Báo tiếng Nhật: 【詳しく】バイデン大統領はなぜ不人気なのか？

アメリカのバイデン大統領だいとうりょうが、厳きびしい状況じょうきょうに直面ちょくめんしています。

就任しゅうにんから1年ねんを迎むかえるなか、世論せろん調査ちょうさでは「不ふ支持しじ」が「支持しじ」を上回うわまわり、戦後せんごの歴代れきだい大統領だいとうりょうの中なかでトランプ前ぜん大統領だいとうりょうに次つぐ低ひくさとなっています。政治せいじ経験けいけんの豊ゆたかさを売うりに、社会しゃかいの分断ぶんだんを埋うめると訴うったえて当選とうせんしたはずなのに、なぜなのでしょうか？そして、トランプ氏しの復活ふっかつの可能かのう性せいは？

詳くわしく解説かいせつします。

（ワシントン支局しきょく長ちょう・高木たかぎ優ゆう）

政権せいけん発足ほっそく1年ねんバイデン大統領だいとうりょうに対にたいする国民こくみんの評価ひょうかは？

かなり厳きびしい評価ひょうかとなっています。

アメリカの政治せいじ情報じょうほうサイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、去年きょねん1月つきの政権せいけん発足ほっそく当初とうしょは、世論せろん調査ちょうさで「支持しじする」と答こたえた人ひとの割合わりあいは50％台だいで推移すいいしていましたが、半年はんとしを過すぎた去年きょねん夏なつころから急落きゅうらくし、現在げんざいは40％台だい前半ぜんはんに低迷ていめいしています。

支持しじ率りつが急落きゅうらくした去年きょねん夏なつは、アフガニスタンからアメリカ軍ぐんを撤退てったいさせる中なかで、イスラム主義しゅぎ勢力せいりょくタリバンが復権ふっけんし、現地げんちが大おおきな混乱こんらんに陥おちいったタイミングと重かさなります。

アメリカ軍ぐんの兵士へいし13人にんを含ふくむ多おおくの人ひとが死亡しぼうしたテロも起おきて、バイデン政権せいけんの対応たいおうに批判ひはんが高たかまりました。

また、ある世論せろん調査ちょうさでは、バイデン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつは、歴代れきだい大統領だいとうりょうのなかでトランプ前ぜん大統領だいとうりょうに次つぐ低ひくさともなっています。

調査ちょうさ会社かいしゃギャラップによれば、今月こんげつのバイデン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつは40％。

第だい2次じ世界せかい大戦たいせん後ごに就任しゅうにんした歴代れきだい大統領だいとうりょうの就任しゅうにんから1年ねんの時点じてんと比くらべると、バイデン大統領だいとうりょうを下回したまわるのはトランプ氏しだけです（38％）。

トランプ氏しは、対立たいりつする民主党みんしゅとうやリベラル層そうを批判ひはんすることで、自じ陣営じんえい（保守ほしゅ層そう）からは絶大ぜつだいな支持しじを得えてきました。バイデン氏しは党派とうはを超こえて広ひろく国民こくみんに「Unity（結束けっそく）」を呼よびかけて就任しゅうにんしたことを考かんがえると、国民こくみんから及第きゅうだい点てんをもらえていないとも言いえます。

なぜバイデン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつは低ひくいの？

大おおきな原因げんいんのひとつが、アメリカ国民こくみんの家計かけいを直撃ちょくげきしているインフレです。世界せかい的てきな問題もんだいとなっているインフレですが、アメリカでは先月せんげつ（12月つき）の消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうが1年ねん前まえと比くらべて7％上昇じょうしょうし、およそ39年ねんぶりの高こう水準すいじゅんを記録きろくしました。

インフレは、大統領だいとうりょうひとりのせいとは言いえませんが、これまでの大統領だいとうりょう選挙せんきょで勝敗しょうはいのカギを握にぎってきた東部とうぶの州しゅうを今月こんげつ訪たずねて有権者ゆうけんしゃに話はなしを聞きくと、多おおくの人ひとがインフレへの不満ふまんを口くちにしていました。

「あらゆる物価ぶっかが上あがっています。私わたしの場合ばあい、以前いぜんより収入しゅうにゅうは増ふえましたが、生活せいかつのためにもっと多おおくのお金おかねが必要ひつようになっています。バイデン大統領だいとうりょうにはとにかくインフレを収束しゅうそくさせてほしい」

