コロナ病床びょうしょう確保かくほに交付こうふ金きんも “ピーク時じでも病床びょうしょう使用しよう率りつは6割わり”

このため、交付こうふ金きんは以下いかのような病床びょうしょうがある医療いりょう機関きかんを対象たいしょうに、国くにから都道とどう府県ふけんを通をつうじて1日にち単位たんいで支払しはらわれます。

▽コロナ患者かんじゃの受け入うけいれで休止きゅうしした病床びょうしょう

▽確保かくほしながら患者かんじゃで埋うまらなかった病床びょうしょう

厚生こうせい労働ろうどう省しょうなどによりますと、2020年度ねんどと2021年度ねんどの2年間ねんかんで全国ぜんこく約やく3500の医療いりょう機関きかんにあわせて3兆ちょう1000億おく円えん余あまりが交付こうふされ、1月つき10日にち時点じてんで最大さいだい5万まん1000床しょう余あまりが確保かくほされているということです。

▽2021年ねん8月つき　61.2％

▽2022年ねん2月つき　61.2％

利用りよう率りつが50％以下いかの病院びょういんに理由りゆうを聞きいたところ、9割わり近ちかくの病院びょういんが「患者かんじゃ受け入うけいれの要請ようせい自体じたいが少すくなかった」と答こたえました。

それらの病院びょういんは背景はいけいとして、重症じゅうしょう患者かんじゃや妊婦にんぷ、子こどもなどを専門せんもんに扱あつかっていたことや、地域ちいきによってコロナ患者かんじゃ自体じたいが少すくなかったことを挙あげ、患者かんじゃの症状しょうじょうや地域ちいきによってミスマッチが起おきていた可能かのう性せいを示唆しさしたということです。

一方いっぽう、1割わり程度ていどの病院びょういんは「空あいている病床びょうしょうはあったが事情じじょうがあって受け入うけいれの要請ようせいを断ことわった」と答こたえ、その理由りゆうとして医師いしや看護かんご師しの人手ひとで不足ふそくを挙あげるところもありました。

会計かいけい検査けんさ院いんは「必要ひつような病床びょうしょうを確保かくほして新型しんがたコロナ患者かんじゃに十分じゅうぶんな医療いりょうを提供ていきょうすることが課題かだいだ」として、厚生こうせい労働ろうどう省しょうに対にたいし、人手ひとでの問題もんだいも含ふくめてすぐに患者かんじゃを受け入うけいれられる病床びょうしょうを交付こうふ金きんの対象たいしょうにするなど、制度せいどの見直みなおしを検討けんとうするように求もとめました。

・交付こうふ金きんの上限じょうげん額がく　30万まん1000円えん

・診療しんりょう報酬ほうしゅうの平均へいきん　36万まん3821円えん

交付こうふ金きんの上限じょうげん額がくが診療しんりょう報酬ほうしゅうの平均へいきんを約やく6万まん円えん下回したまわり、このため医療いりょう機関きかんによっては十分じゅうぶんな補償ほしょうが受うけられていない可能かのう性せいがあるとしています。

一方いっぽう、逆ぎゃくのケースについても指摘してきしています。

▽高度こうどな医療いりょうを提供ていきょうする「特定とくてい機能きのう病院びょういん」などのICUの場合ばあい（1床しょうあたり1日にちの額がく）

・交付こうふ金きんの上限じょうげん額がく　43万まん6000円えん

・診療しんりょう報酬ほうしゅうの平均へいきん　36万まん9130円えん

交付こうふ金きんの上限じょうげん額がくが診療しんりょう報酬ほうしゅうの平均へいきんを6万まん6000円えん余あまり上回うわまわっていて、補償ほしょうすべき金額きんがく以上いじょうの交付こうふ金きんが支払しはらわれている可能かのう性せいがあるということです。

会計かいけい検査けんさ院いんはこれらの実態じったいを踏ふまえ、交付こうふ金きんの額がくの算定さんてい方法ほうほうや上限じょうげん額がくの設定せっていについて見直みなおしなどを検討けんとうするように求もとめています。

