日本新聞: 将棋王将戦あす開幕藤井五冠に羽生九段挑む棋士はどう見る

将棋しょうぎ王将おうしょう戦せんあす開幕かいまく藤井ふじい五ご冠かんに羽生はぶ九きゅう段だん挑いどむ棋士きしはどう見みる

Jan 7, 2023 19:01

Furigana

将棋しょうぎの八はち大だいタイトルの1つ「王将おうしょう戦せん」の開幕かいまくを前まえに、タイトル戦せんでは「初はつ顔合かおあわせ」となる藤井ふじい聡さとし太たい五ご冠かん（20）と、挑戦ちょうせん者しゃの羽生はぶ善治よしはる九きゅう段だん（52）が意気込いきごみを語かたりました。

将棋しょうぎの八はち大だいタイトルの1つ「王将おうしょう戦せん」七なな番ばん勝負しょうぶは、8日にち、第だい1局きょくが静岡しずおか県けん掛川かけがわ市しで始はじまり、タイトルを持もつ藤井ふじい五ご冠かんが羽生はぶ九きゅう段だんの挑戦ちょうせんを受うけます。

開幕かいまくを前まえに2人にんは市内しないで開ひらかれた地元じもとの小しょう中学生ちゅうがくせいが参加さんかする将棋しょうぎ大会たいかいを見学けんがく。

子こどもたちに向むけて、藤井ふじい五ご冠かんは「楽たのしんで将棋しょうぎを指さしているのが伝つたわってきてうれしい」、羽生はぶ九きゅう段だんは「これからもずっと将棋しょうぎを続つづけてもらいたい」などと語かたりました。

この後のち、会見かいけんが開ひらかれ、藤井ふじい五ご冠かんは「羽生はぶ九きゅう段だんは将棋しょうぎ界かいのスーパースターで、七なな番ばん勝負しょうぶできるのはとても楽たのしみだ。これまでの公式こうしき戦せんでも、気付きづいていない柔軟じゅうなんな手てを指さされることが多おおかったので読よみを深ふかめて対応たいおうしたい」と語かたりました。

一方いっぽうの羽生はぶ九きゅう段だんは「藤井ふじい五ご冠かんは安定あんていして結果けっかを残のこし、特とくにここ最近さいきん、強つよさを増ましている印象いんしょうがある。今回こんかい、大だい舞台ぶたいに立たつ機会きかいに恵めぐまれたのでミスせず正確せいかくに指さして、中身なかみの濃こい将棋しょうぎにしたい」と意気込いきごんでました。

藤井ふじい五ご冠かんは先月せんげつ、公式こうしき戦せん通算つうさん300勝しょうを達成たっせいし、羽生はぶ九きゅう段だんの最短さいたん記録きろくと最年少さいねんしょう記録きろくを更新こうしん。

来月らいげつからは史上しじょう最年少さいねんしょうでのタイトル「六ろく冠かん」を目指めざして「棋王きおう戦せん」に挑いどみます。

対たいする羽生はぶ九きゅう段だんは、タイトル「七なな冠かん」や公式こうしき戦せん1500勝しょう到達とうたつなど、前人ぜんじん未到みとうの記録きろくを打ち立うちたてているほか、タイトル獲得かくとく数すうは歴代れきだい最多さいたの通算つうさん99期きを誇ほこり、今回こんかいの「王将おうしょう戦せん」を制せいすと100期きの大台おおだいに乗のります。

2人にんはこれまで公式こうしき戦せんで8回かい対局たいきょくし、藤井ふじい五ご冠かんが7勝しょうしていますが、タイトル戦せんでは「初はつ顔合かおあわせ」で注目ちゅうもくされます。

棋士きしはどう見みる？藤井ふじい VS 羽生はぶ

藤井ふじい聡さとし太たい五ご冠かん（20）に羽生はぶ善治よしはる九きゅう段だん（52）が挑いどむ今回こんかいの「王将おうしょう戦せん」。

タイトル戦せんとしては「初はつ顔合かおあわせ」となる注目ちゅうもくの対局たいきょくです。

対局たいきょくを前まえに、日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめいの常務じょうむ理事りじを務つとめ、過去かこに羽生はぶ九きゅう段だんとタイトル戦せんを争あらそったことのある森下もりした卓たく九きゅう段だん（56）に、2人にんの強つよさや見みどころについて聞ききました。

