プロ野球やきゅう セ・リーグせり-ぐ ヤクルト 2年ねん連続れんぞく最下位さいかいから6年ねんぶり優勝ゆうしょう

先発せんぱつの高梨たかなし裕ひろし稔みのり投手とうしゅは再三さいさん得点とくてん圏けんにランナーを背負せおいましたが、4回かい1失点しってんにまとめ、5回かいから継投けいとうに入はいりました。

6回かいからはふだんは先発せんぱつの高橋たかはし奎二に投手とうしゅが4人にん目めで登板とうばんして2イニングを無む失点しってんでつなぎ、8回かいは清水しみず昇のぼる投手とうしゅ、9回かいはマクガフ投手とうしゅが抑おさえてヤクルトが5対たい1で勝かちました。

そして2位いの阪神はんしんが中日ちゅうにちに0対たい4で敗やぶれたため、ヤクルトの6年ねんぶり8回かい目めの優勝ゆうしょうが決きまりました。

ヤクルトは昨さくシーズンまで2年ねん連続れんぞくで最下位さいかいでしたが、就任しゅうにん2年ねん目めの高津たかつ臣しん吾われ監督かんとくが課題かだいの投手とうしゅ陣じんを整備せいびし、東京とうきょうオリンピック中断ちゅうだん後ごの後半こうはん戦せんは投打とうだのかみ合かみあった試合しあいを続つづけました。

前まえの年としに最下位さいかいだったチームの優勝ゆうしょうはプロ野球やきゅうが2リーグ制せいになって以降いこう、両りょうリーグ通つうじて6回かい目めで、ヤクルトは前回ぜんかい優勝ゆうしょうした平成へいせい27年ねんも2年ねん連続れんぞく最下位さいかいから優勝ゆうしょうを果はたしています。

高津たかつ監督かんとくはグラウンド上じょうでのインタビューで「開幕かいまくしてからここまでいろんなことがあったので、ほっとした。本当ほんとうに選手せんしゅが一生いっしょう懸命けんめい頑張がんばってくれた成果せいかだ。気持きもちよく胴上どうあげしてもらった」と喜よろこびを語かたりました。

ことし1年ねんの戦たたかいを振り返ふりかえり「先発せんぱつピッチャーをはじめ投手とうしゅ力りょくがアップしたのが勝かてた要因よういんだと思おもう。チーム一丸いちがんとなって打線だせんも投手とうしゅもつなぐ野球やきゅうがしっかりできた。2年ねん連続れんぞく最下位さいかいの悔くやしさをずっと胸むねに持もって戦たたかってくれた」と選手せんしゅたちをたたえました。

ファンに向むけて「絶対ぜったい大丈夫だいじょうぶです。われわれはどんなことがあっても絶対ぜったい崩くずれません」と先月せんげつ、ミーティングで選手せんしゅたちに語かたりかけた言葉ことばを披露ひろうして笑顔えがおを見みせていました。

そして最後さいごに日本一にっぽんいちに向むけて「今いまは優勝ゆうしょうしたばかりでその先さきまで考かんがえられないが、このチャンスは絶対ぜったいに逃のがすものではないし、われわれの野球やきゅうをスワローズの野球やきゅうを引き続ひきつづきやっていきたい」と意気込いきごんでいました。

また、試合しあい後ごの会見かいけんでは「厳きびしいシーズンだったが選手せんしゅの頑張がんばりでチャンピオンになれた。選手せんしゅのみんなに感謝かんしゃしたい。1点てんに集中しゅうちゅうして、1点てんをとるため、1点てんを防ふせぐため、よくみんなでつないで頑張がんばってくれた。厳きびしい試合しあいでもロースコアでものにしたり1点てん差さを逃にげきれたりできた。選手せんしゅたちはよく我慢がまんして、よく耐たえた。本当ほんとうに強つよくなったと思おもう」と成長せいちょうした選手せんしゅたちをたたえていました。