「新型しんがたコロナの現場げんば対応たいおうが大変たいへんだということは理解りかいできるが、医療いりょうは国民こくみんから預あずかっているお金おかねで成り立なりたっているので、政府せいふはお金おかねが適切てきせつに使つかわれたかどうかをしっかりと検証けんしょうする必要ひつようがある」

このように指摘してきして、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいが始はじまってまもなく3年ねんがたつ今いま、空そら床ゆか補償ほしょうを含ふくめたコロナ政策せいさくの財政ざいせい支援しえんについて国くにが検証けんしょうする時期じきに来きているとしています。

一方いっぽう、地域ちいき医療いりょうに詳くわしい城西じょうさい大学だいがくの伊関いせき友とも伸しん教授きょうじゅは次つぎのように指摘してきしています。

その上うえで、制度せいどの見直みなおしについては。

「今いまは第だい8波はの最中さいちゅうで、火事かじで言いえば消火しょうか活動かつどう中ちゅうだ。その時ときに火ひを消けすポンプの水みずが閉しまるようなことを求もとめるのは時期じき尚早しょうそうで、本当ほんとうに感染かんせんが落ち着おちついた時ときに、今回こんかいを踏ふまえた制度せいどを見直みなおすべきだ。病院びょういん側がわも黒字くろじになった分ぶんは、新型しんがたコロナに代かわる次つぎの感染かんせん症しょうに対応たいおうできるような医療いりょう体制たいせいの充実じゅうじつや人材じんざい育成いくせいに使つかってもらいたい」。

一方いっぽうで、会計かいけい検査けんさ院いんは今回こんかいの指摘してきの前まえに、去年きょねん11月つきにもこの交付こうふ金きんについての指摘してきを行おこなっています。

2021年度ねんど予算よさんの検査けんさ報告ほうこく書しょで、13都道とどう府県ふけんの106医療いりょう機関きかんを調査ちょうさしたところ9都道とどう府県ふけんの32病院びょういんで、受給じゅきゅう対象たいしょうとなる日数にっすうを過大かだいに申請しんせいしたり、より高たかい病床びょうしょうの単価たんかで支払しはらわれていたりするケースが見みつかり、あわせて55億おく円えん余あまりが不適切ふてきせつに支出ししゅつされていたという指摘してきでした。

これを受うけて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは都道とどう府県ふけんに対にたいして、2020年度ねんどと2021年度ねんどの2年間ねんかんで支払しはらいを受うけた約やく3500の医療いりょう機関きかんに適正てきせいに交付こうふされていたかどうか検証けんしょうするよう求もとめていて、過大かだいな受給じゅきゅうが確認かくにんされた場合ばあいには、国くにに返還へんかんを求もとめるとしています。

返還へんかんの見込みこみ額がくが大おおきい医療いりょう機関きかんや、ほかの医療いりょう機関きかんより病床びょうしょう使用しよう率りつが著いちじるしく低ひくい医療いりょう機関きかんなどには現地げんち調査ちょうさの実施じっしも検討けんとうするよう求もとめています。

空そら床ゆか補償ほしょうはコロナ収束しゅうそくの見通みとおしが立たたない中なかでこれまで期限きげんがたびたび延長えんちょうされていて、現在げんざいはことし3月つき末まつが期限きげんとなっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今回こんかいの指摘してきを受うけて「必要ひつような看護かんご師しが確保かくほされていないことを理由りゆうに患者かんじゃの受け入うけいれを断ことわった事例じれいがないかなど、今後こんご、都道とどう府県ふけんに対にたいして調査ちょうさや報告ほうこくを改あらためて求もとめる」とコメントしています。

そのうえで、4月つき以降いこうの制度せいどのあり方ありかたについて感染かんせん状況じょうきょうや会計かいけい検査けんさ院いんの指摘してきなどを踏ふまえ検討けんとうするとしています。