Actualités japonaises: 去年のクレジットカード不正利用被害額430億円超過去最悪

日本にっぽんクレジット協会きょうかいは、去年きょねん1年間ねんかんのクレジットカードの不正ふせい利用りようによる被害ひがい額がくが430億おくを超こえて過去かこ最悪さいあくとなったとする調査ちょうさ結果けっかをまとめ、発表はっぴょうしました。

日本にっぽんクレジット協会きょうかいによりますと、去年きょねん1年間ねんかんのクレジットカードの不正ふせい利用りようの被害ひがい額がくは、おととしから100億おく円えん余あまり増ふえて436億おく7000万まん円えんとなり、統計とうけいを取とり始はじめた1997年ねん以降いこう、過去かこ最悪さいあくとなりました。

内訳うちわけをみると、不正ふせいに入手にゅうしゅしたカード番号ばんごうが使つかわれる「番号ばんごうの盗用とうよう」による被害ひがいが411億おく7000万まん円えんと、全体ぜんたいの94.3％を占しめています。

その原因げんいんの一ひとつとして、偽にせのウェブサイトに誘導ゆうどうしてカード番号ばんごうやパスワードなどを盗ぬすみ取とる「フィッシング詐欺さぎ」の増加ぞうかがあると見みられています。

フィッシング対策たいさく協議きょうぎ会かいによりますと、去年きょねん1年間ねんかんに報告ほうこくされたフィッシング詐欺さぎに関にかんする情報じょうほうは96万まん8832件けんと、おととしから44万まん2328件けん増ふえ、過去かこ最高さいこうの報告ほうこく件数けんすうになりました。

最近さいきんの傾向けいこうとしてはSMS＝ショートメッセージに表示ひょうじされたURLから誘導ゆうどうするフィッシングの1種しゅ「スミッシング」と呼よばれる手口てぐちを使つかって宅配たくはい便びんの不正ふせい通知つうちを装よそおったり、関税かんぜい局きょくなどをかたったりするものが増ふえているということです。

また、カード会社かいしゃや銀行ぎんこうのほか、電気でんき・ガス会社かいしゃをかたるフィッシングメールも増ふえているということで、フィッシング対策たいさく協議きょうぎ会かいは「転勤てんきんや入社にゅうしゃ、引っ越ひっこしなど人ひとの移動いどうが多おおい時期じきなので、特とくに気きを付つける必要ひつようがある」として、「ログインを促うながすようなメールが届とどいた場合ばあいには、正規せいきのアプリやブックマークしたURLからサービスにログインして情報じょうほうを確認かくにんするよう」注意ちゅういを呼よびかけています。

また、偽にせサイトに個人こじん情報じょうほうを入力にゅうりょくしてしまうフィッシング以外いがいにも、被害ひがい者しゃ本人ほんにんが自覚じかくしていないところでカード番号ばんごうなどの個人こじん情報じょうほうが漏ろうえいしているケースもあります。

過去かこにクレジットカードで決済けっさいを行おこなったサイトが外部がいぶからハッキングを受うけ、クレジットカード番号ばんごうなどの個人こじん情報じょうほうが漏ろうえいするケースです。

漏ろうえいした個人こじん情報じょうほうはインターネットやSNS上じょうの闇やみ市場しじょう＝ブラックマーケットで売買ばいばいされ、犯罪はんざいグループなどに悪用あくようされることがあります。

身みに覚おぼえのない支払しはらいがないか利用りよう明細めいさいを細こまかく確認かくにんし、異常いじょうな支払しはらいがあった場合ばあいはカード会社かいしゃに連絡れんらくして利用りようを停止ていしするなど、早はやめの対応たいおうが必要ひつようです。

カード会社かいしゃなどは対策たいさく

カード会社かいしゃなどが取り組とりくんでいる対策たいさくの1つに「自社じしゃをかたるフィッシングサイトを検知けんちし、通報つうほうしてもらう」という方法ほうほうがあります。

フィッシングサイトが現あらわれても早はやい段階だんかいで対応たいおうすることで、被害ひがいの軽減けいげんを図はかることがねらいです。

都内とないのセキュリティー会社かいしゃでは、金融きんゆう機関きかんなどからの依頼いらいを受うけ、フィッシングサイトが立ち上たちあがった場合ばあい、即座そくざに検知けんちし、サイトのURLといった情報じょうほうを依頼いらい会社かいしゃに提供ていきょうしたうえで、サイトが立たてられているインターネットサービスプロバイダーやドメインの運営うんえい会社かいしゃなどに閉鎖へいさを依頼いらいしています。

検知けんちの仕組しくみは、サイトのIPアドレスや画像がぞう、URLなどを「疑うたがいの度合どあいに応おうじて独自どくじにスコア化か」し、一定いっていのスコアに達たっしたサイトを「フィッシングサイト」としてほぼリアルタイムで把握はあくするというものです。

フィッシングサイトを検知けんちした場合ばあい、検知けんちの日時にちじやURL、ドメイン情報じょうほうなどが記載きさいされたデータとともに、フィッシングサイトの画像がぞうがシステムの画面がめんに表示ひょうじされます。