キャプテン、山田やまだ哲人てつと選手せんしゅは「ほっとしている。6年ねん前まえの優勝ゆうしょうの時ときは自分じぶんのことで精せいいっぱいだったが、ことしはキャプテンとして周まわりを見みて視野しやを広ひろくプレーできた。自分じぶんにプレッシャーをかけながら勝利しょうりに貢献こうけんできるプレーはたくさんできたかなと思おもう。ここまできたら日本一にっぽんいちになりたい」と話はなしていました。

4番ばん、村上むらかみ宗そう隆たかし選手せんしゅは「このチームで優勝ゆうしょうしたいという思おもいがあったのでうれしい。まわりに頼たよりになる先輩せんぱいがいるので、4番ばんを打うつことに多少たしょうのプレッシャーを感かんじていたが、自分じぶんなりに考かんがえていい結果けっかが出でるように頑張がんばった。キャプテンをチーム全員ぜんいんで支ささえ、チーム全員ぜんいんが副ふくキャプテンの気持きもちでやっていこうとみんなで話し合はなしあい、必死ひっしに声こえを出だしてやってきた」と今こんシーズンを振り返ふりかえりました。そのうえで「クライマックスシリーズもしっかり勝ち抜かちぬいて日本一にっぽんいちになれるよう頑張がんばる」と意気込いきごんでいました。

ヤクルトの投手とうしゅ陣じんを好こうリードで引っ張ひっぱったキャッチャーの中村なかむら悠ゆう平ひら選手せんしゅは、自身じしん2回かい目めの優勝ゆうしょうについて「すごくホッとしている。ことしの優勝ゆうしょうは、春はるのキャンプで古田ふるたさんからもらった『お前おまえがその気きになれ』ということばをずっと胸むねにやってきたので、優勝ゆうしょうできて本当ほんとうにうれしい」と喜よろこびをかみしめていました。

高津たかつ監督かんとくは選手せんしゅ全員ぜんいんがチーム内ないで競争きょうそうすること、攻守こうしゅで1点てんにこだわり、1点てんで競り勝せりかつ野球やきゅうをすることを繰り返くりかえし選手せんしゅに伝つたえました。

最大さいだいの課題かだいは投手とうしゅ陣じんの整備せいび。

去年きょねんのチーム防御ぼうぎょ率りつは4.61と2年ねん連続れんぞくで12球団きゅうだんワースト。

先発せんぱつが序盤じょばんに失点しってんし主導しゅどう権けんを渡わたしてしまう展開てんかいが目立めだちました。

ことしも規定きてい投球とうきゅう回かいに達たっしたピッチャーは1人にんもおらず、エースは不在ふざい。

そこで高津たかつ監督かんとくはローテーションを固定こていすることなく、ピッチャーの調子ちょうしを見極みきわめながら柔軟じゅうなんに起用きようしました。

小川おがわ泰弘やすひろ投手とうしゅや石川いしかわ雅まさ規ただし投手とうしゅといった実績じっせきのあるピッチャーもときには登録とうろくを抹消まっしょうして調整ちょうせいのための期間きかんを空あけ、その間そのかんには若手わかてにチャンスを与あたえることで競争きょうそうと自覚じかくを促うながして能力のうりょくを引き出ひきだすことで選手せんしゅ層そうの厚あつみが増ましました。

9月つきは先発せんぱつピッチャーに9人にんを起用きよう。

36イニング連続れんぞく無む失点しってんをマークするなど投手とうしゅ陣じんの踏ん張ふんばりで10年ねんぶりの9連勝れんしょうをマークし一気いっきに首位しゅいへ浮上ふじょうしました。

勝かちパターンのリリーフは7回かいが今野こんの龍太りゅうた投手とうしゅ、8回かいが清水しみず昇のぼる投手とうしゅ、9回かいがマクガフ投手とうしゅが主おもに担にないましたが、登板とうばん数すうや球たま数すうをきっちり管理かんりし10月つきに入はいるまで3日にち続つづけての登板とうばんはさせませんでした。

