【QA】国土こくど交通こうつう省しょう・専門せんもん家かに聞きく どうする?下水道げすいどう管かんなどの維持いじ

下水道げすいどう管かんなどのインフラの老朽ろうきゅう化かとその対策たいさくについて国土こくど交通こうつう省しょうや専門せんもん家かに聞ききました。

Q.日本にっぽんには、下水道げすいどう管かんはどれくらいあるの?

日本にっぽんの下水道げすいどうは、高度こうど経済けいざい成長せいちょう期き以降いこうに整備せいびが進すすみました。2022年度ねんど末まつの時点じてんでは、全国ぜんこくの下水道げすいどう管かんの総そう延長えんちょうは、およそ49万まんキロメートルでした。地球ちきゅう12周しゅう分ぶんにのぼります。

Q.今回こんかいのような道路どうろ陥没かんぼつは、ほかの場所ばしょでも起おきているの?

下水道げすいどう管かんが原因げんいんで発生はっせいする道路どうろの陥没かんぼつは全国ぜんこくで相次あいついでいて、2022年度ねんどの1年間ねんかんでは2625件けんでした。ほとんどが腐食ふしょくなど管かんの老朽ろうきゅう化かによるものでした。老朽ろうきゅう化かによって管かんが破損はそんし、そこに周囲しゅういの土どが入り込はいりこんで空洞くうどうができ、陥没かんぼつに至いたったとみられています。

Q.全国ぜんこくで相次あいつぐ道路どうろ陥没かんぼつは、どれくらいの規模きぼ?

多おおくは陥没かんぼつの深ふかさが50センチメートル未満みまんの小規模しょうきぼなものでした。

今回こんかい、埼玉さいたま県けんの現場げんばで大だい規模きぼな陥没かんぼつが発生はっせいしたのは、地中ちちゅうの下水道げすいどう管かんが下水げすい処理しょり場じょうに接続せつぞくする直径ちょっけい5メートル近ちかくの太ふといものだったことや、地下ちか10メートルと深ふかい位置いちにあったことが関係かんけいしたのではないかと指摘してきする専門せんもん家かもいます。つまり、太ふとい管かんが深ふかい位置いちにあったため多おおくの土どが管かんの中なかに入り込はいりこみ、その結果けっか、大おおきな空洞くうどうができた可能かのう性せいがあるというのです。

Q.今回こんかいの埼玉さいたま県けんの管かんは古ふるい?

今回こんかいの下水道げすいどう管かんは1983年ねんに整備せいびされたもので、標準ひょうじゅん的てきな耐用たいよう年数ねんすうとされる50年ねんは経過けいかしていませんでしたが、整備せいびから40年ねん余あまりたっていました。

全国ぜんこくには50年ねんを超こえる下水道げすいどう管かんもあり、2022年度ねんど末まつの時点じてんで、およそ3万まんキロメートル、総そう延長えんちょうのおよそ7％を占しめています。

これらの下水道げすいどう管かんを使つかい続つづけた場合ばあい、50年ねんを超こえるものは10年ねん後ごの2032年度ねんど末まつには、およそ9万まんキロメートル、総そう延長えんちょうのおよそ19％。20年ねん後ごの2042年度ねんど末まつにはおよそ20万まんキロメートル、およそ40％になると予測よそくされています。

Q.管かんの点検てんけんはどのように行おこなわれているの?

構造こうぞう上じょう、腐食ふしょくする可能かのう性せいが高たかい下水道げすいどう管かんについては、自治体じちたいなどの事業じぎょう者しゃが5年ねんに1回かい以上いじょうの頻度ひんどで点検てんけんを行おこなうことが法令ほうれいで義務ぎむづけられています。

点検てんけんは作業さぎょう員いんがマンホールに入はいり水みず漏もれやひび割ひびわれがないか目視もくしで行おこなう方法ほうほうや、管かんの中なかに小型こがたカメラを入いれ異状いじょうがないか画面がめん越ごしに確認かくにんする方法ほうほうで行おこなわれています。さらに、レーダーを搭載とうさいした車両しゃりょうを走はしらせて道路どうろの下したに空洞くうどうがないかチェックする取り組とりくみも行おこなわれています。

Q.今回こんかいの埼玉さいたま県けんの管かんは点検てんけんで異状いじょうがみつからなかったの?

