Japanese News: 大規模観測装置「ハイパーカミオカンデ」の地下空洞が公開

宇宙うちゅうなどから降り注ふりそそぐ素粒子そりゅうし「ニュートリノ」を観測かんそくし、星ほしや物質ぶっしつの成り立なりたちなどに迫せまろうと、岐阜ぎふ県けん飛騨ひだ市しで建設けんせつが進すすめられている大だい規模きぼな観測かんそく装置そうち「ハイパーカミオカンデ」の地下ちかの巨大きょだいな空洞くうどうが28日にち、報道ほうどう関係かんけい者しゃに公開こうかいされました。

飛騨ひだ市し神岡かみおか町まちで東京とうきょう大学だいがく宇宙うちゅう線せん研究所けんきゅうじょが運用うんようしてきた大だい規模きぼな観測かんそく装置そうち「カミオカンデ」と「スーパーカミオカンデ」は、宇宙うちゅうなどから降り注ふりそそぐ極きわめて小ちいさな素粒子そりゅうし「ニュートリノ」の観測かんそくに成功せいこうするなどして、日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃの2度どのノーベル物理ぶつり学賞がくしょう受賞じゅしょうにつながりました。

5年ねん前まえからは、さらなる研究けんきゅう成果せいかを生み出うみだそうと、スーパーカミオカンデのおよそ8倍ばいのニュートリノが観測かんそくできる「ハイパーカミオカンデ」の建設けんせつが地下ちか600メートルの場所ばしょで進すすめられていて、28日にちは建設けんせつ現場げんばの巨大きょだいな空洞くうどうが報道ほうどう関係かんけい者しゃに公開こうかいされました。

高たかさ94メートル、直径ちょっけい69メートルの空洞くうどうの掘削くっさく工事こうじは来月らいげつ完了かんりょうする見込みこみで、今後こんご、水みずを入いれる巨大きょだいなタンクが設置せっちされ、タンクの内側うちがわにはニュートリノを観測かんそくするための高こう性能せいのうの検出けんしゅつ器きおよそ2万まん本ほんが取り付とりつけられる計画けいかくです。

3年ねん後ごの2028年ねんの観測かんそく開始かいしを予定よていしていて、東京とうきょう大学だいがく神岡かみおか宇宙うちゅう素粒子そりゅうし研究けんきゅう施設しせつ長ちょうの塩澤しおざわ眞人まさと教授きょうじゅは「空洞くうどうの完成かんせいの見込みこみがたち、ほっとしています。

誰だれもが驚おどろくような結果けっかを出だしたいと思おもうので、成果せいかを楽たのしみにしてほしい」と話はなしています。

「ハイパーカミオカンデ」とは

「ハイパーカミオカンデ」は、2度どにわたってノーベル賞しょうを受賞じゅしょうし日本にっぽんが得意とくいとしてきた「ニュートリノ」の研究けんきゅうをさらに発展はってんさせようと建設けんせつされている大だい規模きぼな観測かんそく装置そうちで、3年ねん後ごの2028年ねんの観測かんそく開始かいしを目指めざしています。

《ニュートリノとは》

ニュートリノは物質ぶっしつのもとになる「素粒子そりゅうし」の一ひとつで、宇宙うちゅうや大気たいきから膨大ぼうだいな量りょうが降り注ふりそそいでいますが、このうち太陽たいようから私わたしたちの体からだに降り注ふりそそぐものだけに限かぎっても、その数かずは1秒間びょうかんに数すう百ひゃく兆ちょうに上のぼります。

このニュートリノは同おなじ素粒子そりゅうしである「電子でんし」と比くらべても質量しつりょうは100万まん分ぶんの1ほどで、電気でんきを帯おびていないために地球ちきゅうさえ通り抜とおりぬけることがあり、観測かんそくするのが極きわめて難むずかしいとされています。

《初代しょだいカミオカンデ》

いわば“幽霊ゆうれい”のようなニュートリノを捉とらえるため、岐阜ぎふ県けんの神岡かみおか鉱山こうざんの地下ちかにある観測かんそく装置そうち「カミオカンデ」で1986年ねんに宇宙うちゅうから来くるニュートリノの観測かんそくが始はじまり、星ほしが一生いっしょうを終おえる際さいに起おきる「超新星ちょうしんせい爆発ばくはつ」に伴ともなうニュートリノを世界せかいで初はじめて観測かんそくすることに成功せいこうしました。

この成果せいかで、小柴こしば昌俊まさとしさんが2002年ねんにノーベル物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうしています。

《2代目だいめもノーベル賞しょう》

また1996年ねんには、後継こうけいの「スーパーカミオカンデ」の運用うんようが始はじまり、2年ねん後ごの1998年ねんにニュートリノに質量しつりょうがあることを世界せかいで初はじめて発見はっけんした業績ぎょうせきで、梶田かじた隆章たかあきさんが2015年ねんにノーベル物理ぶつり学賞がくしょうを受賞じゅしょうしています。

《3代目だいめの特徴とくちょうは》

そして、世界せかいをけん引けんいんしてきた日本にっぽんのニュートリノ研究けんきゅうで、“3代目だいめ”の観測かんそく装置そうちとして建設けんせつされているのが「ハイパーカミオカンデ」です。

今後こんご、地下ちか600メートルの場所ばしょに設置せっちされる巨大きょだいなタンクには、スーパーカミオカンデのおよそ8倍ばいに当にあたる、19万まんトンの水みずがためられます。

ここを通過つうかするニュートリノが、ごくまれに水みずの分子ぶんしと衝突しょうとつした際さいに生しょうじる微弱びじゃくな光ひかりを検出けんしゅつすることでその存在そんざいを捉とらえる仕組しくみで、タンクの内側うちがわを囲かこむようにおよそ2万まん本ほんにのぼる光ひかりの検出けんしゅつ器き「光ひかり電子でんし増ぞう倍ばい管かん」が並ならべられる計画けいかくです。

検出けんしゅつ器きの感度かんどはスーパーカミオカンデに採用さいようされたものと比くらべて2倍ばいになっていて、より微弱びじゃくな光ひかりを捉とらえられるほか、ニュートリノの種類しゅるいや飛とんできた方向ほうこうなども正確せいかくに捉とらえられるということです。

ハイパーカミオカンデで目指めざす科学かがく

装置そうちを大型おおがた化かし、性能せいのうを高たかめるハイパーカミオカンデは、宇宙うちゅう誕生たんじょうの謎なぞに迫せまる科学かがく的てきな成果せいかを得えることを目的もくてきの1つとしています。

ニュートリノとその「反はん物質ぶっしつ」に当にあたる「反はんニュートリノ」の間まには、性質せいしつに違ちがいがある可能かのう性せいが指摘してきされていて、ハイパーカミオカンデではその違ちがいを厳密げんみつに調しらべることにしています。

ビッグバンによって誕生たんじょうした直後ちょくごの宇宙うちゅうには、物質ぶっしつと反はん物質ぶっしつのどちらも同おなじだけ存在そんざいしましたが、反はん物質ぶっしつが消きえて物質ぶっしつだけが残のこったと考かんがえられ、なぜ宇宙うちゅうでは物質ぶっしつが優勢ゆうせいになったのかは大おおきな謎なぞとなっています。