そして終盤しゅうばんには先発せんぱつだった田口たぐち麗うらら斗と投手とうしゅやスアレス投手とうしゅなどをリリーフにまわしました。

チームのホールド数すうは12球団きゅうだんダントツのトップで早はやめの投手とうしゅリレーで勝ち星かちぼしを積み上つみあげました。

チーム防御ぼうぎょ率りつも去年きょねんから1点てん以上いじょう改善かいぜんし、中日ちゅうにち、阪神はんしんに次つぐリーグ3位いにつけています。

コンディションに配慮はいりょした選手せんしゅ起用きようは野手やしゅでも見みられ、山田やまだ哲人てつと選手せんしゅや中村なかむら悠ゆう平ひら選手せんしゅといったチームに欠かかせない中心ちゅうしん選手せんしゅをときには先発せんぱつから外はずして休やすませました。

その結果けっか、昨さくシーズンはけがで離脱りだつしたり調子ちょうしを落おとしたりする選手せんしゅが相次あいついだのに対にたいし、今こんシーズンは最後さいごまで戦力せんりょくダウンなく終盤しゅうばんの連勝れんしょう、そして逆転ぎゃくてん優勝ゆうしょうへとつなげました。

そしてヤクルトの強つよさは投打とうだにおけるフォアボールの数かずにも表あらわれていました。

ヤクルトの投手とうしゅ陣じんが与あたえたフォアボールの合計ごうけいは12球団きゅうだんで最少さいしょう。

本拠地ほんきょちの狭せまい神宮じんぐう球場きゅうじょうでホームランを避さけるためピッチャーは慎重しんちょうになりがちですが、攻せめの姿勢しせいを貫つらぬき無駄むだな失点しってんを防ふせぐことにつながりました。

伊藤いとう智仁ともひと投手とうしゅコーチが「失敗しっぱいを恐おそれずチャレンジしていこう」とピッチャーを送り出おくりだし、春はるのキャンプで臨時りんじコーチを務つとめた古田ふるた敦あつし也さんから指導しどうを受うけたキャッチャーの中村なかむら悠ゆう平ひら選手せんしゅは「先入せんにゅう観かんや固定こてい観念かんねんを持もたずにいろんなことをやってみよう」と、ときに身みぶり手しゅぶりを交まじえながら果敢かかんなリードで引っ張ひっぱり、ピッチャーたちに自信じしんを植え付うえつけました。

一方いっぽう、打線だせんはチーム打率だりつがリーグ3位いながら選えらんだフォアボールはリーグでダントツのトップ。

村上むらかみ選手せんしゅがリーグトップの105個こ、山田やまだ選手せんしゅも76個こと中軸ちゅうじくであっても塁るいに出でて後うしろのバッターにつなぎ、全員ぜんいんで1点てんを取とりに行いく意識いしきがリーグトップのチーム得点とくてんへとつながりました。

春はるのキャンプで高津たかつ監督かんとくが掲かかげたチーム内ないの競争きょうそうと1点てんにこだわる野球やきゅうがシーズンを通をとおして徐々じょじょに浸透しんとうし、2年ねん連続れんぞく最下位さいかいからの優勝ゆうしょうという最高さいこうの形かたちで実みを結むすびました。

阪神はんしんとの開幕かいまくカードに3連敗れんぱいする最悪さいあくのスタートに加くわえ、3月末げつまつには、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃが出でました。

この結果けっか、チームの支柱しちゅうだった青木あおき宣せん親おや選手せんしゅなど主力しゅりょくのベテラン3人にんが濃厚のうこう接触せっしょく者しゃとなって2週間しゅうかんの離脱りだつ。

この緊急きんきゅう事態じたいが若手わかて選手せんしゅの奮起ふんきを促うながし、戦力せんりょくがダウンした13試合しあいを7勝しょう3敗はい3引き分ひきわけと勝ち越かちこし順位じゅんいを5位いから3位いに上あげました。

4月つき下旬げじゅんには新しん外国がいこく人じんのオスナ選手せんしゅ、サンタナ選手せんしゅが合流ごうりゅう。

6月つきには打順だじゅんが1番ばん・塩見しおみ、2番ばん・青木あおき、3番ばん・山田やまだ、4番ばん・村上むらかみ、5番ばん・オスナ、6番ばん・中村なかむら、7番ばん・サンタナとほぼ固定こていされ、打線だせんにつながりが出でました。