羽生はぶ九きゅう段だんの強つよさ

森下もりした九きゅう段だんは、2年ねんほどタイトル戦せんから遠とおざかっていた羽生はぶ九きゅう段だんの現状げんじょうについて「52歳さいを迎むかえ、藤井ふじい五ご冠かんとの年齢ねんれい差さは32歳さい。加か齢よわいから来くる衰おとろえと言いっては失礼しつれいだが、『王将おうしょう戦せん』の挑戦ちょうせん権けんをリーグ戦せん全勝ぜんしょうで獲得かくとくしたことはさすがは“天下てんかの羽生はぶ善治よしはる”であり、それ以外いがいのことばがない。羽生はぶ九きゅう段だんの将棋しょうぎに対にたいする情熱じょうねつ、勝かつことに対にたいする執念しゅうねんを持続じぞくしているということが私わたしから見みると一番いちばんすごい」と、勝利しょうりへの思おもいの強つよさを評価ひょうかしていました。

その上うえで「若わかい人ひとたちが“定跡じょうせき”としている戦法せんぽうをベテランは避さけようとしがちだが、羽生はぶ九きゅう段だんはあえて若わかい人ひとの土俵どひょうに向むかっている。もちろん自信じしんもあると思おもうが、最新さいしんの将棋しょうぎを常つねに取り入とりいれて戦たたかっていこうという気持きもちはすばらしいと思おもう」と語かたっていました。

藤井ふじい五ご冠かんは“AIの化身けしん”

一方いっぽう、羽生はぶ九きゅう段だんの挑戦ちょうせんを受うける藤井ふじい五ご冠かんについては「タイトル戦せんは負まけなしの11連勝れんしょう。ここまでの防衛ぼうえい戦せんもすべて制せいし、追い込おいこまれたことが1度どもなく信しんじられない強つよさだ。しかも内容ないよう的てきに崩くずれた将棋しょうぎは1局きょくもなく、“AIの化身けしん”かと思おもうほどだ。昔むかし、子こどもたちの将棋しょうぎ大会たいかいで負まけて大だい泣なきしていた藤井ふじいさんを見みたことがあったがもともとの才能さいのうに恵めぐまれ、羽生はぶ九きゅう段だんと同おなじく、勝かちたいという気持きもちを持もち続つづけているのだと思おもう」とその強つよさを分析ぶんせきしていました。

見みどころと勝敗しょうはいの行方ゆくえは

タイトル戦せんの見みどころについて森下もりした九きゅう段だんは「藤井ふじい五ご冠かんは“この戦法せんぽうでいく”と常つねに球たまを見みせていて、相手あいては、戦たたかい方かたが分わかっていても勝かてない。今回こんかいも藤井ふじい五ご冠かんは、最もっとも得意とくいとする『相あい掛かかり』『角かく換がわり』の戦法せんぽうを取とるだろう。対たいする羽生はぶ九きゅう段だんはむかし、どんな戦法せんぽうでも“変幻へんげん自在じざい”に指さしこなし、“羽生はぶマジック”ということばもあったほどだったが、今回こんかいは藤井ふじい五ご冠かんの戦法せんぽうを避さけずに真正面まっしょうめんから受うけて立たつのではないか」と予想よそうしていました。

その上うえで勝敗しょうはいの行方ゆくえについては「22歳さいの羽生はぶ九きゅう段だんが現あらわれたら勝敗しょうはいは全まったく分わからず、五分ごぶと五ご分ふんだと思おもうが、32歳さいでも42歳さいでもなく52歳さいの羽生はぶ九きゅう段だんが対局たいきょくする。ただ、羽生はぶ九きゅう段だんが持もてる力ちからを全部ぜんぶ出だせたら、勝機しょうきはあると思おもう。天下てんか無敵むてきの強つよさを誇ほこる藤井ふじい五ご冠かんは万全ばんぜんの“藤井ふじい将棋しょうぎ”を指さしてくると思おもうので、羽生はぶ九きゅう段だんには過去かこ何なん十じゅう年ねんと積み上つみあげてきた“天下てんかの羽生はぶ善治よしはる”の強つよさを見みせてもらいたい」と話はなしていました。