料理店にも影響が…
函館市の料理店によりますと、漁業被害が出ている道東のウニは仕入れていませんでしたが、今の時期、主に使っている北方四島産のウニの需要が、道東での被害の影響で高まっているとみられ、仕入れ価格が2割ほど上がったということです。
漁業関係者によりますと、釧路地方では来年以降に水揚げを予定していた小さいウニも多くが死に、被害はことし水揚げを予定していた分の8割から9割に当たる数十トンにのぼると見られています。 このため、釧路町は特産のウニを返礼品としたふるさと納税の寄付の受け付けを一時停止しました。 釧路町の小松茂町長は「ウニは人気の返礼品なので、寄付をしていただいた皆さんの期待に応えたいが、今は見通しが立たない。今回の漁業被害は甚大で漁業者への支援を求めていきたい」と話していました。
道によりますと、赤潮は9月中旬、釧路市の桂恋漁港で確認されました。 その後、根室市から日高の様似町沖合にかけての太平洋側の広い範囲で発生しているのが確認されました。 さらに今月に入って浦河町や新ひだか町でもウニが漁場などで死んでいるのが見つかり、被害を受けた海域が西に広がっています。 水産庁などによりますと、10月8日までに確認された被害はウニ1400トン以上、秋サケ1万7000匹にのぼり、被害金額は45億円余りに達しています。
このほか、十勝の豊頃町では養殖のクロソイが400匹死んでいたほか、釧路市ではツブ200キロの被害も確認されています。 道によりますと、道内での赤潮被害としては過去最大だということです。
この中で「個々の漁業者の経営努力や関係する市と町の支援だけでは地域漁業の存続も危うくなる」として、赤潮発生の原因究明と漁業者への経済的な支援を求めています。
このうち「カレニア・ミキモトイ」は、主に西日本で漁業被害をもたらしてきたプランクトンです。気候変動にともなう海水温の上昇で道東沖まで北上し、赤潮につながったとみられています。 また「カレニア・セリフォルミス」という種類も見つかりました。 2020年9月から10月にロシアのカムチャツカ半島沿岸で発生した赤潮の原因とされています。日本で赤潮を発生させたのは初めてだということです。
複数の研究者は「カレニア・セリフォルミス」が北方の冷たい海から南下してきた可能性を指摘していて、今回の赤潮は温暖化だけではない原因が考えられるとしています。
また、赤潮の原因とみられるプランクトン「カレニア・セリフォルミス」について「ニュージーランドやチュニジアなど世界各地で確認されているが、私自身は日本で赤潮を発生させるプランクトンという認識はなかった。北海道でも海の状況が整えば赤潮になるということが実現してしまったのは恐ろしいことだ」と話しました。 今後の見通しについては「海水温が10度以下に下がって冬の季節風が吹いてくれば赤潮は解消されると考えている」としたものの、カレニア・セリフォルミスの低水温への耐性がよく分かっていないことから「北海道周辺で越冬ができるのか調査することが喫緊の課題だ」と指摘しています。
この中で、原因の早期究明への協力や漁業者への支援策の充実・強化、それに対応にあたる自治体への財政支援などを求めています。 これに対し、金子大臣は「大変な被害状況ということで、速やかに副大臣を派遣して、原因究明を目指したい」と述べ、北海道と連携しながら原因究明を急ぐ考えを示しました。
ふるさと納税 一時停止も
“過去最大”の赤潮被害
沿岸自治体が知事に緊急要望
白糠町長「『激甚災害』に匹敵する」
赤潮を引き起こしたプランクトンとは
専門家「本当に驚いている」
鈴木知事が国に支援要請
鈴木知事「全力で向き合っていきたい」