでは、子こどもたちが新あたらしくできた水道すいどうの周まわりに集あつまり、勢いきおいよく出でてくるきれいな井戸水いどみずをくんでいました。

男の子おとこのこは「今いままで使つかっていた水みずはきれいではありませんでしたが、この水みずはとてもきれいです。とてもうれしい」と話はなしていました。

また、支援しえん団体だんたいでは、住民じゅうみんの中なかには文字もじが読よめず新型しんがたコロナウイルスについて知しらない人ひとも多おおいことから、せっけんなどの衛生えいせい用品ようひんを手渡てわたすとともに感染かんせんを防ふせぐために手洗てあらいの重要じゅうよう性せいなどについて、指導しどうを行おこないました。

このほか、自宅じたくで水みずをためておけるタンクも配布はいふし、早速さっそく住民じゅうみんの男性だんせいが配布はいふされたせっけんを使つかい、うれしそうに手てを洗あらっていました。

住民じゅうみんの男性だんせいは、「水みず、特とくに飲のみ水すいの確保かくほが村むらにとって課題かだいでした。水みずの大切たいせつさがわかるので、手洗てあらいに水みずを使つかうのはもったいない気きがしますが、これで感染かんせん症しょうから身みを守まもれると思おもいます。本当ほんとうにありがたい」と話はなしていました。

アフガニスタン人じんで現地げんちの責任せきにん者しゃをつとめるハミドゥラ・ハミッド氏しは「貧まずしい中なかで、水みずも手てに入いれられなければどう生活せいかつしていけばいいのか。日本にっぽんからの支援しえんは重要じゅうようで今後こんごも続つづけてほしい」と話はなしています。

このうち、今月こんげつ5日にち、首都しゅとカブールでタリバンの幹部かんぶが国連こくれんの特使とくしと会談かいだんし、現地げんちで人道じんどう支援しえん活動かつどうにあたる国連こくれんのスタッフなどの安全あんぜんや移動いどうの自由じゆうを保証ほしょうすると表明ひょうめいしました。

また、タリバンの別べつの幹部かんぶは、メディアの取材しゅざいに対にたいし「経済けいざいや教育きょういく、そして社会しゃかい保障ほしょうの分野ぶんやで支援しえんを続つづけてもらうため、国際こくさい社会しゃかいに支援しえんを要求ようきゅうする」と述のべています。

アフガニスタンのジャーナリストは、「タリバンが権力けんりょくを掌握しょうあくした先月せんげつ以降いこう、崩壊ほうかいした政権せいけん側がわにいた公務員こうむいんが国外こくがいに退避たいひするなど国内こくない統治とうちをするうえで、必要ひつような人材じんざいが流出りゅうしゅつしている。特とくに国際こくさい社会しゃかいからの支援しえんの窓口まどぐちとなっていた人材じんざいや部署ぶしょが機能きのうしない状況じょうきょうが続つづいているため、これまで草の根くさのねレベルで活動かつどうしてきたNGOなどを含ふくめ民間みんかんにも今後こんご、支援しえんを広ひろく求もとめていくとみられる」と話はなしていました。

冒頭ぼうとう、グテーレス事務じむ総長そうちょうが「長年ながねんにわたる戦乱せんらんと苦くるしみを経へて、アフガニスタンの人々ひとびとはいま最もっとも厳きびしい状況じょうきょうに置おかれている。この会合かいごうは私わたしたちが何なにかを与あたえるためのものではない。責任せきにんを果はたすためのものだ」と述のべ、国際こくさい社会しゃかいに支援しえんの継続けいぞくを求もとめました。

続つづいて国連こくれん機関きかんの代表だいひょうが次々つぎつぎに報告ほうこくを行おこない、グランディ難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かんはアフガニスタンの首都しゅとカブールからオンラインで参加さんかし「人々ひとびとはこれまでも多おおくの苦難くなんに耐たえてきたが、いまは限界げんかいまで追い込おいこまれている」と訴うったえました。

このあと各国かっこくの代表だいひょうが相次あいついで資金しきんの拠出きょしゅつを表明ひょうめいし、国連こくれんによりますとこれまでに合あわせて11億おくドル、1200億おく円えん余あまりの拠出きょしゅつが表明ひょうめいされました。

これに対にたいして中国ちゅうごくの代表だいひょうは「アフガニスタンの主権しゅけんを尊重そんちょうすることで、国際こくさい社会しゃかいは国くにの平和へいわ的てきな再建さいけんに貢献こうけんできる」と述のべ、タリバンを全面ぜんめん的てきに支援しえんする姿勢しせいを強調きょうちょうし、食料しょくりょうやワクチンなどの物資ぶっしを送おくると表明ひょうめいしました。

一方いっぽう日本にっぽんは、新規しんきに6500万まんドル、71億おく円えんを拠出きょしゅつする用意よういがあると表明ひょうめいしました。

各国かっこくとも人道じんどう支援しえんの継続けいぞくでは足並あしなみをそろえたものの、タリバンとの関かかわり方かたをめぐっては立場たちばに隔へだたりもあり、アフガニスタンの安定あんていに向むけ今後こんご国際こくさい社会しゃかいが一致いっちした対応たいおうをとれるのかが、問とわれることになります。