ロシアのプーチン大統領は19日、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長に対し「人道的配慮にもとづき、キリスト教の復活祭での停戦を宣言する」と述べました。
停戦の期間は、19日午後6時から21日午前0時まで、日本時間で20日午前0時から21日午前6時までの30時間で、プーチン大統領は、20日の復活祭にあわせてすべての敵対行為を停止するよう命じました。
ロシア側による停戦は、ウクライナ側も戦闘を一時的にやめることが条件だとしています。
突然の表明を受けてウクライナのゼレンスキー大統領はSNSに投稿し、ロシアが完全な停戦を実行するならウクライナも停戦に応じる考えを示しました。
その上で、30時間では信頼の醸成にはつながらないとして「ウクライナは復活祭以降も停戦を延長することを提案する」としています。
停戦をめぐっては、これまでアメリカのトランプ大統領が、ロシア軍による大規模な攻撃に不快感を示したり停戦協議の仲介をやめる可能性にも言及したりしていてプーチン大統領としては、トランプ氏に停戦への前向きな意思はあると印象づける思惑があるとみられます。
プーチン大統領は、おととし1月ロシア正教のクリスマスにあわせて36時間の停戦を一方的に宣言しましたが、ウクライナでは攻撃が繰り返された経緯もあり今回もどこまで停戦が実現するかは不透明です。
ウクライナとロシア 500人超の捕虜交換
ウクライナとロシアは19日、双方の間であわせて500人を超える捕虜の交換を行いました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、SNSで、解放されたのは277人で、侵攻当初の激戦地、東部ドネツク州のマリウポリで戦っていた兵士などが含まれるとしています。
一方、ロシア側には、ウクライナに捕らえられていた兵士261人が解放されました。
解放された兵士がウクライナの方が多いことについて、ロシア国防省は、負傷したウクライナ兵をより多く引き渡したとした上で善意を示したものだと主張しています。
ウクライナ外相「ことばではなく行動を見る」
ロシアのプーチン大統領が30時間の停戦を一方的に宣言したことに対し、ウクライナのシビハ外相は19日、SNSにメッセージを投稿し、ウクライナは先月、アメリカが提案した30日間の停戦に無条件で応じる立場を表明したと強調し、「ロシアはいつでも30日間の無条件で完全な停戦に応じることができる」と指摘しました。
そして「プーチンの発言と行動が一致しないことは、これまでにも何度もあった。私たちは彼のことばが信用できないことを知っており、ことばではなく行動を見ることにしている。すべてのパートナーと国際社会が警戒するよう強く求める。この戦争はロシアによって始まり、続いているのだ」と訴えました。
【解説】ロシアのねらい、ウクライナの受け止め