全国775社から回答
再来年の大阪・関西万博では、およそ60か国が自前で建設する「タイプA」の方式を計画していますが、これまでに着工した国はなく、準備の遅れが指摘されています。
こうした状況を受け、ことし10月から11月にかけ、全国建設業協会が各都道府県の協会に所属する1万8000社あまりを対象に、パビリオンや会場整備などの工事に参画する意向があるか調査を行い、NHKはその報告書を入手しました。
調査は、パビリオンの建設工事が進まず、博覧会協会から協力依頼が寄せられるなどしたため実施したとしています。
回答は全国775社からあり、複数回答の結果、元請けや下請けとして建設工事に参画することに「興味がある」としたのは11.8%だった一方、「興味はない」としたのは89.4%に上ったことがわかりました。また、すでに参画しているという回答は2.4%でした。
開催地の大阪を含む近畿地方でも71.1%が「興味はない」としています。
「興味はない」とした理由をたずねた質問では、
▽「地理的条件」が78.9%で最も多く、
▽「施工余力がない」が59.9%、
▽「契約条件が不明」が25.1%、
▽「工期が厳しい」が21.2%となっています。
このほか、自由記述では
▽1、2年の開催延期で工期が担保されれば取り組む意志はある
▽人手不足の状況で工期が短い、単価が安いでは難しい
といった意見のほか、
▽問題が山積みの中で開催する意義があるのか疑問である、中止すべき、などという意見もありました。
建設プロジェクトの進め方に詳しい高知工科大学の野城智也教授は「遅くとも、そろそろ着工しなければいけない時期だと考えると厳しい状況だ。状況が見えず、不確実性が高いと受け止められていることが関心が低い要因ではないか。主催者は建設業者などとの対話で具体的な課題を聞いた上で不確実性を下げる道を探っていく必要がある」と指摘しています。