日本新聞: 政府原油高騰で国家備蓄の石油放出を検討日米韓で協調も

政府せいふ原油げんゆ高騰こうとうで国家こっか備蓄びちくの石油せきゆ放出ほうしゅつを検討けんとう日にち米べい韓かんで協調きょうちょうも

Nov 20, 2021 19:11 2

Furigana

原油げんゆ価格かかくが高騰こうとうする中なか、政府せいふはアメリカの要請ようせいを受うけて国内こくないにある石油せきゆの国家こっか備蓄びちくの余剰よじょう分ぶんを市場しじょうに放出ほうしゅつする方向ほうこうで検討けんとうを進すすめていることが分わかりました。日にち米べい、それに同おなじくアメリカから要請ようせいを受うけている韓国かんこくと、3か国かこくで協調きょうちょうして供給きょうきゅう量りょうを一時いちじ的てきに増ふやすことも検討けんとうしており、原油げんゆ価格かかくの上昇じょうしょうを一定いってい程度ていど抑おさえるねらいがあるものと見みられます。

原油げんゆ価格かかくの上昇じょうしょうは世界せかい各国かっこくでガソリンやさまざまな石油せきゆ製品せいひんの価格かかく上昇じょうしょうにつながり、車くるまでの移動いどうが中心ちゅうしんのアメリカでは消費しょうひ者しゃへの悪あく影響えいきょうが広ひろがっています。

また、日本にっぽんでもコロナ禍かからの景気けいき回復かいふくの妨さまたげになるとして懸念けねんが高たかまっています。

こうした中なか、関係かんけい者しゃによりますと政府せいふはアメリカの要請ようせいを受うけて、国内こくないにある石油せきゆの国家こっか備蓄びちくの余剰よじょう分ぶんを市場しじょうに放出ほうしゅつする方向ほうこうで検討けんとうを進すすめていることが分わかりました。

日本にっぽんは国くにが石油せきゆを備蓄びちくしており、ことし9月末げつまつ時点じてんで145日にち分ぶんを国内こくないで保管ほかんしています。

石油せきゆの放出ほうしゅつは法律ほうりつでガソリンなどの供給きょうきゅう不足ふそくや地震じしんなど災害さいがい時じに限定げんていされており、価格かかく上昇じょうしょうの対応たいおう策さくとしての放出ほうしゅつは想定そうていしていません。

一方いっぽう、国内こくないの石油せきゆ需要じゅようは年々ねんねん減少げんしょうしており、政府せいふとしては余剰よじょう分ぶんであれば法律ほうりつの枠組わくぐみの中なかで放出ほうしゅつが可能かのうだとして検討けんとうを進すすめています。

放出ほうしゅつは日にち米べい、それに同おなじくアメリカから要請ようせいを受うけている韓国かんこくと、3か国かこくで協調きょうちょうして供給きょうきゅう量りょうを一時いちじ的てきに増ふやすことも検討けんとうしています。

放出ほうしゅつできる量りょうは限かぎられるものの、政府せいふとしては協調きょうちょう姿勢しせいを示しめすことで原油げんゆ価格かかくの上昇じょうしょうを一定いってい程度ていど抑おさえるねらいがあるものと見みられます。

岸田きしだ首相しゅしょう「しっかり検討けんとうして結論けつろんを出だす」

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、視察しさつ先さきの松山まつやま市しで記者きしゃ団だんに対にたいし「日にち米べい、あるいは関係かんけい国こくとの協調きょうちょうを前提ぜんていとしながら、法的ほうてきに何なにができるか、いま検討けんとうを進すすめているという状況じょうきょうにある。ぜひ、各国かっこくの状況じょうきょう、あるいはわが国わがくにとして何なにができるか、しっかり検討けんとうしたうえで、結論けつろんを出だしていきたい」と述のべました。

石油せきゆ備蓄びちくとは

日本にっぽん政府せいふは1973年ねんに起おきたオイルショックの経験けいけんを踏ふまえて、石油せきゆ備蓄びちく法ほうを制定せいていしました。

国くにや石油せきゆ会社かいしゃなどが石油せきゆの供給きょうきゅうが不足ふそくした場合ばあいに備そなえて、石油せきゆのほかガソリンや灯油とうゆをすぐに供給きょうきゅうできるよう国内こくないに保管ほかんを義務ぎむづけています。

備蓄びちくの方法ほうほうは国くにが備蓄びちくする「国家こっか備蓄びちく」と、民間みんかんの石油せきゆ会社かいしゃが義務ぎむづけられている「民間みんかん備蓄びちく」、それに産油さんゆ国こくと協力きょうりょくして国内こくないの石油せきゆタンクで備蓄びちくする「産油さんゆ国こく共同きょうどう備蓄びちく」の3つがあります。

資源エネルギー庁しげんえねるぎ-ちょうによりますと、ことし9月末げつまつ時点じてんの備蓄びちく量りょうは「国家こっか備蓄びちく」が145日にち分ぶん、「民間みんかん備蓄びちく」は90日にち分ぶん、また、「産油さんゆ国こく共同きょうどう備蓄びちく」は6日にち分ぶんが備蓄びちくされています。

石油せきゆ備蓄びちくの放出ほうしゅつは石油せきゆ備蓄びちく法ほうによってガソリンなどの供給きょうきゅう不足ふそくのおそれがある場合ばあいや地震じしんや豪雨ごううなど災害さいがい時じに限定げんていされており、価格かかく上昇じょうしょうの対応たいおう策さくとしての放出ほうしゅつは想定そうていしていません。

備蓄びちくした石油せきゆを放出ほうしゅつしたのは過去かこ5回かいあります。

このうち2011年ねん3月つき、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいが起おきたときには東北とうほくや関東かんとうの製油せいゆ所しょの一部いちぶが操業そうぎょうを停止ていしするなど、安定あんてい的てきに供給きょうきゅうできない状況じょうきょうになったことから、民間みんかん備蓄びちくのうち25日にち分ぶんを放出ほうしゅつしました。