取材しゅざいに訪おとずれた日ひの履歴りれきを見みせてもらうと、午前ごぜん5時じ以降いこう、ある同一どういつのクレジットカード会社かいしゃのフィッシングサイトが、数すう分ふんから数すう十じゅう分ふんおきに次々つぎつぎと立ち上たちあがっていました。

また、数すう日にち前まえの履歴りれきでは、JCBなどの大手おおてクレジットカード会社かいしゃのフィッシングサイトも検知けんちされていて、表示ひょうじされていたURLからは、正規せいきのサイトにそっくりなログイン画面がめんに誘導ゆうどうされました。

取材しゅざい中ちゅうにも銀行ぎんこうや大手おおてECサイトをかたるフィッシングサイトが検知けんちされ、毎まい日数にっすう多おおくのフィッシングサイトが立ち上たちあがっている様子ようすが明あきらかとなりました。

セキュリティー会社かいしゃによりますと、フィッシングサイトは波なみがあるものの、多おおいときには1日にちに数すう千せん件けん、検知けんちされることがあるということです。

セキュリティー会社かいしゃ「アクシオン」の猿田さるた恵めぐみ営業えいぎょう・広報こうほうグループマネージャーは「現状げんじょう、フィッシングサイトが多数たすう発生はっせいしていて、閉鎖へいさまでに時間じかんがかかることもあるほか、犯人はんにん側がわも検知けんちシステムをかいくぐるサイトを立たち上あげるなど工夫くふうしている。われわれも検知けんちの仕組しくみをアップグレードしているが、イタチごっこになっている面めんもある」と話はなしていました。

「本人ほんにん認証にんしょう」で対策たいさく強化きょうか

クレジットカードの不正ふせい利用りようを防ふせごうと、カード会社かいしゃは、インターネットで買い物かいものする際さいに一時いちじ的てきに発行はっこうされるワンタイムパスワードの入力にゅうりょくを追加ついかで求もとめるなど、「本人ほんにん認証にんしょう」と呼よばれる対策たいさくを強化きょうかしています。

このうちクレジットカード大手おおて「JCB」では、偽にせサイトに誘導ゆうどうするフィッシング詐欺さぎなどで盗ぬすみ取とられたカード番号ばんごうやセキュリティーコードが何者なにものかに悪用あくようされ、カードが不正ふせい利用りようされる被害ひがいが増ふえているということです。

会社かいしゃではそうした不正ふせい利用りようを防ふせぐために、ネットでカード決済けっさいをする際さいに「本人ほんにん認証にんしょう」の仕組しくみを新あらたに導入どうにゅうする対策たいさくを進すすめています。

その一ひとつが「3Dセキュア」と呼よばれるサービスで、決済けっさい時じにカード番号ばんごうに加くわえて、一時いちじ的てきに発行はっこうするワンタイムパスワードを入力にゅうりょくしてもらうことで本人ほんにんかどうか確たしかめます。

ワンタイムパスワードは、ふだんはあまり利用りようしないサイトでの購入こうにゅうなどカード会社かいしゃがリスクが高たかいと判断はんだんした場合ばあいに発行はっこうされ、本人ほんにんのSMSやメールアドレスにだけ送信そうしんされるため、安全あんぜん性せいが高たかまるとされています。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは、2025年度ねんどからこうした「本人ほんにん認証にんしょう」を義務ぎむ化かする方針ほうしんですが、カードの利用りよう者しゃや加盟かめい店てんにどう普及ふきゅうを促うながすかが課題かだいになっています。

JCBセキュリティー推進すいしん部ぶの藤田ふじた雄吾ゆうご次長じちょうは「安全あんぜん・安心あんしんで不正ふせい利用りようにあわない形かたちでカードを利用りようしてもらうために、積極せっきょく的てきに本人ほんにん認証にんしょうのサービスの登録とうろくをお願おねがいしたい」と話はなしていました。

不正ふせい利用りようの被害ひがい者しゃ “個人こじんとしての対策たいさく限界げんかいあるのでは”

都内とないに住すむ50代だいの男性だんせいは、3月つきにクレジットカードが不正ふせい利用りようされる被害ひがいにあいました。

3月つき22日にち、突然とつぜんカード会社かいしゃからアメリカオハイオ州しゅうにあるレンタカー店てんで、男性だんせいのカードを使つかって8万まん9949円えんの決済けっさいが行おこなわれたという通知つうちが届とどきました。

まったく身みに覚おぼえのない支払しはらいでした。

男性だんせいはすぐにカード会社かいしゃに電話でんわで連絡れんらくし利用りよう停止ていしの手続てつづきを行おこなったため、新あらたな不正ふせい利用りようを食い止くいとめることができ、被害ひがいの全額ぜんがくは補償ほしょうされることになったということです。

男性だんせいは、過去かこに被害ひがいにあったカードを使つかって海外かいがいの通販つうはんサイトで買い物かいものをしたことがあるものの、はっきりとした心当こころあたりはないということです。

男性だんせいは「まさか自分じぶん自身じしんに起おこるとは全まったく想定そうていしていないタイミングで、不正ふせい利用りようされて大変たいへん驚おどろいています。どうしてこうなったのか、心当こころあたりはなく、個人こじんとしての身みを守まもる対策たいさくは限界げんかいがあるのではないかと感かんじています」と話はなしていました。