しかし、年明けの1月6日には500万円台を割り込み、10日にはおよそ470万円まで下落しました。
12月下旬から比較すると、2割もの急落となります。
市場関係者に聞くと、ある国の名前が浮上しました。 中央アジアの「カザフスタン」です。 カザフでは、燃料価格の引き上げに端を発して、1月2日に抗議行動が始まり、最大都市のアルマトイなど各地に広がりました。 これに対して、政府は「テロ行為」だとして一掃する作戦を進め、デモの参加者や治安当局の双方に死者が出ているとされています。
歴史的にはシルクロードのオアシスとして栄え、現在では石油や天然ガス、ウランなどの資源大国として知られていますが、実はカザフは世界2位のビットコインの「採掘国」でもあるのです。 ビットコインなどの暗号資産は、取り引きデータの安全性を確保するために暗号化され、世界中のネットワークに分散して管理されています。 取り引きの際には、膨大なデータを処理する必要があります。 このデータ処理を行う事業者は手数料として、新たに発行される暗号資産が得られることになっています。 こうした作業は、「マイニング(採掘)」と呼ばれています。 イギリスのケンブリッジ大学は、世界のどこでマイニングが盛んに行われているのか、マイニングマップを公表しています。 それによるとカザフスタンは、アメリカに次ぐ、マイニング大国なのです(2021年8月時点)。
ちなみに日本は0.3%です。 では、なぜカザフのシェアがこれほど高いのか?。 そのきっかけは、隣国の中国の動きにありました。 中国は2020年はじめにはマイニングの分野で世界シェアの7割を占めていましたが、中国政府は経済の秩序を混乱させ犯罪行為にも使われるなどとして、暗号資産に関連するサービスを違法行為とし全面的に禁止。 このため、2021年7月以降は、中国のシェアはゼロになりした。 これを受けて、中国のマイニング事業者が向かった先が、隣国のカザフスタンだったのです。 JETRO=日本貿易振興機構によりますと、去年は中国の大手事業者がカザフに2600台ものマイニング専用のコンピューターを発送すると表明するなど、大移動が起こったといいます。 マイニングは大量の電力を消費するため、資源大国のカザフの安い電気料金も事業者を引きつけました。 カザフ政府も重要な産業に位置づけていましたが、このマイニング事業者の大移動によって、電力消費量は1年で7%も増加(11月時点)し、一部地域での停電を招く要因にもなったといいます。 そして、今回の国内情勢の混乱を受けて、カザフ全土でインターネットへの接続が遮断。 ネットにつながらなければ、ビットコインのマイニングも決済もできません。 これが新年早々の急落につながったのです。 今週11日には、ウクライナ情勢をめぐっても、アメリカとロシアの政府高官による協議が進展せず、安全資産とされる円やスイスフランが買われる場面もみられました。 こうした地政学リスクも、ことしのマーケットを大きく左右する要因となりそうです。
原材料価格の上昇を背景に、身の回りのさまざまな商品でも値上げが相次いでいて、2022年度の物価見通しを1%台に引き上げる方向で議論が行われます。 物価上昇は、日銀の金融政策の行方にも影響を与えるだけに、どこまで見通しを引き上げるか注目です。 また、17日には、経済の減速が懸念される中国がGDPを公表するほか、20日には記録的なインフレが進むトルコの中央銀行が金融政策委員会を開きます。
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