日本新聞: 新型コロナワクチン 3回目接種はいつから?どこで?

国内こくないで新型しんがたコロナウイルスのワクチンを少すくなくとも1回かい接種せっしゅした人ひとは、全ぜん人口じんこうの77％余あまりに。2回かい接種せっしゅした人ひとは72％となりました。

そこで気きになるのが、3回かい目めの接種せっしゅについてです。

3回かい目めの接種せっしゅの順番じゅんばんや対象たいしょうは?

1回かい目め、2回かい目めと同おなじメーカーのワクチンを接種せっしゅするほうがいいの?

現在げんざい、わかっている方針ほうしんをまとめました。

3回かい目めの接種せっしゅ順番じゅんばんは? 対象たいしょうは?

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナウイルスワクチンを2回かい接種せっしゅした人ひとについて、希望きぼう者しゃには3回かい目めの接種せっしゅを行おこなう考かんがえを示しめしています。

1回かい目めの接種せっしゅが始はじまったのは、

▽医療いりょう従事じゅうじ者しゃがことし2月つきから、

▽高齢こうれい者しゃがことし4月つきからで、

その後そのご、

▽基礎きそ疾患しっかんのある人ひとなども優先ゆうせんして接種せっしゅを受うけました。

3回かい目めの接種せっしゅではこうした優先ゆうせん順位じゅんいは設もうけません。

ただし、対象たいしょうとなるのは2回かい目めの接種せっしゅからおおむね8か月かげつ以上いじょうたった人ひとです。

▽医療いりょう従事じゅうじ者しゃは12月つきから、

▽高齢こうれい者しゃは来年らいねん1月つきから接種せっしゅが始はじまり、

▽その後そのご、ほかの人ひとたちが順次じゅんじ、接種せっしゅを受うけることになります。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは全国ぜんこくの自治体じちたいに対にたいし、予約よやく方法ほうほうの検討けんとうや接種せっしゅ会場かいじょうの手配てはいのほか、2回かい目めの接種せっしゅから8か月かげつになる人ひとに接種せっしゅ券けんを発送はっそうするなど、準備じゅんびを進すすめるよう求もとめています。

接種せっしゅは市区しく町村ちょうそん職域しょくいき接種せっしゅは検討けんとう中ちゅう

3回かい目めの接種せっしゅを行おこなうのは原則げんそく、市区しく町村ちょうそんです。

現時点げんじてんでは

▽自治体じちたいの接種せっしゅ会場かいじょうでの集団しゅうだん接種せっしゅか、

▽医療いりょう機関きかんでの個別こべつ接種せっしゅが予定よていされています。

職域しょくいき接種せっしゅを実施じっしするかは検討けんとう中ちゅうだということです。

ファイザーは11月つきモデルナは来年らいねん1月つきには自治体じちたいへ

3回かい目めの接種せっしゅで使用しようするワクチンについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、必要ひつような量りょうを確保かくほできる見通みとおしだとしています。

一方いっぽう、現時点げんじてんで3回かい目めの接種せっしゅが認みとめられたワクチンはありません。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、承認しょうにん申請しんせいが出でているファイザーのワクチンを承認しょうにんするか、11月つき10日にちに判断はんだんする方向ほうこうで調整ちょうせいを進すすめています。

そのうえで、11月つき15日にちと22日にちの週しゅうには合あわせておよそ410万まん回分かいぶんを都道とどう府県ふけんや医療いりょう機関きかんに配送はいそうする計画けいかくです。

モデルナのワクチンについても承認しょうにん申請しんせいがあれば速すみやかに審査しんさし、承認しょうにんした場合ばあい、来年らいねん1月つきには自治体じちたいに配送はいそうして、2月つきから3回かい目めの接種せっしゅを始はじめられるようにしたいとしています。

ほかのワクチンも接種せっしゅできるの？

3回かい目めの接種せっしゅについて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは2回かい目めまでと同おなじワクチンを接種せっしゅすることを基本きほんとしています。