前半ぜんはん戦せんは首位しゅい・阪神はんしんと2.5ゲーム差さの3位いで折り返おりかえします。

2人にんはシーズンを通をとおして打線だせんの軸じくとなり、山田やまだ選手せんしゅはリーグ4位いのホームラン34本ほん、リーグ3位いの101打点だてん。

村上むらかみ選手せんしゅはリーグトップのホームラン39本ほん、リーグ2位いの112打点だてんをマークしました。

さらに、6年ねん前まえの首位しゅい打者だしゃで腰こしのけがから復活ふっかつを果はたしたベテランの川端かわばた慎吾しんご選手せんしゅが代打だいだの切り札きりふだとして打率だりつ3割わり7分ふん台だいをマーク。

勝負しょうぶ強つよいバッティングで接戦せっせんを制せいし、3位い以上いじょうをキープし続つづけました。

そして2年ねん連続れんぞくで12球団きゅうだんワーストだったチーム防御ぼうぎょ率りつもリーグ3位いまで改善かいぜんされました。

抑おさえはシーズン序盤じょばんに失点しってんが相次あいついだ石山いしやま泰やすし稚いとけな投手とうしゅに代かえて5月つき下旬げじゅんからはマクガフ投手とうしゅを据すえました。

8回かいはプロ野球やきゅう新しん記録きろくとなる50ホールドをマークした3年ねん目めの清水しみず昇のぼる投手とうしゅ、7回かいは去年きょねん、楽天らくてんから移籍いせきしてきた今野こんの龍太りゅうた投手とうしゅなどが担にない、終盤しゅうばんのリリーフ陣じんが安定あんていしました。

先発せんぱつでは去年きょねんは2軍ぐんで育成いくせい期間きかんを過すごした2年ねん目めの奥川おくがわ恭きょう伸しん投手とうしゅが中ちゅう10日にちを空あけながらの登板とうばんでチームトップに並ならぶ9勝しょうをあげました。

奥川おくがわ投手とうしゅは53イニング連続れんぞくでフォアボールなしと、ストライク先行せんこうの強気つよきのピッチングが光ひかり、エースへの階段かいだんを順調じゅんちょうに上のぼりました。

シーズン終盤しゅうばん、3位いのまま2カード連続れんぞく負け越まけこして迎むかえた9月つき7日にち。

高津たかつ監督かんとくは首位しゅいの阪神はんしんとの試合しあい前まえに全ぜん選手せんしゅに向むかって「周まわりのチームメートを信しんじ、チームスワローズが一枚岩いちまいいわでいったら絶対ぜったい崩くずれることはない。絶対ぜったい大丈夫だいじょうぶ」と力強ちからづよく語かたりました。

ここから今こんシーズン初はじめて阪神はんしんとの3連戦れんせんを勝ち越かちこして勢いきおいに乗のり、9月つき18日にちにはことし飛躍ひやくを遂とげた塩見しおみ泰隆やすたか選手せんしゅがサイクルヒットを達成たっせい。

翌よく19日にちには村上むらかみ選手せんしゅが史上しじょう最年少さいねんしょうで通算つうさん100号ごうホームランを打うち、22日にちには今こんシーズン113試合しあい目めで初はじめて首位しゅいに立たちました。

28日にちには青木あおき選手せんしゅが球団きゅうだん史上しじょう最年長さいねんちょうで満塁まんるいホームランを打うって10年ねんぶりの9連勝れんしょう。

13試合しあい負まけなしは球団きゅうだん新しん記録きろくでした。

10月つき8日にちの阪神はんしん戦せんでは奥川おくがわ投手とうしゅが7回かい途中とちゅう1失点しってんと好投こうとうし、チームは7連勝れんしょうでマジックナンバー「11」が初はつ点灯てんとう。

シーズン終盤しゅうばんに勢いきおいを加速かそくさせて優勝ゆうしょうを争あらそっていた阪神はんしん、巨人きょじんを振り切ふりきり6年ねんぶりの優勝ゆうしょうへ突き進つきすすみました。