今回こんかいの下水道げすいどう管かんは、国くにが義務ぎむづける点検てんけんの対象たいしょう外がいだったほか、埼玉さいたま県けんが独自どくじに行いっていた点検てんけんでは異状いじょうを発見はっけんできませんでした。このため国土こくど交通こうつう省しょうは、今後こんご、専門せんもん家かによる委員いいん会かいを設置せっちし、現在げんざいの点検てんけん方法ほうほうが適切てきせつかどうかなどについて議論ぎろんを進すすめて再発さいはつ防止ぼうし策さくを検討けんとうする方針ほうしんです。

Q.下水道げすいどう以外いがいのインフラの老朽ろうきゅう化かはどのような状況じょうきょう?

下水道げすいどうだけでなく、橋はしやトンネルなど多おおくのインフラが高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きに整備せいびされたため、いま、老朽ろうきゅう化かが全国ぜんこく的てきな課題かだいになっています。

標準ひょうじゅん的てきな耐用たいよう年数ねんすうとされる50年ねんを超こえているものの割合わりあいを見みると、2023年度ねんど末まつの時点じてんでは、「道路どうろ橋きょう」でおよそ39％、「トンネル」でおよそ27％でした。10年ねん後ごの2033年度ねんど末まつには「道路どうろ橋きょう」でおよそ63％、「トンネル」でおよそ41％になると予測よそくされています。

Q.上水道じょうすいどうのデータもあるの？

上水道じょうすいどうでは耐用たいよう年数ねんすうを40年ねんとして見積みつもっています。

40年ねんを超こえている管かんの割合わりあいは、2022年度ねんど末まつの時点じてんでは、およそ24％でした。上水道じょうすいどうの管かんの総そう延長えんちょうは、全国ぜんこくでおよそ74万まんキロメートルで、下水道げすいどうより大幅おおはばに長ながく、地球ちきゅう18周しゅう分ぶんを超こえています。

Q.インフラの老朽ろうきゅう化か対策たいさくは？

インフラの維持いじ・管理かんりを担になっているのは主おもに地方ちほう自治体じちたいですが、厳きびしい財政ざいせい状況じょうきょうや人材じんざい不足ふそくを背景はいけいに対策たいさくが十分じゅうぶんに進すすんでいないのが現状げんじょうです。

【国土こくど交通こうつう省しょう】

複数ふくすうの自治体じちたいがひとつの「群ぐん」のように連携れんけいし、インフラの管理かんりを一体いったい的てきに進すすめる「地域ちいきインフラ群ぐん再生さいせい戦略せんりゃくマネジメント」、通称つうしょう「群ぐんマネ」と呼よばれる仕組しくみの本格ほんかく的てきな導入どうにゅうを目指めざしています。

【自治体じちたい】

いまのまま維持いじ・管理かんりを続つづけるのは困難こんなんだとして、トンネルや橋はしを撤去てっきょすることや、撤去てっきょしたうえでう回うかい路ろを整備せいびすることなどを検討けんとうするところもあります。

国土こくど交通こうつう省しょうの調査ちょうさでは昨年度さくねんど、全国ぜんこく1788の自治体じちたいのうち87％にあたる1560自治体じちたいが検討けんとうしていると回答かいとうしています。

インフラの老朽ろうきゅう化か対策たいさくは、中央ちゅうおう自動車じどうしゃ道どうの笹子ささごトンネルの天井板てんじょういた崩落ほうらく事故じこの際さいなど、これまでもたびたび課題かだいだと指摘してきされてきました。その重要じゅうよう性せいが改あらためて浮き彫うきぼりになっています。