ただし、モデルナのワクチンは、医療いりょう機関きかんでの個別こべつ接種せっしゅで使用しようされていないため、現時点げんじてんでは職域しょくいき接種せっしゅを受うけた人ひとが3回かい目めの接種せっしゅを希望きぼうする場合ばあい、自治体じちたいの接種せっしゅ会場かいじょうで受うける必要ひつようがあります。

こうした中なか、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、3回かい目めの接種せっしゅで、2回かい目めまでと異ことなるメーカーのワクチンを使用しようすることを認みとめるか検討けんとうしていて、11月つき中ちゅうに判断はんだんする方針ほうしんです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、アメリカで行おこなわれた研究けんきゅうでは、モデルナやファイザーなどのワクチンを組み合くみあわせて3回かいの接種せっしゅを行おこなった結果けっか、3回かい目めの接種せっしゅ後ごの副ふく反応はんのうは2回かい目めまでと同おなじ程度ていどだったということです。

東京とうきょうでは18の区くでモデルナ会場かいじょう設置せっち検討けんとう

これまで多おおくの人ひとが職域しょくいき接種せっしゅでモデルナのワクチンを接種せっしゅしていることを踏ふまえて、東京とうきょう23区くのうち18の区くではモデルナのワクチンに特とく化かした集団しゅうだん接種せっしゅ会場かいじょうを設もうける検討けんとうを進すすめています。

このうち▽渋谷しぶや区く ▽目黒めぐろ区く ▽品川しながわ区くそれに▽世田谷せたがや区くの4つの区くは、会場かいじょうを新設しんせつすることを検討けんとう。

▽文京ぶんきょう区くはこれまでより会場かいじょうを増ふやすことを検討けんとうしているということです。

23区くの自治体じちたいからは「これまでのように国くにや都とが大だい規模きぼ接種せっしゅ会場かいじょうを用意よういして対応たいおうしてほしい」といった声こえや「ワクチンの供給きょうきゅう量りょうをめぐる混乱こんらんが繰り返くりかえされないでほしい」といった声こえが上あがっています。

会場かいじょう準備じゅんび急ピッチきゅうぴっちで進すすむ

東京とうきょう江東こうとう区くは、3回かい目めのコロナウイルスのワクチン接種せっしゅをこれまでよりも多おおくの区民くみんに受うけてもらえるよう、ファイザーのワクチンの接種せっしゅ会場かいじょうとは別べつにモデルナのワクチンの接種せっしゅ会場かいじょうを設置せっちし、より多おおくの区民くみんに対応たいおうできる体制たいせいを構築こうちくする方針ほうしんです。

区くは、これまでの区民くみんの接種せっしゅ履歴りれきをもとに、3回かい目めの接種せっしゅに向むけたシミュレーションを進すすめていて、モデルナのワクチンを職域しょくいき接種せっしゅ会場かいじょうなどで接種せっしゅしたおよそ10万まん人にんの区民くみんに新あらたに対応たいおうしなくてはならない可能かのう性せいがあることから長期ちょうき的てきな会場かいじょうの確保かくほが課題かだいとなっているということです。

江東こうとう区くの根本ねもと将司まさしワクチン接種せっしゅ管理かんり担当たんとう課長かちょうは、「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんも解除かいじょされ、接種せっしゅ会場かいじょうの体育館たいいくかんをスポーツ施設しせつとして使つかいたいという区民くみんの声こえもあり、医師いしなどの人員じんいんについても、江東こうとう区くだけでは限界げんかいがある。国くにや都との会場かいじょうで接種せっしゅされた人ひとについては3回かい目めも同おなじ場所ばしょで対応たいおうしてもらうなど、協力きょうりょくしてほしい」と話はなしています。

