沖縄の
アメリカ軍普天間基地の
移設先となっている
名護市辺野古沖の
地盤の
改良工事を
承認するよう
裁判所から
命じられた
沖縄県の
玉城知事は、
期限の25
日、これまでの
姿勢を
堅持して
工事を
承認しないことを
決めました。
これにより、
国は
県に
代わって
工事を
承認する「
代執行」に
初めて踏み切る方針で、
今後、
基地移設に
向けた
改良工事が
進む見通しです。
普天間基地の移設先となっている名護市辺野古沖の軟弱地盤の改良工事をめぐって、国は、沖縄県に代わって承認する「代執行」に向けて訴えを起こし、今月20日、福岡高等裁判所那覇支部は県に対し、25日までに工事を承認するよう命じる判決を言い渡しました。
これについて、肺炎で入院している玉城知事は、25日、県の幹部が代読する形でコメントを発表し「どのような対応がとれるか慎重に検討してきたが、今回の判決にはさまざまな問題があり、辺野古新基地建設に反対する多くの県民からの負託を受けていることから承認することは困難だ」として、これまでの姿勢を堅持し工事を承認しないことを決めました。
これにより、国土交通大臣が玉城知事の代わりに承認する「代執行」に踏み切る方針で、26日以降、「代執行」に向けた手続きを進めるものとみられます。
県が「不承認」とした地盤の改良工事は、今後、国が自治体の事務を「代執行」するという前例のない手続きを経て、基地移設に向けて進む見通しになりました。
一方、県は「今回の判決の問題点を明らかにし、多くの県民の願いをしっかりと訴えていきたい」として、判決から1週間となる27日までに最高裁判所への上告に向けて検討するとしていますが、最高裁で県側が勝訴するまで「代執行」を止める効力はありません。
沖縄県の溜政仁知事公室長は「われわれとしては『代執行』は、地方自治の観点、沖縄県民の民意という観点からも問題があると思っている。政府に対して対話による解決の道を引き続き求めていきたい」と話していました。
首相「司法判断に従った対応なされないことは遺憾」
岸田総理大臣は25日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「国土交通大臣の指示の適法性が確定しているにもかかわらず、司法判断に従った対応がなされないことは遺憾に思う。今後の対応は国土交通大臣が判断していくことになる。世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対避けなければならない。政府としては一日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減に取り組んでいく」と述べました。