日本新聞: 熊本死産の赤ちゃん遺棄最高裁来年に弁論有罪判決見直しか

熊本くまもと死産しざんの赤あかちゃん遺棄いき最高裁さいこうさい来年らいねんに弁論べんろん有罪ゆうざい判決はんけつ見直みなおしか

Dec 9, 2022 17:12 2

Furigana

技能ぎのう実習じっしゅう生せいだったベトナム人じんがおととし、熊本くまもと県けん芦北あしきた町まちで死産しざんした赤あかちゃんを自宅じたくに放置ほうちしたとして死体したい遺棄いきの罪つみに問とわれた裁判さいばんで、最高さいこう裁判所さいばんしょは被告ひこく側がわと検察けんさつの双方そうほうから主張しゅちょうを聞きく弁論べんろんを開ひらくことを決きめました。

弁論べんろんは判決はんけつを変更へんこうする際さいに必要ひつような手続てつづきで、2審しんの有罪ゆうざい判決はんけつが見直みなおされる可能かのう性せいが出でてきました。

ベトナム人じんのレー・ティ・トゥイ・リン被告ひこく（23）は、技能ぎのう実習じっしゅう生せいだったおととし11月つき、死産しざんした双子ふたごの赤あかちゃんの遺体いたいを段ボールだんぼ-る箱ばこに入いれて芦北あしきた町まちの自宅じたくに放置ほうちしたとして死体したい遺棄いきの罪つみに問とわれています。

裁判さいばんでは被告ひこくの行為こういが遺棄いきにあたるかどうかが争あらそわれ、被告ひこく側がわは「赤あかちゃんをタオルに包つつんだ上うえでおわびのことばなどを書かいた手紙てがみを添そえていて、ベトナムでは一般いっぱん的てきな土葬どそうで埋葬まいそうしようとしていた」と無罪むざいを主張しゅちょうしました。

1審しんの熊本くまもと地方ちほう裁判所さいばんしょは「遺体いたいを弔とむらわずに放置ほうちし、一般いっぱん的てきな宗教しゅうきょう的てき感情かんじょうを害がいすることは明あきらかだ」として懲役ちょうえき8か月かげつ、執行しっこう猶予ゆうよ3年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつを言い渡いいわたしました。

一方いっぽう、2審しんの福岡ふくおか高等こうとう裁判所さいばんしょは「段ボールだんぼ-る箱ばこに入いれて封ふうをし、隠かくした行為こういは遺棄いきにあたるが、死産しざんをしてから遺体いたいが見みつかるまでの期間きかんは1日にち余あまりにとどまり、放置ほうちしたとはいえない」として1審しんを取り消とりけして、より軽かるい懲役ちょうえき3か月かげつ、執行しっこう猶予ゆうよ2年ねんを言い渡いいわたしました。

判決はんけつを不服ふふくとして被告ひこく側がわが上告じょうこくしていましたが、最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい2小しょう法廷ほうていの草野くさの耕一こういち裁判さいばん長ちょうは来年らいねん2月つきに弁論べんろんを開ひらくことを決きめました。

「ぜひ無罪むざい判決はんけつを」被告ひこくがコメント

最高さいこう裁判所さいばんしょで弁論べんろんが開ひらかれることを受うけて、レー・ティ・トゥイ・リン被告ひこくは「知しらせを聞きいてとてもうれしいです。私わたしの主張しゅちょうに裁判官さいばんかんが耳みみを傾かたむけ、ぜひ無罪むざい判決はんけつを言い渡いいわたしてくれることを願ねがいます」とコメントしています。

この事件じけんをめぐっては、外国がいこく人じん技能ぎのう実習じっしゅう生せいなどを支援しえんしている団体だんたいが、「日本にっぽんで孤立こりつ出産しゅっさんした女性じょせいが刑事けいじ罰ばつの対象たいしょうになりかねない」として無罪むざいを求もとめる署名しょめい活動かつどうなどを行おこなっています。

また、1審しんと2審しんの判決はんけつも有罪ゆうざいと判断はんだんした一方いっぽう、技能ぎのう実習じっしゅう生せいが置おかれている現状げんじょうに言及げんきゅうしていました。

1審しんの熊本くまもと地裁ちさいは「妊娠にんしんが解雇かいこ理由りゆうにならないとはいえ、実情じつじょうとしては仕事しごとができず収入しゅうにゅうがなくなるため、帰国きこくに追い込おいこまれてしまう。そのような状況じょうきょうを十分じゅうぶんにサポートする制度せいどもなく、周囲しゅういに妊娠にんしんを告白こくはくできずに思い詰おもいつめて犯行はんこうに至いたった経緯けいいには、同情どうじょうの余地よちが十分じゅうぶんある」と述のべました。

また、2審しんの福岡ふくおか高裁こうさいも「少すくなくない費用ひようをかけて来日らいにちし、家族かぞくに仕送しおくりをしていた被告ひこくが実習じっしゅうを続つづけるために妊娠にんしんや出産しゅっさんを隠かくそうと考かんがえたことは、事情じじょうとして一定いってい程度ていど酌くむことができる」と述のべていました。