高齢こうれい者しゃ施設しせつからは期待きたいの声こえ

高齢こうれい者しゃ施設しせつからは、3回かい目めのワクチン接種せっしゅに期待きたいする声こえが出でています。

高齢こうれい者しゃ施設しせつをめぐっては、ことしのいわゆる第だい5波はで感染かんせんが急きゅう拡大かくだいした時期じきに全国ぜんこく各地かくちでクラスターが発生はっせいし、ワクチンを2回かい、接種せっしゅしたあとで感染かんせんする「ブレークスルー感染かんせん」のケースも多おおかったとみられています。

東京とうきょう・世田谷せたがや区くにある特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームは、90人にんの高齢こうれい者しゃが入居にゅうきょし100人にん以上いじょうの職員しょくいんが交代こうたいで働はたらいています。

この施設しせつでは去年きょねん11月つき、全員ぜんいん、無む症状しょうじょうだったものの入居にゅうきょ者しゃと職員しょくいん合あわせて10人にん以上いじょうが陽性ようせいとなったことが確認かくにんされました。

ワクチン接種せっしゅを積極せっきょく的てきに呼よびかけ、ことし4月つきから5月つきにかけて入居にゅうきょ者しゃと職員しょくいんのほぼ全員ぜんいんが2回かい、接種せっしゅしました。

あわせて感染かんせん対策たいさくも強化きょうかし、その後そのご、感染かんせん者しゃは出でていないということです。

入居にゅうきょ者しゃと家族かぞくとの面会めんかいもこれまでオンラインや窓まどガラス越ごしに限かぎっていましたが、10月つきからは対策たいさくを取とったうえで、施設しせつ内ないでも再開さいかいしています。

施設しせつでは、重症じゅうしょう化かリスクの高たかい高齢こうれい者しゃを守まもるとともに、通常つうじょうに近ちかい形かたちの面会めんかいを継続けいぞくしていくためにも3回かい目めのワクチンの接種せっしゅに期待きたいしているといいます。

特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホーム「博ひろし水すいの郷さと」の田中たなか美佐みさ施設しせつ長ちょうは、「高齢こうれい者しゃへのワクチンの有効ゆうこう性せいを感かんじている。面会めんかいを維持いじしていくためにも入居にゅうきょ者しゃの家族かぞくから3回かい目めの接種せっしゅを希望きぼうする声こえが上あがっている。来年らいねんの1月つきには2回かい目めの接種せっしゅから8か月かげつがたつので、自治体じちたいには3回かい目めの接種せっしゅを迅速じんそくに進すすめてもらいたい」と話はなしています。

打うちたくても打うてない人ひとも…

新型しんがたコロナウイルスワクチンの3回かい目め接種せっしゅの準備じゅんびが進すすむ中なか、「ワクチンを打うちたくても打うてない」という事情じじょうを抱かかえる人ひともいます。

東京とうきょう・港みなと区く六本木ろっぽんぎでバーを営いとなむ池田いけだ昌広まさひろさん（49）は、ワクチンをまだ接種せっしゅしていません。

アトピー性せい皮膚ひふ炎えんなどのアレルギーがあるほか、9年ねん前まえにインフルエンザのワクチン接種せっしゅを受うけたあと、体調たいちょうが悪化あっかし、医師いしから「アナフィラキシーショックだ」と言いわれた経験けいけんがあるからだということです。

その時ときの様子ようすについて、池田いけださんは「ワクチンを打うって帰かえろうと立ち上たちあがったらまっすぐ歩あるけなかった。あれ、おかしいなと思おもったら動悸どうき(どうき)が激はげしくなってきた。相当そうとう怖こわい思おもいをした」と話はなします。

一緒いっしょにいた妻つまの和子かずこさんは「呼吸こきゅうがあらくなって、瞳孔どうこうが開ひらいていて普通ふつうではなかった。医師いしから“軽かるいアナフィラキシーだ。インフルエンザワクチンとの関連かんれんは分わからないが、ワクチンは勧すすめられない”と言いわれた」と振り返ふりかえりました。

このため、新型しんがたコロナのワクチンについてかかりつけの医師いしに相談そうだんしたところ、問題もんだいはないと言いわれたものの、「アナフィラキシーを1度ど起おこしているので、打うつかどうかは自分じぶんで決きめてほしい」と言いわれたということです。