さらに、新型しんがたコロナの変異へんいウイルス、オミクロン株かぶによる感染かんせんの急速きゅうそくな拡大かくだいで、アメリカ国民こくみんの不満ふまんが一段いちだんと高たかまっていることも支持しじ率りつが低迷ていめいする原因げんいんの一ひとつとなっています。

政治せいじ経験けいけんの豊ゆたかさが売うりだったのでは？手腕しゅわんへの評価ひょうかは？

ここに来きて顕著けんちょになっているのは「決きめられない政治せいじ」と、それに対にたいする国民こくみんの不満ふまんです。

去年きょねん11月つきにアメリカ議会ぎかいで成立せいりつした日本にっぽん円えんで110兆ちょう円えん規模きぼにのぼるインフラ投資とうし法ほう（＝老朽ろうきゅう化かした道路どうろや橋はしの整備せいび、通信つうしんや電力でんりょく網もうの強化きょうかなどを行おこなう）を巡めぐっては、長年ながねん、上院じょういん議員ぎいんを務つとめ、議会ぎかいに幅広はばひろい人脈じんみゃくを持もつバイデン大統領だいとうりょうの手腕しゅわんが発揮はっきされました。

ただ、保育園ほいくえんの無償むしょう化かなど看板かんばん政策せいさくを盛り込もりこんだ大型おおがたの歳出さいしゅつ法案ほうあんなどはいまだに実現じつげんできていません。議会ぎかいのうち、上院じょういんでは、与野党よやとうの勢力せいりょくがきっこうしているため、与党よとう・民主党みんしゅとうからひとりでも反対はんたいが出でると法案ほうあんを通とおすことが難むずかしくなる綱渡つなわたりの状況じょうきょうですが、党内とうないの急進きゅうしん左派さはと中道ちゅうどう寄よりの一部いちぶ議員ぎいんの対立たいりつが激化げきかして、法案ほうあんを通とおせない状況じょうきょうが続つづいているのです。

こうした状況じょうきょうに、バイデン大統領だいとうりょうの指導しどう力りょくを疑問ぎもん視しする声こえも上あがっています。

大統領だいとうりょう選せんでバイデン大統領だいとうりょうを支持しじした有権者ゆうけんしゃの受け止うけとめは？

バイデン大統領だいとうりょうは、与党よとう・民主党みんしゅとうの支持しじ層そうからは引き続ひきつづき高たかい支持しじを得えているものの、無党派むとうは層そうの支持しじ離ばなれが目立めだっています。

ギャラップの世論せろん調査ちょうさで、無党派むとうは層そうの支持しじは、就任しゅうにん直後ちょくごの去年きょねん1月つきは61％でしたが、今月こんげつには33％まで落ち込おちこんでいます。

無む党派とうは層そうは、前回ぜんかいの大統領だいとうりょう選挙せんきょで「トランプ氏しの再選さいせんだけは阻はばみたい」という消極しょうきょく的てきな理由りゆうでバイデン大統領だいとうりょうに投票とうひょうした人ひとが少すくなくありません。そうした人ひとたちが離はなれていることがバイデン大統領だいとうりょうの不ふ人気にんきの大おおきな要因よういんです。

バイデン大統領だいとうりょうが深刻しんこくな社会しゃかいの分断ぶんだんや暮くらしを改善かいぜんしてくれるのではとの期待きたいが裏切うらぎられたと受け止うけとめている人ひとも多おおくいます。

バイデン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつが回復かいふくする可能かのう性せいはある？

その可能かのう性せいはもちろんあります。

アメリカの先月せんげつ（12月つき）の失業しつぎょう率りつは、およそ2年ねんぶりに3％台だいと低ひくい水準すいじゅんとなりました。また、賃金ちんぎんは上昇じょうしょう傾向けいこうにあり、中ちゅう低てい所得しょとく者しゃ層そうにとっては、雇用こよう環境かんきょうは改善かいぜんしています。このため、インフレや新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいが落ち着おちつきさえすれば、経済けいざいの好転こうてんと相あいまって支持しじ率りつも回復かいふくするというシナリオは十分じゅうぶんに考かんがえられます。

アメリカ政治せいじは“潮目しおめ”が瞬時しゅんじに変かわることがよくあるため、予断よだんを持もたずに見みていく必要ひつようがあります。

一方いっぽうで、支持しじ率りつが回復かいふくしなければ、政権せいけん運営うんえいへの国民こくみんの審判しんぱんとなることし11月つきの連邦れんぽう議会ぎかいの中間ちゅうかん選挙せんきょで、与党よとう・民主党みんしゅとうが上下じょうげ両院りょういんで多数たすう派はを共和党きょうわとうに奪還だっかんされる可能かのう性せいもあります。仮かりにそうなった場合ばあい、政権せいけんがレームダック化かし、政策せいさくの実行じっこう力りょくが弱よわまることもあり得えます。

トランプ前ぜん大統領だいとうりょうはいま何なにをしている？

トランプ氏しは、今月こんげつ15日にちに支持しじ者しゃを集あつめた大だい規模きぼな集会しゅうかいを開ひらき、大統領だいとうりょう選挙せんきょの前哨ぜんしょう戦せんともなる中間ちゅうかん選挙せんきょで野党やとう・共和党きょうわとうの議席ぎせきを奪還だっかんしようと訴うったえました。こうした言動げんどうや、側近そっきんの発言はつげんを踏ふまえると、次回じかい、2024年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょに立候補りっこうほしたいと考かんがえていると思おもいます。

ただ、本当ほんとうに大統領だいとうりょう選挙せんきょに立候補りっこうほできるかは別べつ問題もんだいです。アメリカでは、去年きょねん1月つきにトランプ氏しの支持しじ者しゃらが議会ぎかいに乱入らんにゅうした事件じけんとトランプ氏しの関かかわりをめぐる調査ちょうさが続つづいていて、結果けっか次第しだいでは、トランプ氏しへの批判ひはんが高たかまる可能かのう性せいがあります。

また、中間ちゅうかん選挙せんきょで、トランプ氏しが推おす候補こうほ者しゃがどうなるかにもよります。大統領だいとうりょう選挙せんきょにはばく大ばくだいな資金しきんも必要ひつようであることから、トランプ氏しは、中間ちゅうかん選挙せんきょの結果けっかを踏ふまえ、最終さいしゅう的てきな判断はんだんをするものと見みられます。

トランプ氏しの人気にんきは今いまもあるの？

野党やとう・共和党きょうわとうの支持しじ層そうのあいだでは、いまも圧倒的あっとうてきな人気にんきがあります。

世論せろん調査ちょうさで定評ていひょうがあるキニピアック大学だいがくが今月こんげつ実施じっしした調査ちょうさで、共和党きょうわとうの支持しじ層そうに限かぎった場合ばあい、立候補りっこうほを「望のぞむ」と答こたえた人ひとは69％でした。去年きょねん10月つき時点じてんの78％と比くらべると9ポイント低下ていかしていますが、依然いぜんとして高たかい数字すうじです。

一方いっぽう、支持しじ層そうに限かぎらずすべての人ひとを対象たいしょうにした同おなじ調査ちょうさでは、トランプ氏しが再ふたたび大統領だいとうりょう選挙せんきょに立候補りっこうほすることを「望のぞむ」と答こたえた人ひとは33％、「望のぞまない」と答こたえた人ひとが59％でした。

こうした国民こくみんの考かんがえが今後こんご変かわっていくのか。トランプ氏しの動向どうこうからも目めが離はなせません。

バイデン政権せいけんはことしは内うち向むきに？世界せかいへの影響えいきょうは？

ことし、アメリカは選挙せんきょの年としとなるので、バイデン大統領だいとうりょうにとって、国内こくない政治せいじの重要じゅうよう性せいは増ましていきます。

結果けっかを出ださなければ、中間ちゅうかん選挙せんきょに敗やぶれ、政策せいさくの実行じっこうがより難むずかしくなり、次つぎの大統領だいとうりょう選挙せんきょの行方ゆくえにも影響えいきょうしかねないからです。

一方いっぽうで、バイデン政権せいけんが、軍事ぐんじ的てき・政治せいじ的てきに影響えいきょう力りょくを増ます中国ちゅうごくを念頭ねんとうに、インド太平洋たいへいよう地域ちいきを重視じゅうしする姿勢しせいは揺ゆらがず、アメリカにとって同盟どうめい国こく・日本にっぽんの重要じゅうよう性せいが増ましていることも変かわりません。