池田いけださんはぜんそくも患わずらっていることから、新型しんがたコロナに感染かんせんすれば重症じゅうしょう化かしかねないうえ、バーでの接客せっきゃくのためにもワクチンを打うちたいという思おもいはあるものの、接種せっしゅに踏み出ふみだせないでいます。

池田いけださんは「ワクチンを3回かい受うけられる人ひとを正直しょうじき羨うらやましいと思おもう。健康けんこう体たいなら受うけられたのに、ここから先さき、いろいろな規制きせいもなくなり、旅行りょこうも接種せっしゅ証明しょうめいがあればできる中なかで、それがそろわない僕ぼくたちは今後こんごどうなっていくのか不安ふあんで疎外そがい感かんを感かんじる。こんな人ひともいるんだと分わかってもらい、対策たいさくを議論ぎろんをしてほしい」と話はなしていました。

医師いし第だい5波はの経験けいけん教訓きょうくんに優先ゆうせん的てきな3回かい目め接種せっしゅを

新型しんがたコロナウイルスの第だい5波はでは、抗こうがん剤ざい治療ちりょうの影響えいきょうなどで免疫めんえき不全ふぜんの状態じょうたいになっていた患者かんじゃがワクチン接種せっしゅを終おえていたのに重症じゅうしょう化かするケースがみられたとして、治療ちりょうにあたった医師いしは、第だい5波はの経験けいけんを教訓きょうくんに、こうした患者かんじゃも優先ゆうせん的てきに3回かい目め接種せっしゅを行おこなう必要ひつようがあると指摘してきしています。

埼玉医科大学総合医療センターさいたまいかだいがくそうごういりょうせんた-の岡おか秀昭ひであき教授きょうじゅによりますと、第だい5波はの患者かんじゃのほとんどがワクチンを接種せっしゅしていなかったり1回かいだけだったりしたということです。

そうしたなか、8月つき中旬ちゅうじゅんに入院にゅういんしていた80代だいの患者かんじゃは、7月つき中ちゅうにワクチンの接種せっしゅを2回かい終おえていましたが、重症じゅうしょう化かし、亡なくなったということです。

この患者かんじゃは、抗こうがん剤ざい治療ちりょうによる影響えいきょうなどで、免疫めんえき不全ふぜんの状態じょうたいになっていたということです。

感染かんせん症しょう科かの岡おか教授きょうじゅは「2回かい接種せっしゅを終おえていたにもかかわらず、残念ざんねんながら重症じゅうしょう化かし亡なくなってしまった。免疫めんえき不全ふぜんの患者かんじゃは、海外かいがいの研究けんきゅうなどで2回かい接種せっしゅでは十分じゅうぶんな効果こうかが得えられず、ワクチンの効果こうかを損そこなう可能かのう性せいを指摘してきされている」と話はなしています。

岡おか教授きょうじゅによりますと、ほかにも、別べつの病気びょうきの治療ちりょうで「免疫めんえき抑制よくせい剤ざい」などを使つかっている場合ばあいも、2回かい接種せっしゅでは十分じゅうぶんな抗体こうたいが得えられないおそれがあるということです。

岡おか教授きょうじゅは「コロナワクチンに関にかんして現在げんざいデータがそろいつつあり、免疫めんえき不全ふぜんの人ひとには2回かい接種せっしゅでは十分じゅうぶんな効果こうかが得えられず、3回かい接種せっしゅで抗体こうたいが上あがることが分わかってきた。ワクチンが普及ふきゅうした状況じょうきょうで、次つぎへの備そなえとして、どういう人ひとが重症じゅうしょう化かするのか考かんがえ、弱点じゃくてんになっているところを埋うめていく。そうすることで重症じゅうしょう患者かんじゃを増ふやさず、医療いりょう体制たいせいを守まもっていけるのではないか」と指摘してきしています。